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カテゴリ:バイオリン
今朝Jを送っていく途中で思った。
ここはモノクロの世界。みぞれに近い雨をふくんだ灰色の空は低く垂れ下がり、行く場をなくした、剥き出しの枝々が狂わんばかりに手をのばしている。 色のない景色。 道路脇に立つコンストラクションのサインのオレンジはモノクロ写真に子供がいたずら描きしたかのように哀しく色付く。 どれだけ寒くても構わない。せめてお日様が見たいものだ。 こんな日が続くと眉間にしわがよってしまう。 車のFMでサラサーテのZigeunerweisenが流れた。 弾き手はパールマン。派手な出だしに続く切ないメロディが私は好きだ。この箇所になって、パールマンのイスに座って弾いている様子が目に浮かび、外の景色に彼のバイオリンの音が語りかけていた。娘はこの曲をいつか弾きたいと云っていた。 きょうはレッスンの日だった。 娘のバイオリンはこれからどうなるか分らないが、全神経を音に集中し、その瞬間は自分と音だけの空間を持てるということは、楽器を弾く人にとっての特権なのだろうなあと楽器を弾けない人、私は思う。その音の流れに身をゆだねて無心になり、自分の感情ではなく音が創り出してくれる世界に浸れということ。 レッスンを終えて大学のキャンパスを歩いて車に向かう途中、アライグマと遭遇。太った猫かと思ったら、じっとこちらを見るその姿は、アライグマ。双方立ち止まって動けない。”お願いだから~”という私の日本語を理解して、のそのそっと茂みに入ってくれた。 娘と私、”猫だと思ったよねー”と云いながら帰途についた。湖に打ち寄せる波が冬の夜の暗闇に吸い込まれていった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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