いつになれば平気になるんだろう。
夜ごと繰り返される情事を、
ちっとも受け入れることが出来ないでいる僕に、
彼はとても根気強く、つきあってはくれているけれど。
「ごめんね。」
二人きりの部屋で、
彼の腕につかまりながら言ってみた。
「なにが?」
不良みたいにガムをかみながら、
彼はテレビのリモコンに手をのばす。
「いつも、なんか・・・うまく出来ないから。」
上手いとかヘタとか、そういう問題ではないことはわかってた。
だけどなにか言わずにはいられない。
日々静かに、わずかにめばえる彼の不満が蓄積され、
次第に嫌われていくような気がしている。
しがみついている腕に自然に力が入り、
絶望的な気持ちに襲われそうになった時、
「バ~カ。」
大きな彼の手のひらが、僕の頭をガシガシとなでた。
「そうやって余計なこと考えてっから、駄目なんじゃん?」
そーっと確認した彼の顔は、
なにも心配することがないほど、あざやかに微笑んでいる。
「余計なことなんて考えてないよ・・・。」
考えているのはいつも、あなたのことだけ。
我を忘れて夢中になった僕のことを、
あなたはどんな気持ちで見つめるのだろう。
「いいって別に。」
僕の顔を覗き込むように近付いてきた彼の唇は、
「毎日してりゃなんでもなくなるだろ。」
といって舌を出し、僕の耳をすばやく舐めた。