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テーマ:今日のおやつ♪(26220)
カテゴリ:お茶の時間
このあいだ、くまが一緒に仕事をしている若ぐまくんと、そのかわいい恋人ちゃんと、いつものすてきなバーでごはんを食べた。 その夜はもちろん、とても楽しかったのだけど今日はその話ではなく。 そのとき、地元っ子のふたりに教えてもらった評判の和菓子屋さんへ、くまとふたりで出かけた。 「道がすごくわかりにくいんです!」と若ぐまくんが強調していた通り、地図で見当をつけたあたりをうろうろしても、ぜんぜん見つからない。 隠れ家のような…というと素敵だけど、ほんとうにどこかへ隠れちゃったのでは? と不安になってくる。 「えっ? こんな道?」と不安になるような細い道を車でとことこ走っていくと、あったあった、小さな赤い旗に店の名前が書いてある。 お店の建物は、築120年という蔵屋敷。 玄関へつづく石だたみの道のまわりには、よく手入れされた季節の草花がそっと風にゆれていて、気持ちがほっこりやさしくなる。 靴をぬぎ、がらりと引き戸をあけた先には、使いこまれた大きなふるいストーブ、昔のオルガン、そして色とりどりのお菓子が並ぶショーケース。奥の作業スペースから、店の女のひとたちの笑い声が聞こえる。 喫茶室は大きな囲炉裏のある畳の広間。竹久夢二の絵が飾られている。あめ色に磨きあげられたテーブルの上に、和紙を紐で綴じたノート。ひらいてみると、お客さんが筆ペンで感想を書き込むためのノートなのでした。 夫婦そろって甘いものに目がないわたしたち、若ぐまくんおすすめのわらびもちに、秋限定の栗のお菓子、手焼きの小さなどら焼きも注文。 「わらびもちの味が強いので、栗のお菓子を先に召し上がってくださいね」と運んできてくれたお姉さん。 アドバイスどおり、栗のお菓子をひとさじとって口に入れる。栗と砂糖を練ったもので、やさしい味の漉し餡を包んである。秋の香り。 それにしても、わらびもちにまぶしてある黄な粉の香ばしいこと! 中のおもちは、おどろくほどぷるぷるだ。 至福の時間を過ごしながら気になっていたのが、座敷の奥、二階へつづく階段。 喫茶はできませんが、ゆっくり休めます。古いものたくさんあります、と張り紙がしてあったので、お茶の後、ひと息ついてさっそくのぼってみる。 一段上がるたび、ぎい、ぎい、と大きな音をたてて軋むので、下で休んでいる人をおどろかせるような気がして、ちょっと気をつかう。 上がりきった二階は屋根裏部屋になっている。 顕微鏡や「ファーブル昆虫記」が並んだ机には、「おじいさんは昆虫博士でした」の張り紙。奥の本棚には、シェークスピア全集も。そうか、ここはおじいさんの書斎だったのですね。 この場所でおじいさんが、本をひらいたり書きものをしたり、顕微鏡で虫の羽をしらべたりした時間にしばし思いを馳せる。 それでなくとも、雪国の時間の流れは東京よりゆったりしているのに、このお店の中はもっとゆっくり、時間が伸びたり縮んだり、逆もどりしたってふしぎじゃない気がする。 聞けば関東の百貨店にもときどきお店を出しているそうなので、向こうへ行く機会には買いもとめて、あのひとやこのひとにご馳走したいな、と思ったのでした。 できることなら、このゆったりした時間の流れも箱に詰めて。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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