女のコみたいに、バスタオルを胸から巻いて。
湯上りの彼は赤い顔をして、自分の体を抱きしめていた。
恥ずかしそうに俺のこと見上げて、
「服かえしてよ。」
なんて、恨めしそうに言っている。
「まだ乾いてないからさ。」
本当にそんな意味で、
勝手に彼の服を洗ってしまったのではないけれど、
かわいらしいその反応を見ると、
つい、意地悪を言ってみたくもなってしまう。
「いいじゃんか、そのままでいれば。
どうせ脱ぐんだし。」
俺の言葉に、頭の中がショートしてしまったかのように彼は、
目を白黒させていた。
「な、なんで、脱ぐ、脱ぐとか言・・・。」
同じ場所から一歩も動けずに、
そのまま立ち尽くしている彼に手をのばしてみたけど、
やはり、はらわれてしまった。
「だけどさ、いつまでそうしてんの?
あっちいって座れば?」
優しく言ってみる。
早くしないと風邪をひかせてしまいそうでもあった。
「着るものかして・・・?」
彼が言うので、俺は自分のシャツを脱いで、
「ん。」
とわたした。
「ちょ、ちょっと、それじゃ、それじゃなく・・・。」
彼だけ素肌だと、不公平なのかと思ったのだ。
男同士、別に裸を見られたった特別なことではないだろう。
パニクる彼に、自分の脱いだ服を頭からかぶせて、
ああ、違うか。
特別だ、と思った。
俺は服を着ていない彼のことが見てみたかったし、
なんならくっついて、口付けなどもしたいようだ。
「なぁ、ベットあいてるし、行かねぇ?」
俺が恋人にでもいうように囁くと、
「行か、行かない。絶対行かない。
今日はここから動かない。」
彼は激しく首をふりながら、
涙目になって、必死の抵抗をみせていた。
彼がいるバスルームの前には、
まるで見えないバリアでもはられているようだ。
そこから出てきてもらうには、
いったいどうしたらいいのだろう。