フランス流お役所仕事…クリスマスの粋な計らい
クリスマスの翌日である本日。狸さん(うちの赤子もうすぐ1歳9ヶ月)を抱っこしてお買い物に出掛ける時に、郵便受けをチェック。郵便物の中に、マリアンヌの横顔と「自由平等博愛…フランス共和国」と書いてある、税務署の請求にそっくりな封筒が一通、ゆんゆんと不吉なオーラを発していた。とりあえずその封筒だけを手にとり、残りは郵便受けに残して、外に出て歩き始めながらその封筒を開け、中に入っている紙を広げた(私は抱っこ帯を使っているので両手が空いている)。途端に、目の前がすうっと暗くなり、狸さんを抱っこしたままクラクラと卒倒しそうになった。「あなたの産休にともない社会保険からあなたに支払われた2,700ユーロを、返金してください」2,700ユーロは日本円にして約40万円。なんですかこれ?!こんなに貧乏なのに、また何かお金を取られなければならないのですか??!!産休中の給料返せってことですか???あんな沢山の社会保険費用を払い続けていたのに私には産休をとる権利もなかったのですか???なぜ今ごろになっての連絡なんですか???家に帰ってから早速、その紙にあった電話番号に鼻息も荒く電話してみたが誰も出ない。そこで、私と同じ時に元同僚で産休をとった人たち(その年は出産ラッシュで次々と妊婦が3人も出た)に電話してみたが、二人ともそんな紙は来てないという。その後、小一時間もの間、私は「共和国大統領に直訴の手紙を書いてやる」と涙をちびって激高する状態と、虚脱状態を繰り返し続けた。そんな私を見て狸さんは手を叩いて大喜びだ。少し落ち着いてもう一度良く読むと「あなたの産休中に支払われた給与に加え、余分に社会保険からあなたに支払われた2,700ユーロを、返金してください」と書いてある。産休中の給料を返せということではないようだ。そういえば、思い出した。産休中、中途半端なお金が3回ばかり社会保険から振り込まれ、こんなお金が貰えるとはどこにも書いてなかったので、何かの間違いだろう(使ってしまったら後が怖い)ととても不安に思い、社会保険事務所に言いにいったことがあった。(もちろん、電話しても通じないので、こういうときもわざわざ足を運んで並ぶわけだ。しかし産休関係以外にも税金だのなんだの余りにも書類だの役所通いだのが多すぎたので、このこともすっかり忘れていた。)この間違いの件について、社会保険事務所からの紙面の連絡は一切なかったが私の最後のほうの給料明細からは「社会保険から受け取り過ぎた手当の返金」とやらの名目で勝手に200ユーロぐらいずつ毎月引かれていた。その後、私は辞職したわけだが、そのために、給料から勝手に引き落とし続けることができなくなり、今回の請求は「まだ払ってない残り」ということらしい。私は、お金を振り込まれた途端、すぐ「何のお金かわからない。間違いではないか?」と指摘したのに、もうすぐ2年近くたつ今頃になって、しかもクリスマスの翌日にこんな手紙を送ってくるとは、さすがフランスだ。そして、2,700ユーロってこの金額は一体??追徴金でも入ってるのか?と思ったが、この書類にはどこにも「追徴金」らしき言葉は見あたらない。(そもそも私のミスではなく社会保険事務所のミスで起こったことだし、しかも私は自分のほうから正直に間違いではないかと指摘したぐらいだから追徴金だなんてとんでもない…でもフランスではそれもありがち。)書類には「名目違いの事故的徴収」という言葉が見あたるので、役所のミスであることは向こうも認めているらしいが、謝罪の言葉は一切ない。そういえば、この間、税務署から全く何の説明もなく突然2000ユーロ近い振り込みがあった。夫が問い合わせたところ、「取りすぎた税金を返した」そうだけれども、これも2年後ぐらいに「やっぱり間違いだったから2000ユーロ返金してくれ」といわれたらどうしよう。これももう使っちゃったんだけれども。いきなりあとから数千ユーロの額を返せといわれても返せない貧乏人に対し、こういうミスをしないでほしい。また、何事も、足を運んでその場にいって並んで人に会わないと解決できないフランスでは時間的精神的ロスも多大なものである。お役所が開いているのは平日の昼間だけなののい、二人とも普通の平日昼間毎日フルタイムのサラリーマンで共働きの夫婦なんかはこういうの一体どうしているのだろうか、不思議で仕方がない。