住宅資金贈与の特例
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の特例(相続時精算課税)[平成17年4月1日現在法令等](相続時精算課税選択の特例)1.平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に20歳以上である子が親から自己の居住の用に供する一定の家屋を取得するための資金又は自己の居住の用に供する家屋の一定の増改築のための資金(住宅取得等資金といいます。)の贈与を受け、その資金を贈与を受けた年の翌年3月15日までに一定の家屋の取得又は一定の増改築の費用に充てて、その家屋を同日までに居住の用に供するか又は同日後遅滞なく居住の用に供した場合に限り、これらの資金の贈与については贈与者である親が65歳未満であっても相続時精算課税を選択することができます。2.「一定の家屋」とは、次の要件を満たす日本国内にある家屋をいいます。 なお、居住の用に供する家屋が2以上ある場合には、その者が主として居住の用に供すると認められる一の家屋に限ります。1.家屋の登記簿上の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上であること。 2.購入する家屋が中古の場合は、家屋の構造によって次のような制限があります。 マンション等の耐火建築物の場合は、その家屋の取得の日以前25年以内に建築されたものであること 耐火建築物以外の建物の場合は、その家屋の取得の日以前20年以内に建築されものであること ただし、平成17年4月1日以後に取得する中古住宅のうち、一定の耐震基準を満たすものについては、建築年数の制限はありません。 3.床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること。 3.「一定の増改築」とは、その者が所有し、居住の用に供している家屋について日本国内において行われる増築、改築、大規模の修繕、大規模の模様替その他の工事のうち一定のもので次の要件を満たすものをいいます。1.増改築等の工事に要した費用が100万円以上であること。なお居住用部分の工事費が全体の工事費の2分の1以上でなければなりません。 2.増改築等後の家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されること。 3.増改築等後の家屋の床面積(区分所有の場合には、その区分所有する部分の床面積)が50平方メートル以上であること。 4.適用手続 この特例の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、相続時精算課税選択届出書、住民票の写し、登記事項証明書、耐震基準適合証明書など一定の書類を添付しなければなりません。(住宅資金特別控除の特例)1.平成15年1月1日から平成17年12月31日までの間に20歳以上である子が親から住宅取得等資金の贈与を受け、その資金を贈与を受けた年の翌年3月15日までに上記(相続時精算課税選択の特例)の2及び3に記載した一定の家屋の取得又は一定の増改築に充てて、その家屋を同日までに居住の用に供するか又は同日後遅滞なく居住の用に供した場合に限り、これらの資金の贈与については2,500万円の特別控除額のほかに1,000万円の住宅資金特別控除額を控除することができます。2.適用手続 この特例の適用を受けるためには、贈与税の期限内申告書にこの特例を受ける旨を記載するとともに、相続時精算課税選択届出書、住民票の写し、登記事項証明書、耐震基準適合証明書など一定の書類を添付しなければなりません。 ただし、平成15年1月1日以後に贈与により取得した住宅取得資金等について、「5分5乗方式」の住宅取得資金等の贈与の特例の適用を受けた人は、その贈与を受けた日の属する年の翌年以後4年間は、その贈与に係る贈与者からの贈与について、相続時精算課税を選択することはできません。 しかし、平成14年12月31日までに「5分5乗方式」の住宅取得資金等の贈与の特例の適用を受けた人は、同一の贈与者からの贈与であったとしても、平成15年1月1日以後その者から贈与により取得した財産に係る贈与税について相続時精算課税を選択することができます。(相法21の9、措法70の3、70の3の2、措令40の5、措規23の6、23の6の2、平15年措法附則123、平17年措令附則123)相続時精算課税制度 相続時精算課税の選択[平成17年4月1日現在法令等]1.制度の概要 贈与税の課税制度には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあり、平成15年1月1日以後に財産の贈与を受けた人は、一定の要件に該当する場合には、相続時精算課税を選択することができます。この制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。2.適用対象者 贈与者は65歳以上の親、受贈者は贈与者の推定相続人である20歳以上の子(代襲相続人を含みます。)とされています(年齢は贈与の年の1月1日現在のもの)。3.適用対象財産等 贈与財産の種類、金額、贈与回数に制限はありません。4.税額の計算(1)贈与税額の計算 相続時精算課税の適用を受ける贈与財産については、選択をした年以後、相続時精算課税に係る贈与者以外の者からの贈与財産と区分して、その贈与者(親)から1年間に贈与を受けた財産の価額の合計額を基に贈与税額を計算します。 その贈与税の額は、贈与財産の価額の合計額から、複数年にわたり利用できる特別控除額(限度額:2,500万円。ただし、前年以前において、既にこの特別控除額を控除している場合は、残額が限度額となります。)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。 なお、相続時精算課税を選択した受贈者(子)が、相続時精算課税に係る贈与者以外の者から贈与を受けた財産については、その贈与財産の価額の合計額から暦年課税の基礎控除額110万円を控除し、贈与税の速算表に定める税率を乗じて贈与税額を計算します。(注) 相続時精算課税に係る贈与税額を計算する際には、暦年課税の基礎控除額110万円を控除することはできませんので、贈与を受けた財産が110万円以下であっても贈与税の申告をする必要があります。(2)相続税額の計算 相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者の相続時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。 その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。 なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。5.適用手続 相続時精算課税を選択しようとする受贈者(子)は、その選択に係る最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間(贈与税の申告書の提出期間)に納税地の所轄税務署長に対して「相続時精算課税選択届出書」を受贈者の戸籍の謄本などの一定の書類とともに贈与税の申告書に添付して提出することとされています。 この選択は、受贈者である兄弟姉妹が各々、贈与者である父、母ごとに選択でき、最初の贈与の際の届出により贈与者の相続時まで継続して適用され、途中で暦年課税に変更することはできません。贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)[平成17年4月1日現在法令等] 相続時精算課税を選択した場合の贈与税の計算を具体例で説明すると次のようになります。例:父及び母から生前贈与を受け、父からの贈与について相続時精算課税を選択する場合(1年目)父から1,000万円及び、母から400万円の贈与を受け、父からの贈与について相続時精算課税を選択する。(1)父からの贈与〈課税される金額の計算〉1,000万円-1,000万円(特別控除額)=0〈翌年以降に繰り越される特別控除額の計算〉2,500万円-1,000万円=1,500万円(2)母からの贈与〈課税される金額の計算〉母からの贈与については、相続時精算課税を選択していませんので、2,500万円の特別控除額ではなく、110万円の基礎控除額を受贈額より控除します。400万円-110万円(基礎控除額)=290万円〈贈与税額の計算〉290万円×15%-10万円=33.5万円(2年目)父から1,000万円の贈与を受ける。〈課税される金額の計算〉1,000万円-1,000万円(特別控除額)=0〈翌年以降に繰り越される特別控除額の計算〉1,500万円-1,000万円=500万円(特別控除額)(3年目)父から1,000万円の贈与を受ける。〈課税される金額の計算〉1,000万円-500万円(特別控除額)=500万円〈贈与税額の計算〉500万円×20%=100万円(贈与税額) 相続時精算課税を選択した場合、その後の撤回はできません。相続時精算課税の特別控除を受けるためには、贈与税の期限内申告が必要です。 また、相続時精算課税を選択した場合、その選択に係る贈与者(上記の例では父)が死亡したときの相続税の課税価格に、その贈与者から贈与により取得した財産の贈与時の価額を加算することとなります。 上記の例では父から贈与を受けた財産の合計額3,000万円を父が死亡したときの相続税の課税価格に加算することとなります。