二人ノ記念日
少し汗ばむような日差しが差し込む昼下がりの窓際にて。「今日で10ヶ月目になるんだね」「そうだね、これからも一緒に足並み揃えて笑ったり怒ったりしていこうね」「ちゃんと足並み揃ってる?」「俺のが足長い(笑)」「……」「郁は、こんな一言でも気にするんやろ?一生懸命なのは良いけど、少し肩の力抜いていこ?」「……」「俺が吠えるのは性格なんだからさ」「……」「郁が傍に居てくれるなら、俺は最大限サポートする。納得出来なくて衝突することもあるやろ。でも本当に大切な人だから言い合ったりするんやないん?」「……」「この前、ケンカして郁が飛び出していった日のこと覚えてる?」「…うん」「納得してないから俺は探しに行った。何時間も車を走らせてそこら中を探して廻った。やっと見付けた時、今にも泣き出しそうな顔して、一生懸命話そうとして、でも話せない郁が居た」「…うん」「本当は、頭グリグリしてやりたかったけど傍に居て欲しいから抱き寄せた」「…うん」「それで良いんやないのかな」「……」「傍に居ってくださいな」「…うん」「約束、指きり」これが私達二人の『記念日』の出来事の全て。何にもしないで、ただ手をつないで語らい、まどろむのを繰り返しただけの一日。だけど、幸せを体一杯に感じた一日。私はこの人の傍に居ようと思います。今もこれからも、ずっとずっと―