ルー=ガルー忌避すべき狼/京極夏彦
私の大好きな作家の一人、京極夏彦。そんな彼の作品です。彼の小説を読むときはいつも気合いを入れてます。それくらいの心構えがないと私は彼の小説のページを捲ることが出来ないのです。まずこの装丁が大好き。カバーを外してみても素敵だ。まず最初の取っ掛かりで集中出来なかった。京極作品はいつもなら最初から集中して読めるのだが…。台詞に人物の肉付けが希薄で読みづらい。しかしこれも京極マジックだと後々で知る。中盤に差し掛かる頃には登場人物が生き生きしだした。しかしどうも京極マジックが冴えない。陳腐な謎解きにガッカリする。「京極」銘柄でなければ非常に楽しんで読めた。近未来設定は一般からのアイデアを採用してバッググラウンドを構築。それは面白い取り組みだ。この手法は大沢在昌もやってなかったっけ?ひょっとしてこうなるのかな未来は。など奥深さは感じないが身近には感じられた。『占い』の講釈や倫理観のくだりは京極らしく唸る。これは映画になったら面白いかな。監督は塚本晋也でやって欲しい。