☆肉食と油食で扁桃腺膿だらけです☆
「また熱が出ました」「扁桃腺真っ赤で膿だらけです」「バイキンにばっかり好かれます」「炎症性体質ですね」「炎症性物質ばっかり食べてます」「粗食にした方がいいですよ」「旦那が肉と油もの毎日買ってきて・・・」「あぁあの脂ぎった・・・」 ここ1年間化膿性扁桃炎と腸炎を繰り返している2才半の男の子(IgE:35、卵白1、猫1)。MRSAやらサルモネラやらマイコプラズマやら毎回変な病原体が検出され、白血球は14000~16000、炎症反応(CRP)も検査するたびに陽性(8.3~9.0)です。 母親は児のためにきちんとした食事を心がけておりますが、脂ぎった赤ら顔の父親が毎日フライドチキンやら豚カツやら揚げ物を買って来るそうで、たくさん食べているようです。 扁桃「炎」や腸「炎」などの「炎」の付く病気は「炎症性体質」です。「n-6系の炎症性物質」の食べ過ぎです。n-6系の炎症性物質はアラキドン酸(獣)とリノール酸(油)です。 炎症を起こさない食べ物は和食:「n-3系の魚菜食」です。魚類:EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)や、野菜:αリノレン酸は炎症を起こしにくい食べ物です。 炎症の原因になる物質は主に脂肪酸(一般式 CnHmCOOH)ですが、二重結合のないものが飽和脂肪酸(主に動物性脂肪)、二重結合のあるものが不飽和脂肪酸です(主に植物油、二重結合の位置によってn-3,n-6,n-9系脂肪酸に分かれる)。 炎症を起こしにくい食生活はn-6:n-3比が4:1と言われておりますが、現代人の食生活は7~10:1くらいの炎症性の食生活になっているようです。 リノール酸(C18H32O2:大豆油などの一般的な植物油)を減らしてアラキドン酸(C20H32O2:肉食)から魚菜食(DHA:C22H32O2、EPA:C20H30O2)に変える必要があります。 なお、オリーブ油のオレイン酸(C18H34O2)はn-9系で、炎症にはあまり関係がなく、善玉コレステロールを増やします。 γリノレン酸(C18H30O2)はn-6系ですが(二重結合の位置がC6,C9,C12)、アトピーなどに(たとえば月見草油)良いと言う意見も(良くないという意見も)あります。 αリノレン酸(C18H30O2)はn-3系ですが(二重結合の位置がC3,C6,C9、亜麻仁油、シソ油、エゴマ油などに豊富)、当科外来でも、一般にアトピーに良いと言われているエゴマ油でアレルギーを起こす児が何人かおります。 アレルギーには一般常識は通用しません。恐い恐い。