カテゴリ:74年英国
all the music was written and arranged by Yes
メインホースからの選択肢はイエスの「リレイヤー」しかなかった。 パトリック・モラツがイエスに加入していなかったら行き止まりになるところだったが、イエスのような高知名度のバンドを出すと軽く悔しい気持ちになる私。 マニアックなチョイスが続けば逆に嬉しくなるのだから、つくづくひねくれ者だ。 脱退したリック・ウェイクマン(某掲示板ではゴリラ=ウェイクマンである)に代わり、スイス出身でメインホースというヘヴィでジャジーでクラシカルなプログレッシブ・バンドにいたことがあるモラツがキーボードを担当。 他のメンバーは創立時からいるジョン・アンダーソンとクリス・スクワイアに、モラツより数年前に加入しているスティーヴ・ハウとアラン・ホワイト。 アランはビル・ブラッフォードに続くドラマーで、72年7月の加入。 ブラッフォードの行き先はもちろん、キング・クリムゾンだ。 スタジオ盤としては通算7作目になる。 A面1曲、B面2曲という構成は5作目「危機」と同じ構成。 ロジャー・ディーンがジャケットワークを担当しているのも一緒だが、こちらはなんとなく水墨画のような、東洋っぽい神秘が表現されている気もする。 ライブでのMC声も甲高かったアンダーソンの歌は相変わらずポエマーでドリーマー。 演奏にも重きを置いているバンドだから登場してこない時間も短くはないし、本人は自分の声をそんなに気に入ってはいないようだが彼の歌声はやっぱり、イエスを象徴している。 様々な点で個性が強かったウェイクマンの抜けた穴を見事に埋めているモラツは、祖国のジャズ・ピアニスト・コンクールで優勝したこともある実力派。 そのテクニックは確かなもので、ウェイクマンがあそこまで派手な存在じゃなかったらもっと有名になっていたかもしれない。 イエスというのは演奏力、とりわけアンサンブルの確かさには定評がある。 めまぐるしく展開していくが、そこに“混乱”や“ヤケクソ”はない。 一音一音の長さ、どこまでソロを取れば一番効果的か、エンディングのサステインの有無…すべて計算しつくしているかのような構築美があるのだ。 モラツのカラーが打ち出された2はホワイトの忙しいドラミングも楽しい、緊張感みなぎる人気の高い佳曲。 個人的にもこの曲はかなりのお気に入りである。 しかしハウのギターはどうしてもダイナミック演歌になってしまうのだった。 ところで。 インナーにメンバーフォトが載っているのだが、撮影者の名前がメインホースのベーシストと同じ。 同姓同名? それとも同名異人? 公式サイト お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[74年英国] カテゴリの最新記事
|
|