バイバイ、私の幼稚園
私が長らくボランティアで行っていた幼稚園が今月いっぱいで閉鎖する。ちょっと前に園長先生がクビになったことを日記に書いたが、一体何があったのかというと、うちの幼稚園とくっついている教会の中の偉い(?)人が、「もう幼稚園はあと一ヶ月で閉鎖だ」、といきなり言い出して、それに大反対してちょっと言い合いになってしまった園長先生はあっさりクビにされてしまったのだ。そして、その幼稚園閉鎖に納得のいかなかった他の先生たちは、なんとしてでもこの幼稚園を残そうと、保護者の力を借りようと、保護者を集めてミーティングを開いたのだが、ご両親たちは意外にあっさりしていて、協力してくれなかったという。園長先生がいきなりいなくなり、就任許可期間の切れた一人の先生は本当だったら3月いっぱいで辞めていたはずなのに、人手が足りないということで無給でこの一ヶ月間、働いてきたときと同じように幼稚園に来て仕事をしていた。そして、園長先生がクビになる直前に、その3月いっぱいで辞めるはずだった人の変わりに雇われた、まさか幼稚園が1ヶ月以内に閉鎖するとは知らずにやってきた新しい先生も、この一ヶ月間でもうこの幼稚園とはさよならなのだ。あまりにいろいろなことが幼稚園で起こっていて、何があったのかを全て聞いたときには悲しくて仕方なかった。というのも、私の行っていた幼稚園、最高にいい所だったんです。先生たちが、子供のことを本当に尊敬していて、信じている、そういう本当に大切な、でもなかなか見ることのできないことをいつも見ることのできる場所だったんです。ここの幼稚園に来て学んだことで、子供に対しての本当の「優しさ」とは何なのか、本当の「教育」とは何なのかを学んだのです。今日は私にとって最後のそこの幼稚園でのボランティアだった。いつもは朝から来てランチタイムの前に帰っていたんだけど、今日はちょうどベビーシッターのお仕事がキャンセルになったこともあり、子供がみな帰るまでいてみた。アメリカの幼児教育ですごく好きなのは、子供たちを「独立」させるところです。例えば、生まれてきた赤ちゃんも3ヶ月も過ぎれば夜は一人でベッドに寝かせてしまうんですよ。両親は他の部屋で寝てます。幼稚園でのランチタイムも、水がほしければ自分でコップを持って水を汲みに行き、お菓子の袋などを開けたいときには自分でハサミのある場所まで行って開ける。ランチ後は、自分の使ったお皿からランチマットまで全部自分で片付ける。ちなみに、幼稚園といっても、英語ではpreschoolといい、3~5歳までの子が行くところです。そしてランチ後は3,4歳の子は両親が迎えに来て帰ります。残った5歳の子は3,4歳にはちょっとまだ早いようなプロジェクトをします。例えば今日は、一人の先生の車をみんなで洗いました。そして最後に幼稚園を一気に掃除します。すべてのゴミ捨てから、みんなでペイントの時に使った筆を洗ったり、テーブル全体に洗剤をかけて拭き、しまいにはトイレットペーパーの補充までしてから帰るんです。機会があってシアトル近郊にある日本語幼稚園に行ったことがあった。日本人の先生に、完全日本語のクラス、子供も日本人か日本人ハーフといったところ。そこの幼稚園のランチに参加した時には、私の幼稚園との違いにビックリさせられた。先生が一から全部やってあげるのです。子供(5歳)が「おかわり」と言ったら、先生が「はいはい」といって子供のためにおかわりをよそってやる。ものすごくビックリした。そして、日本の子供に対する教育がそうであるから子供がなかなか独立せずにいるんだ、と思いました。親の仕送りで大学に「遊び」に行くなんて、アメリカの大学生には信じられませんよ。大学に入学するからには将来どういう仕事に就きたいかの夢がはっきりしているから。私みたいに親のすねをかじって、上京までして短大に行って何も学ばなかったのとは大きな違い(笑)。そんな子供を独立させるアメリカの幼児教育がすごく好き。とまぁ少し話は飛んでしまいましたが、私がそういうことを学べた幼稚園はもう閉鎖してしまうのです。幼児教育の授業を専攻してるため、幼稚園でのボランティアが不可欠なので、来月からは、先生に紹介してもらった違う幼稚園にボアンティアに行くことになるのですが、不安で仕方ないです。もう今まで行っていた幼稚園に完全に慣れてしまっていたから、他の幼稚園で全く違うやり方を見るのが怖い。そして、本当に最高だった今まで行っていた幼稚園の教育方針を自分の中から消されてしまう日が来るかもしれないと思うと、本当に怖い。でも今日その話を他の先生にしたら、「私も同じよ。アユミが恐れているくらい、私も他の幼稚園に移るのを恐れているの。」そして彼女が今まで渡ってきた道を話してくれました。「ここの幼稚園もね、私が来た当初は酷かったんだから。子供たちはいつも先生にコントロールされてるってかんじでね。一列になってからじゃないと外に行けない、とか、サークルタイムも決まった場所に子供たちを座らせて、寝かせてもあげなかったし、手を洗ったあとも、廊下に一列に並ばなれければならなくてね、子供の「自由」なんてなかったんだから。それで私その方針が嫌いだったから子供たちにそういうのをやらせなかったのね。そしたら子供の保護者が私にブチ切れで、私をクビにしろ~って大きいミーティングまで開かれたんだから。だから、私は知ってるから。ダメな幼稚園がどれだけダメで、その幼稚園の方針以外は一切受け付けないのをね。私だって怖いよ、本当に。。」そうだったんだ、、、ってかんじでした。そんな経験を積んでまでも素晴らしい精神を貫いてきた彼女を心から尊敬。生きていると本当にいろんなことがありますね。特にアメリカでは、幼稚園が閉鎖するなんてどうやら珍しいことじゃないようです。クラスメイトと喋ってると、「私の幼稚園閉鎖しちゃった」なんてよく聞くんです。幼稚園だけではないですね、いろいろな企業が入れ替わり立ち代り、なくなったり新しいのが出てきたりしています。だから、こんなことくらいでビビっててはいけませんね。頑張らねばーー!!こんなに長い日記を読んでくれた方、ありがとうございました。