カテゴリ:読書感想
ジュネ『花のノートルダム』 「泥棒で同性愛者だった青年ジュネは獄中でこの処女作を書き、コクトーに見出され、20世紀最大の怪物作家となった。(文学的)超絶技巧を駆使して年の底辺をさ迷う犯罪者や同性愛者を徹底的に描写し卑劣を崇高に、悪を聖性に変えた文学史上もっとも過激な小説」との評価 ストーリーはディヴィーヌ(源氏名)というの男性がヒロイン(主人公)の成長録のようなもの。彼女(彼)をとりまく犯罪者や同性愛者の女たち(男たち)とのかかわりが、時々作者の姿、声も参加して絢爛豪華(ふんぷんたる臭気も放って)に流れていく。 ミステリ的に事件を追うという興味も加味されていて飽きさせない。 文学的論的価値はコクトー、サルトルに定評で、おまかせするとして 同性愛者、okama そんな言葉を話題にするのもはばかられる時代を過ぎてなんでもありの現代でも、この古い作品は新鮮に感じる。 書かれた時がわたしの生まれたころとはおもしろい。日本では6~70年代に翻訳流布されたらしいが、そのころはそんなこと知りもしなかったし、興味もなかっただろうが。 読み終わり「ああ」と謎が解けたことがある(笑) 男性が男性を愛する。しかも肉体的に。どうするの?まあ、具体的なことは本書を読んでいただきたいが。 男が男を愛するのであって、女を演じるだけで男が女に成るわけではない 「あたしってかわいそうな女」とディヴィーヌはいう 人工的な女装趣味でもなく、重大な事態になるとつい母国語に頼ってしまう現象でもなく、男性特有の器官が邪魔をするのだという、 わたしは女だから男性器官の機能の特徴はわからないが、意味はわかる。 考えるのは行動することだから、「女として」感じるには詩がうまれるという。なんとなく詩が解かったような気がしてきたからおもしろい。 ジュネのひととなりは気の毒なり、不道徳なり思うが人間論として深い深い作品であった。
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