二足のわらじと癒される歌
二足のわらじという言葉があります。時代劇で、町奉行所の手先として十手を預かる目明しの親分が、実は賭博を開帳するヤクザの親分でもある。たいがいが悪人ですが、この二つの職業をかけ持っていることを「二足のわらじ」と呼びます。何故、職業をわらじに喩えるのかと言えば、それは職業、生業(なりわい)を世間を渡っていくという意味の「渡世」と捉え、こうした人生を旅に喩えるからです。渡世に必要な生業=旅に必要なわらじという関係ですね。渡世人と言えば、狭い意味では博打打ちのことですが、これは、博打打ちが一所に留まらない住所不定の無宿人で、賭場から賭場を渡り歩いて賭博をすることを生業としているからでしょう。時は下って現代では、特にバブル崩壊以降、日本的経営の主な特質だった年功序列の終身雇用制が瓦解し、中高年でもリストラになるご時世になったことで、社会やマスコミが、この二足のわらじを持ち上げたことから、特にサラリーマン達の不安解消や、生きがい・自分探しに対応するキーワードとなったようです。そこでは必ずしも副業を意味するだけでなく、趣味やライフワークをも包含する大きな意義を感じているようです。できればそこからも収入があればいいが、生業としての本業では得られない自己実現を目指すのが、第一優先。ある時は優秀な銀行マン、そしてある時はシンガーソングライターであったのが若き日のあの小椋佳でした。かく言う私もコンサルタントと出家僧の二足のわらじを履くことになりました。私がファンでもある楽天ブログ「Evergreen」のEvergreen_63さんも、そのお一人です。生業は「メーカー・商社系」のバリバリのビジネスマンであり、中東と日本をたびたび往復してご活躍の様子です。一方、風景写真撮影を趣味とするセンシティブなミュージシャンで、作詞・作曲とボーカルとして3つのバンドと1つのユニットによるライブ活動やCD制作をされています。その彼の26日の日記に、TVアンテナが林立する郊外の住宅地の、庶民的な生活感を空から包み込んでいく叙情的な夕焼けの写真と、下記の詩が掲載されていました。またそのボーカル付き曲も試聴することができます。どうしてもご紹介したいブログです。「 あなたと 夏の夕暮れ 雲は流れて 揺れていた 気持ちはもう 立ち止まって... 」 Copyright (C) 2005 Evergreen Records & Shigeru Kimoto, All Rights Reservedすーっと、落ち着いた静かな世界に包まれていく感じの曲ですよ。いろいろあったに違いない「あなた」との関係が、夏の美しい夕暮れに包まれて「立ち止まる」。夜のとばりが下りるまでの、それはつかの間の出来事かもしれないけれど、永遠に続くかのようにも思われる。それは、涅槃寂静の世界。争いや悩みのない世界。何か大きな愛に包まれた世界です。Evergreen_63さん、いい時間をありがとう!感謝です。Evergreen_63さんのブログです。下記で視聴もできますよ。Evergreen_63さんのブログへリンク合掌 観学院称徳