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カテゴリ:いろいろなお医者さん
インフォームドコンセントの観点から、近頃はカルテ開示を意識して記録をするように、という指示が出ている。
特に厳格なのは看護記録の記載。 例えば「このクソ女(アマ)、じゅびあってんのか、上等だな!」と躁病の患者さんが叫んだとする。 以前だと看護記録には「...と暴言を吐いた」などと記載されていたが、「暴言」という言葉自体が職員側からの視点で書かれたものであるし、「吐いた」というのも患者様に対して使う言葉遣いではない、というように。 患者様にいつでも見ていただいていいようにカルテを書く、ということになると、発言内容はどうあれ「...と主治医に向かって、おっしゃった」ということになる。 そこまでするのも何となく、慇懃無礼で嫌味な感じがする(笑)。 患者様にいつ見せてもいいように、ということになると、医師もカルテに英語交じり、略語交じりで記載できないことになるが、精神科の診察記事は量が多い。 話を聞きながら書き、書ききれないと診察が終わってからさらに思い出して書くけれど、略語を使っちゃいけないと言われたら、現実はかなり辛い。 開示するときは説明すればいいさ、ととっくに腹をくくった。 普段カルテを書くに当たって、気をつけていることは、患者様への分かりやすさは二の次にして(ごめん)、「とにかく看護に指示が分かりやすいように」ということ。 指示が分かりにくいカルテでは、伝達ミスが起きやすくなるから、結果として一番患者様に不利益になるからだ。 私は処方変更するときは、必ず看護カーデックス分(カーデックスそのものが伝達ミスの元だが、うちの病院では今もカーデックスを使っている)のラベルと自分のカルテラベルを2枚出して、処方をどう変えたか赤ペンで↓↑を入れ、臨時処方からの移行には「←臨」とマーク、中止した薬剤は「××off」、新しく追加した薬剤には「××on」。 あまり向精神薬についての知識がなかった看護師でも、暫く私のカルテを見ていれば、処方から「ああ、これはこういう患者さんなんだ」とビミョーなニュアンスが分かるようになる。 検査オーダーの日付が、すぐでない時はカルテラベルにも、指示簿にも、実施日に赤ペンでアンダーラインを入れ、注意を促している。 また、私のカルテは字も読みやすいと評判がいい。 字が読みやすい、ということは楷書に近い、ということで、誤字やスペルミスが誤魔化しきれない、という難点もある。 いや、こんなことは当たり前だと思っていた。 だが、当たり前でない医師が多いことには驚く。 まず、医者は大体、字が汚い。 さらに、院長クラスになると指示簿をろくに書かない。 口頭指示や、カルテ記事の記載から指示と思われるものを拾って、カーデックスに看護が慌てて書き写す。 しかも院長は、いつの間にかやってきていつの間にかカルテを出して書いて、誰にも言わず元通りに戻していくから、看護師は診察も指示も有無が分からない。 記事にちょろっと書かれていることを、気づかずに確認してしまったりすれば「看護計画はどうなっているんだ。そんなことはとっくに言っただろう」と逆鱗に触れるから、いつもピリピリしている。 院長に気を遣うあまり、リーダー業務で心身を崩した人も多い。 「リーダーの日に、患者さんに何かあってカルテを出しても、じゅびあ先生のカルテだと、ほっとするんです。だって、指示簿さえ見れば、全部はっきり分かるように、書いてあるから。」 それって、当たり前のこと。自然にやってきたんだけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年03月08日 09時06分30秒
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