学術
アカデミズムって何の役に立つんだろう>特に文系と考える事もありますが、読むと「さすがこれがアカデミズムの力か!」と感銘を受ける本もあります。まあ私が読むのは、一般向け解説書がせいぜいですが、読んで流石だなあと思った本をいくつか連ねてみます。平勢隆郎『中国古代の予言書 』、講談社現代新書 2000年、ISBN: 4061495089新書を読みあさる契機となった1冊、学術書って案外面白いとも、学者の力量をスゴイとも思わされた1冊です。普通は孔子の編纂した歴史書と思われている『春秋』に理知の光を当てて考察してます。新井潤美『不機嫌なメアリー・ポピンズ イギリス小説と映画から読む「階級」』、平凡社新書 2005年、ISBN:4582852734これも『ブリジット・ショーンズの日記』ってジェイン・オースティンの『高慢と偏見』をリスペクトしたものだったの!とか、映画をここまで深読み出来るのか!とか、ドラマひとつにしても異文化って知らない事が多過ぎと思わされた1冊。遠山美都男『天皇と日本の起源 「飛鳥の大王」の謎を解く』、講談社現代新書 2003年、ISBN:4061496484万世一系の天皇制は幻想といわれますが、じゃ実際の天皇制はどう始まったのと問われるとよく分からない事が多いのですが、直系天皇制確立への道を丹念に考察した1冊。山田克哉『核兵器のしくみ』、講談社現代新書 2004年、ISBN:4061497006物理学は極めて論理的で整合性のある学問ですが、分かるように数式を使わず解説を書こうとすると極端に難しいものです、この本はその難解な課題をさらりとやってのけてます、そこに痺れる、憧れる(AA略古田 博司『東アジア「反日」トライアングル』、文春新書 2005年、ISBN: 4166604678昨今の情勢を反映してか、東アジア問題を取り扱った本も多く出版されていますが、行動の裏にある歴史観、文化観まで視野にいれて書かれてる本は少ないと思います。この本を読んで、あらためてアカデミズムの力を再認識しました。加糖健二郎『戦場の現在(いま)』、集英社新書 2005年、ISBN:4087202836学術書ではありませんが、いい仕事をしてると思います。現代の戦闘のレポとしては、第一級のものではないでしょうかp.s.全然アカデミズムもへったくれもありませんが。蛭児神建(元)著『出家日記 ある「おたく」の生涯』、角川書店 2005年、ISBN:4048839322これもスゴイ本です。以前、吾妻ひでお『失踪日記』を紹介しましたが、似たような装丁で(出版社は違うのですが)同じ判形の本です。表紙は吾妻ひでお先生のイラストです。かつてコミケのロリコン界にその人ありと噂された、蛭子神建(このペンネームの意味する存在は,本人によって消滅させられたので元がついてるとの事)の半生記(生きてるのに生涯はないと思うのだが…)真夏でもマスクにグラサン、ハンチング帽にトレンチコートの変質者スタイルでコミケを練り歩いてた人です。吾妻先生や西原理恵先生も中々な人生を送ってますが、この人はスゴイ、先の『失踪日記』比1.5倍ぐらいでしょうか。匹敵するといえば卯月妙子さんぐらいしか思いつかん。読者のスポットが極小ですが、宮崎事件以前のコミケを知る人間にとっては必読の書ではありますまいか。しかし角川書店,平背のチープな造作本に1,500円はあこぎだと思うぞ,蛭児神さんへの喜捨料が含まれているのなら,許してやらないことも無いが…竹熊健太郎とか大塚英志あたりを併せて読むとさらに吉