棺桶の値段
我が家の寝室にはエアコンを付けていなくて、今まで「まぁなんとかなるわ」と思っていたのだが、この連日の暑さに「もうどうにもなりません」と敗北宣言し、エアコンを取り付けることにした。といっても、ムスメの部屋に、まったく使っていないエアコンを1台遊ばせていたので、近所の電器屋さんにお願いして、付け替え工事だけをしてもらうことにした。突然電話したにも関わらず、電器屋さんは「今から行きます」と、その日のうちに工事をしてくれることになった。およそ1時間後、漫画家の蛭子能収(エビスヨシカズ)によく似た、とても腰の低い電器屋さんがやってきた。この日は、夕方から義父母が来て一緒に食事に行くことになっていたので、電器屋さんには悪いが「出かけるまでに全力でやってください」と激しくプレッシャーをかける。電器屋のエビスさんは、部屋にこもって作業をしながら、時々「あー」とか「ううー」とか言うので気になって覗くと、すべて独り言であった。気にしないようにしていたら、そのうち「えーと」とか「あれ?」とか「うわっ」とか言う声が聞こえてくるので少し不安になったりもする。そうこうしているうちに義父母が到着してしまい、追い込まれたエビスさんは汗をダラダラかきながら「うはー」とか「あちゃー」とか、ますます意味不明の独り言が多くなる。「終わりました!」というので見にいくと、取り付けはできていたが、取り外した方の部屋の壁にダクトの穴がポッカリ空いたまま帰ろうとするので、慌てて埋めてもらう。手抜き工事ではなかろうが、エビスさんの脳にもポッカリ穴が空いていたようである。ちなみに、エアコンの取り外し&取り付け料は、2万4千円。一瞬、それが高いのか安いのか判断つかない金額であるが、実は事前にエアコン取り付け専門業者(調べるまで知らなかったが)から家電量販店まで、費用の相場をネットで調べまくったところ、どういうわけか概ね25,000円~30,000円(+出張料)であったので、まぁ一応エビスさんの頑張りに免じてキッチリ支払ったのであった。しかし最近、善良な年寄りを食い物にした「悪徳リフォーム詐欺」が問題になっているが、例えば、急なトイレ詰まりとか、玄関鍵の交換とか、消火器の値段とか葬儀代とか、意外と急に直面することで普段から相場なんて知らないものというのは結構あるようだ。海外サバイバルでの感覚で言えば、ひとまず笑いながら十分の一に値切るところからスタートするのが、無難な鉄則であろうか。ともあれ我々は食事をしに出かけ、近所の串揚屋さんへ。ここは、毎回季節のネタが入れ替わり、味も見た目もなかなかグッドで、我が家のリピート率かなり高し。揚げ方が巧いのか、軽やかなサクサク感が上品で非常に旨い。そのくせここは良心価格の明朗会計でリーズナボーである。さすがにここでは、笑いながら十分の一に値切るなんてことはありま温泉。サーモンです、このままでどうぞ。