019351 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

未熟な作家の気まぐれファンタジー小説blog

未熟な作家の気まぐれファンタジー小説blog

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Freepage List

Profile

clawvis

clawvis

Recent Posts

Category

Calendar

Comments

乗らない騎手@ ちょっとは木馬隠せw あのー、三 角 木 馬が家にあるってどん…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…
開放感@ 最近の大学生は凄いんですね。。 竿も玉もア○ルも全部隅々まで見られてガ…
しおん@ ヤホヤホぉ★ こっちゎ今2人なんだけどぉ アッチの話…
アゲチン@ ありがとうな!!!! <small> <a href="http://bite.bnpnstor…
2007.10.28
XML
カテゴリ:落雷疾風記
「目が覚めたか、クローヴィス。」
今は翌朝。気が付くと馬車内に座っていた。夕食も食べないまま寝てしまい、今までぐっすり眠っていたわけだが、起きると外傷が痛みだし、ふと気が付くと傷口が膿(う)んでいた。
長い馬車内の奥からレイスがやってきて、その膿(うみ)をとってはくれるものの、しばらくは安静にしておいた方が良さそうだ。
「あと1~2時間ほどで集落に着くはずだ。それまで朝食をとるがいいでしょうな。奥の馬車台所にいけばパンがあるはずですぞ。」
僕は洗顔を済まし、自分の寝ていた所から20m程も離れた馬車内道を早歩きで移動し扉を開けると、かなり広い空間が広がる。
そもそも精霊馬車に使用される馬型の精霊はどんな重たい物でも引っ張ることができ、中はほぼ亜空間で、収容人数や重量が存在しない。不思議なものである。
丁度そこにセルクがいた。
「おや、クローヴィス。起きたのかい?ここにパンが3枚あるから、好きなだけ食べていいよ。」
セルクの掌から、炎が発し、パンを焼いている。
「セルクって、将来の夢は何?」
僕が気軽に聞くと、セルクがパンを焼いているのを中断して、僕の方を向いた。
「僕の将来の夢は、『マジシャン』になることさ。だってほら、精霊を召喚しないで、物事が果たせるだろう?まぁそれなりの体力や頭の良さが要るけど、それはこれから頑張ればまだ間に合うから、今特訓中・・・・・・ってとこだね。」
そういい終えると、セルクが自分のポケットから革でできた小さな袋を取り出し、その中にあった豆のような石を出して見せてくれた。その豆のような石は、いろいろな色をしていた。そう、それは小さく加工された精霊石であった。
「今は9つあるかな・・・・・・マジシャンは精霊を常に召喚してないから、こうやって小さい精霊石に納める方が都合がいいんだよ。・・・・・・といっても、今火霊石が1つ余分なのがあるから、クローヴィスにあげるよ。火はあらゆる場面で使えるから、結構役立つと思うよ。あ、でもクローヴィス自体は使えないんだっけ。まぁ、他の人がついていれば、どこでも使えれるから、持っておきなよ。」
といって、3つ赤い石があるうちの1つを手渡しされた。
「その中に入っている火霊はね、『ゼミケル(ヴァイパライド科)』(猫型♀&♂)っていう、珍しい精霊なんだよ。まぁいわゆる、【2人で1人】っていうこと。つまり、2体入っているのさ。」
僕はその精霊石を受け取ると、セルクがアヴァナスで早速召喚。猫型の精霊が1匹出てきた。そして即座にパンの上を駆け回り、いい焼き色に仕上げて石の中に戻っていった。
「さっきのは『ゼル(♂)』。遠距離支援系。戦闘になると2匹とも出てくることが多いけど、最近は近距離格闘系の『ミケ(♀)』だけが出てくることが多いみたい。自分はあんまり精霊は召喚しないけど、数回出てくる内にわかったことなんだ。」
僕は相槌を打ちながらパンを齧(かじ)っていると、奥からジンの声が聞こえてきた。
「・・・・・・ぉぉ~ぃ、そろそろつくぞぉ・・・・・・」
小さな声でよく分からないが、集落までもう少しのようだ。

「ヴァンス・・・・・・お前は、何をしに向こうへ行った。」
ヴァンスが座に座っている人物に向かって、跪(ひざまず)いている。
「・・・・・・申し訳ございません。しかし、『あの物』は、お届けいたしました・・・・・・。」
座に座っているその者は、立ち上がって執事を呼んだ。
「我が僕(しもべ)ヴァンスよ・・・・・・我々が、あのクローヴィスとかいう若者に宛ててあの精霊石を送ったのには意味がある。分かるな。」
その者は手を強く握り、怒りが蔓延(まんえん)している中、ヴァンスは冷静に答える。
「・・・・・・承知の上でございます。あのケルイバルが用いた幻霊を再度仕えし者が現れたことを察し、我々が対処できなかった精霊を、彼の手により呼び戻す指令。忘れた覚えはございません。」
そしてその者に再び執事がやってくると、執事はその者に本を渡した。
「お前が持っている『エルガーラの書』。その書は半径3km以内に毒気を発し、お前共々玉砕し、その若者を殺すのが指令だったはず。元々お前は、ニクスに化けた捨て駒だった。だが今、お前とエルガーラの書はここにある。お前はこの指令に失敗した。この失敗を、お前はどう償う。答えてみよ。」
ヴァンスが息を詰まらせていると、その者は執事から渡された本をヴァンスの前に投げ渡した。
「ではもう一度、指令を与える。その本を用いて、若者クローヴィスの親友と呼ばれる『ジン・ナパイヤー』を抹殺するのだ。就く者も少し遣(や)る。それで、この本『ビヴィラヴァロスの書』を使用し、お前諸共(もろとも)玉砕するのだ。詠むと爆破するこの呪本を使ってな・・・・・・。
これが、私がお前にやる『最終指令』だ。これは名誉、お前の名が高く挙げられる行動だ。失敗せぬ様に。以上。」
ヴァンスは目の前に落ちているビヴィラヴァロスの書を身の懐に隠し、暗い部屋の中で仄(ほの)かに光る眼で、憎しみの憑いた眼で、その者に一礼してその場を去った。
「邪神王ナイトメア様の仰(おお)せなるままに―――。」

―――あれから数ヶ月、僕達は何事もなく、平和な日々を送っていた。そしていつの間にか年を越し、今日は1月23日。ジンの誕生日だ。それと・・・・・・
僕は朝食を取り、少し休憩すると、プレゼントを『2つ』持って外出した。
僕がとある大きな建物の扉をノックすると、少し声の高いおじいさんの様な声が奥から聞こえてきた。執事のようだ。
「これはこれはクローヴィス殿。ようこそアクドル邸へ。待っていましたぞ。皆様奥に居(お)られます。まぁ奥といいましても、ここから突き当りまで真っ直(す)ぐ行きまして、そこを右に曲がっていただきます。そこから2番目の角を曲がった所に5つ部屋の扉がございます。その内、左から2番目の扉の奥に皆様がご着席しておられます。クローヴィス殿の席は、入って右から3つ目の列の手前から34番目の椅子に・・・・・・・」
まるで眠くなってしまうような道案内だったので、結局執事に案内してもらった。
ここはレベッカの屋敷。そう、今日はジンの誕生日と同時に、レベッカの誕生日でもあった。
目の前には豪華な料理が並び、周りは花や観葉植物でいっぱいであった。
めったにレベッカの屋敷には来ないので、毎回その屋敷の大きさには圧倒される。ただ単に娘の誕生日なだけなのに、いろいろなところから人が来るので、今見ただけでもざっと120人ぐらいは、いるだろう。
執事に案内されて、奥へ奥へと入っていくと、言われた大部屋へと出た。奥の方にジンとレベッカが横に並んで座っていて、なにかと仲良く話しているのが目に入った。
僕からジンまでの距離はだいぶ離れていて、到底プレゼントを渡せそうにない。ここは人数が減ってから渡しに行くとしよう。
よく周りを見ると、ワイル家やウィル、ティクル、オスカーも顔を見せている。
しばらく経ってから、執事が司会をとる。
「え~、本日は、真に喜ばしい日でございます。レベッカお嬢様とジン殿の生誕日が一緒というわけでございまして・・・・・・」
と、聞き苦しい口調の司会発言の最中、パウラーは目の前にあるご馳走を頬張っていた。一般庶民の食事の10、20倍も豪華で、司会の話を聞く時間がもったいないのが、度々身に沁(し)みる。
その時だ。大部屋の扉が勢いよくバタンと開き、青い髪、ショールカラーの浮遊したマント、目に見えるティール感覚を宿らせた男が、入室してきた。
「・・・・・・ここに、マクロフィア家の子は居(お)らぬか。居たら外に出てきて頂こう。少し話がしたいのだ。」
僕はすかさず立ち上がり、その男の元へ行った。ロリヤックかと思うが、油断はできない。ヴァンスのような事がある可能性があるため、警戒して、オスカーからもらった銃を携(たずさ)えて行った。
僕は、その男の後ろをついて行き、やがて屋敷を出、屋敷の裏へと回った。
横を見ると、崖であった。自宅よりレベッカ邸の方が地面が高い上、自宅からでは屋敷の裏は見えない。屋敷の裏に崖があるというのは、今日生まれて初めて知ったことだった。
やがて男は立ち止まり、僕のほうを向いて、崖に背を向けた。
「・・・・・・君に、妙な小包は届いてなかったか。精錬されたような精霊石が入った小包をが、届いてはなかったか。」
僕は躊躇(ためら)う事なく、問い返した。
「なぜあなたは僕の元に小包が届いていることを、なぜ知っているのですか。それはあなたにとって、何か重要なことですか。」
男は黙った。浮遊しているマントから、色白とした仮面が1つ、取り出された。その仮面の額には、深緑の色をした石がはめ込まれている。
「なぜ知っているのか。そう私に問うということは、届いているのだな。・・・・・・それでいい。ならば、この仮面と交換する気はないか。」
「・・・・・・その気はないよ。これは、僕に当てられた小包・・・・・・」
僕がそう言い切る前に、その男は話し始めた。
「マァティスの仮面を所持しているな。『カミルの雫』というものも知っているだろう。そのカミルの雫は、7つの島々に眠る輝石の一つ。ヴィルム島の輝石が、カミルの雫。そしてこの深緑の閃光を放つ輝石は、メイリル島の輝石『ナーガスの種』。メイリル島の一つの集落『ウォンキャベルネイ』の守護風神『ナーガス』が蒔(ま)いた種が、長い時間を経て石化したものだ。その風神ナーガスは、今も尚(なお)、存在している。推定年齢は1万~1万5000歳。まぁ、精霊の中では長生きな方であろう。
その風神ナーガスが所持していた『参武塵風剣』。『風神の秘剣・ゲルクナーガス』、『風神の左籠手(さこて)・バルクナーガス』、『風神の右籠手(うこて)・ダルクナーガス』の事だが、この内、君はどれか、所持してはいないかね。」
僕はハッとした。『ウォンキャベルネイ』。どこかで聞いたことがあると思いきや、オスカーの故郷だ。しかも、風神の秘剣・ゲルクナーガス、この剣は、オスカーが所持している愛剣だ。しかし、この男に話してもいいのだろうか。警戒して、この男と関わらなければならない。
「そもそも、なぜあなたは自分がマァティスの仮面を所持していることを知っているのですか。どこからその情報を・・・・・・」
男は、さっきから憐れみ深く笑っている。
「ではこの人物を知っているかね。1週間ほど、敵の者たちと寝食共にし、味方の頭(かしら)からの命令を忘れていた。しかし、挙句の果てに自分の精霊の力が果てかけてきたことに気づいた頃に、命令を思い出し、遂行しだすようになった者の事を。
その者に与えられた命令、どんなものか知っているか。」
僕は当てはまる人物が目の前に居るような気がして、少し怖かった。答えたくなかったのだ。今となっては敵、そう思えばなんともないはずだが、何か、心残りだった。しかし、次に男の口から出た言葉に僕は絶句し、その人が何をしたかったのか、不意に感じ始めた。僕を、仲間を失いたくないという気持ちが、その命令の内容を打ち砕いていたのかも知れないという事に。
「教えてやろう。その者が、お前に宛ててしなければいけなかった2つの指令を。」
               『お前の友を殺し、お前共々、玉砕する』―――。              





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.10.28 22:29:14
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.
X