感動の舞台裏に潜むタクラミ
今日は例の舞台音楽を作ったモダンダンスの公演の日なのだ。朝帰りの後、3時間ほど寝て正午に起きる。ランチを食べて、妻子とともに電車で梅田へ。娘と一緒にファッションビルの上にある観覧車に乗った後、でタクシーで、フェスティバルホールに向かう。会場入りし、さっそく楽屋に「こんにちは」と挨拶に行くと、舞台衣装を着込みメイクを済ませた大先生はソファにどっかり座り、なんだ?素手で生肉を食べてるよ。いや、よく見たら生ハムだったが、卵、ヨーグルト、フルーツなどをテーブルに山盛りに並べ、なぜか私の挨拶をまるで無視しながら眼を閉じたまま、もぐもぐとひたすらお食べになっている。なるほど、舞台の本番っちゅうのはエネルギー補給と集中力が大事なのねん。けど返事も無いし、いつまでも眺めていても仕方ないので部屋を出ようとすると「オイ、最後まで必ず見て帰るように!よく見て、来年の音楽の構想を考えておくように!」って、なんだ気付いてるじゃないか。しかも来年もボクやるんですか、先生。さてステージの幕が上がり本番スタート。舞台の進行は私の音楽に合わせて、大先生の気迫のこもったソロのパートと、女性のお弟子さん十数名との絡みによる壮大な「群舞」が交互に繰り広げられる展開。およそ1時間半の舞台を踊り切り、最後のカーテンコールでは、感激した観客の拍手の渦に、大先生自身も思わずステージ上で感涙。いやぁ、スバラシイ!しかしですな、この状況を冷静に考えるとですよ。サラリーマン(ボクね)が趣味で作ったわけのわからない音楽に合わせて、92歳の老人と十数人の若い女性が観客の前で真剣にピョコピョコ飛んだり跳ねたりするという、ある意味、異様な光景なんですなぁ。しかし万一、ボクの悪ふざけが暴走してですね、音楽の途中にさりげなく「おなら」の音なんかを要所要所挿入して一人ひそかにゲラゲラ笑っていたとしても、きっと誰も知らずに踊ったり泣いたりするんだろうなぁ。モダンダンス界の大御所の舞台裏でそんなことが行なわれてるなんて、普通ありえないしな。いえ、しませんよ。しませんけどね。