始まりの時~9~
子供を追いかけ、辿り着いた場所は校庭しかし、校庭には誰も居なかった。どこへ行った!?「翔!突然どうしたのよ」麗奈が追いついてきた「いや、子供が・・・」「子供?夢でも見たの?」「昼間から夢なんか見るなよな~」「同感」「何でお前らが居るんだ?」「いや、お前が、何か凄い勢いで走ってたから、気になってな」政幸が言う。その隣には尊だ・・・あの子供は俺にしか見えてなかったってことか?なぜ?その時、朱雀が脈を打ち始めた。それも強く同時に、あたりの空気が重くなる。なにかが体にネットリとまとわりついてくるような感じだそう、とてつもなく不快な・・・「何だよ?この空気は・・・」空が暗くなり、稲妻がはしる。朱雀の脈は更に強くなったやかて、空が完全に闇に包まれた時、それらは現れた「ククク・・・時はミチタリ。イマフクシュウノトキナリ」「カザマ、キサマノイノチハ、イマココデモラウ」「な・・・」明らかな敵意、そして重い殺気何だってんだ!この魔物の軍隊とも言うべきものは!?復讐?しかも俺に?冗談じゃない「ワスレタトハイワセン。キサマガ10ネンマエニシタコトヲ」そして、魔物たちが、一斉に襲い掛かってきた俺と尊と政幸は三方に散り応戦する。どうやら狙いは俺だけらしく、後ろに居る麗奈のところには魔物は行かない目の前の敵の首を切り落とし、そのまま右の敵を斬る刀身を返し、左側を斬り捨て、その勢いのまま後ろに居た敵を斬り、それを飛び越え、敵の攻撃を避ける「ナニヲシテイル!コロセ!コロセ!」敵のリーダーと思われるものが叫ぶその時、なぜか、俺の周りを囲むように敵が離れる尊と政幸は、それぞれに敵を倒し続けている。なんで離れていった?答えはすぐに出た。目の前に、黒い鎧を身に纏い、剣を持ったやつが歩みだしてきたつまりは、魔物に囲まれたここは闘技場。戦うのはやつと俺ってことか。悪趣味なやつは上段から斬りかかってくる。その軌道へ朱雀を出し、防ぐ・・・一撃がとても重い。実力はかなりある後ろに動きながらやつの剣を滑らせて下げさせ、空いた上半身へと朱雀を叩き込むしかし、それは防がれる。回転し、反対側に斬り込む。しかしこれも防がれる押し戻され、後ろに下がる。と同時に襲い掛かる剣を防ぐ「ククク・・・コノテイドカ」やつの余裕に満ちた声が響く「サテ、ソロソロホンキヲダスカ」本気だと?今までのは手を抜いてたってのか?本気を出すという言葉に偽りは無く、やつの攻撃の激しさが増す。攻める余裕がないほどの激しさ必然的に、防戦一方になってしまうそんな時、視界の隅に、敵の攻撃を受け吹っ飛んだ政幸の姿が飛び込んできたそれに一瞬意識がいったことが隙を作り、弾き飛ばされ、手の中から朱雀が消えた迫ってくるやつの剣。それは、一直線に俺の胸を目指していた俺は思わず目を閉じていた数瞬たっても、やってこない痛みを不審に思い目を開けた「翔・・・」耳に入ってきたものは、弱弱しい声目に飛び込んできたもの、それは、やつの剣に貫かれた、麗奈の姿だった剣が引き抜かれ、麗奈が崩れ落ちるその姿は、やけにゆっくりと見えた「麗奈・・・嘘だろ・・・?」「オロカナ・・・イミノナイコトヲ・・・バカバカシイ」やけに冷めた声が耳に入ってくるその時、何かが頭の中で蘇った雨の降る大地、黒煙、炎この世の物とは思えない咆哮赤く染まる空間 そして・・・大切な人の、死「フン、ホントウニオロカナムスメダ」「・・・ふざけるな」心の奥底からなにかが沸きあがってくる「ナンダ?マケイヌノトオボエカ?ハハハ・・・」「・・・ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」俺の中で、何かが弾けた「麗奈をはやく治療できるところへ連れてってくれ」近づいてきた二人に、朱雀を拾いながら声をかける「お前はどうすんだ!?」「いいから早く行け!」「翔・・・」怒りに打ち震えているはずなのに、今までにないほどに冷静になっていた「心配すんな、俺もすぐに行く」二人が麗奈を担いで行ったのを見送り、魔物たちと向き合う「ククク・・・イキテカエレルトデモ?」「お前らこそ、さっさと尻尾巻いて逃げ帰ったらどうだ?」「ワラワセルナ!」敵が一斉に飛び掛ってくる飛び掛ってきたうちの10匹ほどを斬り捨て、さらに5匹ほどを斬り飛ばすその間、2秒「ナ、ナンダコノチガイハ!?」「・・・いままでのこと、後悔するが良いさ」朱雀の刀身は、燃え上がるように赤く染まっていた襲ってきた黒い鎧のやつの攻撃をかわし、逆に気を溜め込んだ朱雀を叩き込むそいつは、跡形も無く消し飛んでいた「ナンダ!?・・・マサカ!!」「そのまさかだろうな」朱雀に気を溜めていく。敵には明らかな動揺がはしっていた気の扱い方は、弾かれた朱雀を拾い上げた瞬間に分かっていた。迷いは、無い朱雀を上段に構える、周りには風が巻き起こる「消え失せろ!!」朱雀に溜め込んだ気を振り下ろすと同時に全て放出する放たれた気は光となり、音さえも掻き消していった魔物たちは光に飲み込まれ・・・消えた「流石は神剣に選ばれた物と言うべきか。共鳴できた直後に、気を扱えるようになるとは」屋上で戦いを見ていた男、古島清明が呟く「しかし、慣れていないのにあれ程の力とは・・・将来が楽しみだ」古島は、コートを翻し・・・闇の中へと紛れ込んでいった