雲と泥
日本語の「雲泥の差」という表現を使って、ふと考える。「雲泥って、どっちが良くてどっちが悪いのよ?泥は土。大地。地球を形作る地盤。そして、植物を育てる栄養の固まり。それに比べて、雲なんて灰色じゃない。」そんなことが、脳裏を一瞬よぎり、そして、雲は灰色だと、これまた一瞬にして連想してしまった自分に気付く。いやあ。イギリスの気候に毒されているわ。(苦笑)でも、ほんとうは、違う。イギリスの雲だって、灰色ばかりじゃない。イギリスに来て間もない頃、イギリスの空のドラマチックなことに感動した。青空を背景にして、さまざまな形の白い雲と、真っ黒な雨雲が混在して、西の空には綺麗な夕焼けと、日暮れの陽の光が雲の隙間からすじ状の光。おお。美しいチンダル現象。天気の変化の激しいイギリスならではの、ドラマチックな空模様。そんな空を見て感動したんだった。イギリスの暮らしに慣れてくると、そんなことにはお構いなく、空は灰色だという固定観念が頭に住み着いた。固定観念より、先入観より、今、目の前に見えるもの。自分の目に明らかに見えるもの。大事にしたい。