闇の中で
浮遊感何も無い空間で浮かんでいる、そんな感覚やがて、何かの上に着くその時、男は目覚めた「・・・ここは?」周りを見渡す立っている円形の足場から伸びているいくつもの道その先は・・・闇一つ一つの道をたどるしかし、半数を確認した時、その行為は中断された「八方塞がり・・・」道は全て、途中で途絶えていた下を覗き込む・・・全てが光を通すことさえも拒む闇男は蹲る。絶望でその時、響く声「この男は卑しい。ならば飢餓地獄に来るべきだ」道の一つが光る響く別の声「この男は他人を絶望へと突き落とした。ならば奈落へと来るべきだ」何もなかった空間に光がともる「こちらだ」「いや、こちらだ」声とともに道が光っていくそのどれもが、男を誘うかのごとく「「「「「さあ、来るがいい」」」」」重なった声、そのどれもが・・・何かしらの地獄への誘い「ははは・・・なんなんだよ」その地獄への誘いの声、光も通さぬ闇それらは、男を狂わすには十分過ぎた「はははははは・・・あはははははは」狂った笑い声が響く男の足は、光る道の一つへと進んでいたその時である。上空に光が現れたのは響く声「逃げちゃ、だめだ」その声は、男の狂気を鎮め、なおも語りかける「君は、やり残した事があるはずだ。それから逃げるつもりか?」「やり残した事・・・?」男の狂気は静まり、戸惑いが起こる地獄の一つを選ぶ。それはすなわち、死を選ぶことになる。そして、自分の犯してきた過ち。それらに気づいた「逃げるな。自分の罪から」「俺は・・・俺は・・・」男は泣き崩れる。自分の犯した過ちを嘆いて「「「「「さあ、来るのだ!」」」」」「戻って来い!」重なる地獄への誘いそれと相反する現実からの迎え「罪は、地獄で償え」「それが、世界のためだ」誘い「死に逃げちゃ、だめだ!」迎え男は叫ぶ「俺は・・・いやだ!!死にたくない!!」「俺は罪を償いたい!!だから死から俺を助けてくれ!!!」闇が、割れた「ん・・・」男の体は、自宅の寝室にあった男の足は、現実世界で罪を償える場所へと向かっていた男の心には、闇と光が生まれていた死に対する恐怖と、他人を思いやるという闇と、光そのどちらもが、その男に欠けていたもの目的の場所に着いた時男の顔は、晴れやかであった