「俺を買ってよ。」
少年はまっすぐに彼の顔を見ている。
そんな商談には似つかわしくない、
健全な普通のホテルのラウンジで、
しかもまだ日が高い昼間の出来事だった。
彼は無言のままで品定めするように、
そのアゴに手を触れたあと、
「・・ふーん。じゃあこいよ。」
そう言って、少年の肩を抱く。
「お前名前は?」
部屋に着くと、少年はベットに固まって座っていた。
「リュウ・・・あんたは?」
「俺はタカだ。」
スーツの彼は言いながらネクタイを緩めた。
ゆっくりリュウに近づいていくと、
身をかがめてその唇を吸う。
幼い彼のぎこちない反応に気が付いて、
タカは言った。
「・・・やったことないのか。」
「え・・・うん。」
リュウは視線を泳がせている。
「じゃあ、止めだな。」
「な、なんで。」
「痛がって暴れるだろ?」
そして立ち上がろうとしたタカのそでをリュウはあわてて掴んだ。
「なんだ?」
「金がいるんだ。」
「だから?」
「絶対暴れないから、俺・・・。」
リュウはそう言って自分で脱ぎはじめる。
タカは腕組みをしていった。
「・・・言っとくけど、
ちょっとでも抵抗したら途中でやめるからな。」
喘ぎ声どころか身動きさえできない。
恐怖が支配しているリュウの体を見下ろしながら、
タカは彼の頬に口付けた。
「・・・しっかりしろ、よ。」
答えることも出来なくて、
リュウはその目を閉じただけだった。
耳にかかった息を感じて、リュウは目覚めると言った。
「なんだよ・・。」
タカがうれしそうにニコニコしている。
「お前ってホリダシモンだったよ。」
あおむけに寝ているリュウを包むようにひじをついている。
「どうゆう意味?」
「こらえてさ、メソメソないてんの。かわいくて。」
その瞬間カッとリュウの顔に赤みがさして、
フトンにもぐった。
「変態!」
とくぐもった声が聞こえる。
タカは笑いながら、
「こういうことして稼いでる少年は、変態じゃないのか?」
と言った。
「高くつくぞ。」
リュウはシーツの中から目だけだして睨んでいる。
「いくらでもだしてやるよ。」
タカは余裕の顔でリュウの髪に触れた。
「金持ちなのか?タカ・・。」
「金持ちだよ俺は、お前貧乏なの?」
「でないと、こんなことしない。」
「なんでそうまでして、金がいるんだ?」
「・・・プレゼントしたくて・・・。」
タカはシーツの上からリュウの下腹に軽くこぶしを落とす。
「痛!・・なんだよ・・いてて・・。」
「誰の為に耐えてんの?・・彼女?」
「関係ないだろ。つまんねぇことしてないで
さっさと金払え。」
「・・・お前を俺にくれたら、いっぱい出してやる。
もちろん彼女と別れて。」
それを聞いたリュウは、少し考えてから、
「彼女はいないけど、別れたことにしようか
金くれるんなら・・。」
と言った。
リュウは白いシーツから顔を出すと、
まっすぐにタカの顔を見上げる。
タカは見下ろす、
少年がくれたプレゼントを腕の中に。