怖いぞ!薬漬け鶏肉と卵。[補筆も]
[鳥インフルエンザ]も,ようやく終息宣言がなされたが、ある養鶏業者の方に卵の話を聞いたことがある。 昔の卵の味を知っているものとしては、現在のスーパーなどで売られている卵は、どうもピッタリとこない。とにかく、おいしくないのである。 黄身なども、ふっくらと盛り上がっていないで、ペシャッとなっていたりする。また、やたらと殻が薄く、持つと、すぐにグシャとなりそうなものもある。 その理由について、その方は「ニワトリが大量生産方式の特殊な鶏舎でゲージ飼いされているからだ」と解説してくれた。 現在、卵をたくさん産ませる方法として、ほとんどのメンドリは、「ゲージ飼い」をされている。狭い箱の中で身動きも取れず、ただひたすら、卵を産まされている。それは、まるで、オートメーション方式のようなもの。 「ゲージ飼いのニワトリと、地飼いのニワトリでは、卵の産み方が違うんだよ。ゲージ飼いでは、早く卵を産ませようと、早く大きくするので、生後五ヵ月ぐらいで卵を産むが、地飼いでは、自然と大人になるまで待つので、六、七ヵ月はかかる」 この方は、当然、地飼い方式だった。いわゆる、「平飼い」である。だから、ニワトリは、広大な畑の中を自由自在に走り回っている。また、十羽のメスに対して、一羽のオスを必ず入れるという。これは、卵を「有精卵」にするためだ。 餌も、鶏糞や魚粉、米ぬかなどを混ぜて、発酵菌で処理した菌体飼料に、貝殻やトウモロコシを加えたものを食べさせている。 つまり、それだけの手間をかけ、自然のものに近い環境で飼育しなければ。おいしい卵はできないということである。 さらに怖いのは、薬漬けのニワトリも少なくないということである。鶏肉の場合、ブロイラーが主流で、ホルモン剤を大量に投与し、狭い箱の中で育てられたものが、生後四週間ぐらいで市場に出回っているとのこと。こうした劣悪な環境だから、多くのニワトリが病気にかかっている可能性もあるという。 私たちの食生活に、鶏肉、鶏卵は欠かせない。でも、いくら安いからといって、こうしたものを食べているのかと思うと、鳥インフルエンザ以前に、考えることがありそうだ。 [補筆]…とは言っても、栄養学的には「有精卵」と「無精卵」とは、ほとんど差はないらしい。違うのは、そのものに「命」が宿っているか、どうかだけ。玄米と同じ。精白米はまいても芽は出ないが、玄米は「命」が宿っているから、一粒からコップ一杯の子孫が生まれる。それだけ、生命力があるということ。 どちらを選ぶかは、本人の思想の問題。私は、ここ二十年以上、「命ある卵」のほうを選んでいる。