|
カテゴリ:フランス映画
映画製作の舞台裏や、そこに関わるに人々の悲喜こもごもを描いた巨匠フランソワ・トリュフォー監督の傑作中の傑作。 『パメラを紹介します』という一本の映画の撮影開始から完了までを、一本の映画の中で描いた、いわゆる内幕ものだ。 劇中劇の監督役としてフランソワ・トリュフォーが出演。一九七三年度アカデミー外国語映画賞、ニューヨーク批評家賞などを受賞した傑作。 その1: ”映画はかくして作られる”の見本 誇張はあるが・・・ パリで新作を作っている撮影所の内幕もの--。その映画の監督の名はフェラン(F・トリュフォー)。主演スターは、若手のアルフォンス(J・P・レオ)とベテランの俳優で映画の中では彼の父親役をやっているアレキサンドル(J・P・オーモン)、その妻に扮するセブリーヌ(V・コルテーゼ)、そしてヒロインを演じるジュリー(J・ビセット)。 ジュリーの夫ネルソン(D・マーカム)は医者だ。二年ほど前、彼女が神経衰弱になったときその治療に当たったのが彼で、それがロマンスのきっかけとなったのである。 一方、アルフォンスは、この撮影隊の見習いスクリプト・ガールのリリアーヌ(ダニ)に夢中だ。結婚を申し込んで彼女も承知してはくれたのだけれど、相変わらず男に取りまかれていて、お陰でアルフォンスは嫉妬に悩まされっぱなしだ。主演俳優が撮影そっちのけで見習いを追いかけまわすなど、考えられないことだが・・・、予期せぬことが起きるのが映画界ということか。 また、アレキサンドルはゴシップを警戒していて、私生活はいっさい極秘にしている男。彼が空港に恋人を迎えにいき、しかもその恋人というのが若いブロンド男ときては……。人目に立たない方がどうかしている。 ほかに撮影中にはいろいろと驚くべきことが発生。せっかく撮ったフィルムが現像所のミスで台なしになったり、女秘書役で出演の女優(A・スチュワルト)が大きなお腹をしてわざわざ水着で現われたりしてたちまち妊娠中とバレてしまったり、監督のフェランはこれらの混乱を何とか取り仕切ろうと必死だ。 その2: 混乱の始末はいつも監督とプロデューサーの役目? フェランはいつもセットの片隅で編物をしている女の意味ありげな視線にあてられっぱなし。 製作助手を夫にもつこの女は、貞操観念0に近いが、そのくせ自分は人一倍ヤキモチやきときている。アレキサンドルとジュリーも、撮影が白熱化するとともに、キャメラの前で演じる恋を実生活の中にまでもち込んでしまって、どうやら一時は本物とお芝居の区別がつかなくなってくる。 危険な車の暴走シーンを撮るため、イギリス人のスタントマンが雇われてきたのもその頃のことで彼の男性美にリリアーヌはたちまちゾッコン。アルフォンスはあっさりとふられる。 監督の説明によれば、車の衝突シーンは“アメリカの夜”に撮影するという。撮るのは昼間だが、キャメラのレンズにフィルターをかけると出来上がりが夜に見える。本当の夜よりもよっぽど本物らしく見える。これを“アメリカの夜”と呼ぶそうだ。 その3: かくして”騒動てん末記”は終わりに近づく アルフォンスが主役をおりると言い出したのはちょうどこの頃のこと。愛するリリアーヌが今度はスタントマンにいれこみ撮影が終わった男についていく始末。彼の子供じみたわがままを思いとどまらせたのは、何とジュリーである。気がついたら彼女はアルフォンスの腕の中にいて、二人はその夜、彼のベッドで一夜を共にした。 ジュリーが翌朝、夫との別離を決意したのはその夜のアルフォンスとの体験が強烈だったからだろう。ところが、別居声明発表の直前、彼女はまたまた昔の病気がぶり返して神経がおかしくなり、はるばる夫のネルソン博士がとんできて、離婚声明などどこへやら。 もっと、ドラマチックな事件がその直後に起こった。アレキサンドルが自動車事故で死んだのだ。一緒に乗っていた金髪の少年も重傷を負った。幸いアルフォンスが背後から父親を殺す一シーンを除いてアレキサンドルの出演シーンは全部終わっていた。 どうせ背中を見せるだけだからと、さっそく代役を起用して、無事撮影は終了。撮影隊が解散するときがきた。 ジュリーは夫と一緒に飛行機で帰っていき、アルフォンスは日本でロケされる新作の出演をOKする。TVレポーターがやってきて大道具係にマイクを向けた。 “撮影中に何か困難な問題は起きませんでしたか?”という質問だ。大道具係は微笑を浮かべてそれに答えた。 「なにもかもうまくいったよ。我々がこの映画を楽しんで作ったように、お客さんもこの映画を楽しんで見てくれれば、それでもう何もいうことはない……」 と。 映画を作る側はいつもこの気持ちで作っている。が、中には・・・ 1973年 フランス・イタリア 監督 監督 フランソワ・トリュフォー 出演 ジャクリーン・ビセット ジャン・ピエール・オーモン ヴァレンティナ・コルテーゼ ジャン・シャンピオン ダニ ジャン・ピエール・レオ アレクサンドラ・スチュワルト フランソワ・トリュフォー ブログランキングに参加中です 応援よろしくお願いします ↓ 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.02.20 11:45:35
コメント(0) | コメントを書く
[フランス映画] カテゴリの最新記事
|