エコ漫画SEEDとマジンジラを読んで菅伸吉さんに合掌
ラディック鯨井などのペンネームで知られるエコロジー漫画原作者 菅 伸吉さんが、ガンのため9日の朝、永眠されました。 エコロジーオンラインの上岡 裕さんからのメールで知りました。 切なさと無念さでいっぱいです。 これからの10年こそ、 菅さんが原作してきた、そしてこれから原作するマンガが、 日本にとって、アジアにとって、世界にとって ますます大切になるというその時に.....。 エコロジーオンラインの上岡さんとの出会いは、 私にとってかけがえのないありがたいご縁なのですが.... その出会いを、決定的に印象づけたのが、 菅さん原作のマンガ「SEED」でした。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ SEED 全10巻 ヤングジャンプ・コミックスBJ ───────────────────────────── ラデック・鯨井, 本庄 敬著 ───────────────────────────── 価 格: ¥530 (税込) 出版者:集英社 ISBN: 4088754603 ───────────────────────────── 発展途上国などの農業開発に携わる森野は、政府開発援助の 企画を立てるため、ベトナムのバンソップ地方へと向かう。 しかしその地は、かつて彼が関わった仕事で事故を起こした 因縁の地だった!? ───────────────────────────── http://www.eco-online.org/contents/books/index.shtml ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 菅さんに怒られそうですが、やや乱暴に言うならば、 地球を植物の力で治そうとするエコロジー版!ブラックジャック ...とご紹介したらイメージが湧くでしょうか。 上岡さんは、多くを語らずに、この本を薦めてくださったのですが、 この知られざる名作の全10巻を読破することで、 私の視界は急に拓け、価値観も変わっていったのです。 もし、わが子に読ませたいマンガBEST5を挙げろと言われたら、 手塚治虫「火の鳥」 さいとうたかお「ゴルゴ13」 横山光輝「三国志」 青木雄二「ナニワ金融道」 とあわせて「SEED」を薦めるでしょう。 ですから、エコロジーオンラインの会で、 菅さんにはじめてお会いした時は、ひそかに緊張しておりました。 しかし、菅さんは、痩せた体で淡々と好きな酒を飲み、 終始にこやかに語ってくださるのでした。 心に燃える炎を持ちながらも、環境運動家「らしくない粋な姿」に 小柄で痩せた体からはうかがい知れない「人としての大きさ」に、 深く感銘を受けたのでした。 お会いできたのは、数えるほどでしたが、 上岡さんのメールを拝読しながら、今もありありとお話しぶりを 思い出せますのは「なぜ」でしょう。 別のペンネームなどで、アニメにもなった名作マンガなどを手がけた 菅さんですから、数多くの人を集めても良さそうなのですが、 ご本人のご遺志により....》菅さんらしく香典も供物もいらないということで、》身内を中心とした葬儀 になったそうです。 お別れの式に参加した上岡さんのメールには こんなご報告がありました。》昨日参加した告別式は、無宗教で、献花のみを》行うというシンプルなものでした。》親類を代表して挨拶をされた菅さんの》お兄さんが故人が遺した地球環境への思いを》みなさんもすこしでもくみ取っていただければ》という挨拶にはグッとくるものがありました。》そして最後に親類縁者の方に「マジンジラ」が》配られました。》》告別式で手渡された菅さんのメッセージには》下記のようなことが書かれています。》》* * *》万葉集貧窮問答歌に次の一首があります。》》『楽しみは 貧しきままに 友よびて》 酒飲め、物食えと言う時なり』》》私はこの一首を愛する者です。多分、諸君も。》今日はわずかな時間ですが、》この歌の通り、本物の琉球泡盛を大いに飲んで下さい。》それが私の喜びです。》* * *》(中略)》》本当にイキでやんちゃな菅さんらしい》旅立ちでした。 告別式で身内に手渡されたという菅さんの遺作「マジンジラ」... この本を読んだのは、夏休みのころで、 その感動は、縁メールにも書きました。 ▼マジンジラは「大人の夏休み課題図書」「心のビオトープ」 http://smallbiz.nikkeibp.co.jp/free/RASHINBAN/20040809/105222/ その内容は.... ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 環境マンガ「マジンジラ」 EOLキッズ (1) ────────────────────────────── 原作:ラデック鯨井, 作画:つやま あきひこ ────────────────────────────── 価格:¥1,680(税込) 出版社:ソニー・マガジンズ ; ISBN: 4789722988 ; (2004/07) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ たとえばケニアの草原で たとえばアマゾンの大砂漠で たとえばニューヨークのダウンタウンで 地球と命のふしぎに向き合った少年の物語。 ────────────────────────────── この本は、学研「5年の学習」2002年4号~2004年3号に連載された 内容を加筆・修正してまとめたもので、海外編と国内編の2部構成。 海外編では、小学4年生の少年が学者のおじいちゃんに連れられて 世界のさまざまな場所で地球と命の不思議と向き合うことになります。 そして、国内編では、その少年が小学校のクラスに戻り、仲間と力を 合わせてビオトープを作り上げるまでを描き出しています。 基本的には小学校高学年の子供たちに向けた作りになっていますが、 エコロジー・ビギナーの大人の方が読んでも"面白くてためになる "内容で、これまでの常識を破った環境マンガと言えるでしょう。 http://www.eco-online.org/contents/books/index.shtml ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実は、先週、この「マジンジラ」をめぐって、 すこし不思議な体験をいたしました。 菅さんが、まさに天に旅立つ準備をされているころに 次回のCOMZINE「メール道」の原稿を兼ねて 今年のお年賀メールをしたためておりました。 そして、今年一番感動した本は何かと考え.... あまたある感動的な本の数々が頭をめぐりましたが、 どうしても頭から離れないのが「マジンジラ」でした。 そこで「今年の一冊」としてご紹介、リンクしたのです。 今一度、菅さんのご冥福を心よりお祈りしながら、 この本をお薦めしたいと思います。 ▼イオル版環境教育サイト『イオルキッズ』 http://www.eco-online.org/kids/ ▼老舗NGO環境サイト『エコロジーオンライン』 http://www.eco-online.org/久米 信行@縁尋奇妙http://kume.jphttp://t-galaxy.com/news/http://jentle.co.jp/http://t-galaxy.com/