フランスの女性誌Jalouseに1ユーロでついてくる珍妙なおまけ
一応、アダルトな話。かなり前からフランスでは雑誌におまけをつけて売るのが流行っている。これはキオスクでは場所を食うし陳列しにくいので嫌われているが、おまけつきのほうが売れ行きは断然良いそうだ。さて、「Jalouse(ジャルーズ)」という女性誌がある。この雑誌のコンセプトはかなりポジティブ(…というよりはアグレッシブ?)に「若い女性の自由」を前面に打ち出すことにある。もちろん、「一部の特殊な若い女性のためのマニアな雑誌」ではなく、キオスクにいつも置いてある、一般的な雑誌である。私も一度オマケに惹かれて買ったことがある。その時のオマケは、一瞬、女性器のように見える写真がついたビニールのバッグ。よく見ると人の片目が縦にアップで写っているだけ。面白いと思ったので買ったはいいものの、これ、持って歩けない。日本だったら持って歩いていてもまわりの人に引かれるだけだろうけれども、フランスだとこんなものを持って歩いたら娼婦かなにかと間違えられてしまうだろう。かといって、なかなか面白いデザインのものを捨てるのも惜しいような気がして、結局、家でしまいこんだままになっているのであった。さて、そのJalouse誌の年末年始号のおまけは「バイブレーター」。「Good vibrations 2006年」とビーチボーイズの歌のタイトルからとった少々季節はずれなキャプションがついている。ヌーベル・オプセルバトゥールの記事によると販売部数の半分にあたる5万部にこのおまけがついており、オマケつきだと4ユーロ。オマケなしだと3ユーロ。オマケは不透明のプラスチックで包んであり「18禁」と書いてあるそうだ。オマケ付きとオマケ無しのバージョンを売り出したのは「読者や販売者が選択できるように」だそうである。つまり、「こんなものうちの店にゃーおけない!」と思った店は、3ユーロのオマケ無しのほうだけ仕入れればいいということだ。それにしても、たとえ店がこれを店頭に並べたとしても一体誰がキオスクで買うのだろうか? しかも5万部も。SPMI(プレスマガジン&情報組合)の組合長パスカル・マリー女史は「バイブレーターは今日ではフツーに消費されているもの」「今ではバイブレーターの地位は昔と大きく変わり、自由に販売され、広告にも堂々と出てくる」というが、…そうなのですか???いくらフランスでもこれを若い女性がガンガン買うのが一般的とは思えない。だが、「ソニア・リキエルが、セックスショップの外にバイブレーターを持ち出した先駆者」という一行が上記の記事にあったので、ちょっと検索してみたら、ソニアリキエルからは口紅型のバイブレーターや海外ドラマSex and the cityででてきた「兎」というバイブレーターが出ているそうで、サンジェルマンのリキエルのブティックでもエロティック・コレクションのコーナーがあるとのこと。また、Yobaというお洒落路線を打ち出した女性向けのランジェリー&セックスショップもできたそうだが、サイトを見ると、なんとプランタン百貨店内にもブティックがあるようだ(下着だけかな?)。…でも、数日前、近所の新聞屋さんで新聞を買った時になんとなく雑誌の並べてある場所を見てみた時は、Jalouse自体が並んでいなかった。やっぱり「普通!」といいきるには無理があると思う。ちなみにこのYobaのサイトを見てみると、「boules de Geisha(芸者ボール)」なるものがあった。紐に、クリスマスのデコレーションのようなボールが二つつながっているもので、これも性具らしい。「boules de Geisha」で検索すると、山のように他のセックスショップのサイトも出てくるのでフランスのアダルトグッズでは定番のもののようだ。ところが、日本語で「芸者 玉」「芸者 ボール」「ゲイシャ ボール」「アダルト ボール」で検索してみても、似通ったものは出てこない。「遊女 性具 玉」で探したらやっと「りんの玉」というものが昔あったらしいことが見つかった。が、「りんの玉」で検索してみると、それが現代の日本でアダルトグッズとして商品化されているということはないようだ。変なところで生き返って一人歩きしている日本の昔の文化…。はるばる海と時代を越えてこんなものをリバイバル・普及させているフランス人の文化的熱意には頭が下がる。