第48話 会話
この女、どう言やぁ引き下がってくれるのか……オレは頭を掻くと、キャサリンに隣に座るように顎でしゃくった。胸ポケットに手を運び、煙草を探したが、そう言えば、今日は置いて来たんだったと舌打ちした。「はい。これ」「え?これ、まさかオレの?」あの時、キャサリンに取られた煙草を口に咥えると、絶妙なタイミングでライターの火が点けられた。「ホステスかよ!」思わず、笑いが漏れた。「で、お前さぁ、何でここにいるんだよ」「パーティーに呼ばれたから」「嘘つけ!リンから招待されたヤツのリストを見せて貰ったけど、お前の名前はなかったぜ」オレはハッタリで、キャサリンにカマをかけてみた。「……パーティーにあなたが連れてくる女の子を見ようと思って、忍び込んだの」「やっぱりな……」「呆れた?」煙草の火をねじ消し、答えようとした丁度その時、2人の男の会話が聞こえた。「アリシア様と、エドワード様のご縁談がまとまれば、正に両家の関係は盤石ですな」アリシア……?!エドワード……?!突然、耳に飛び込んできた2人の名前にオレは聞き耳を立てた。「ジョージ?」「しっ!」オレはキャサリンの口を手で塞ぐと、生い茂る木々の翳に身を隠した。「これで、ジョージ様とケイト様がまとまれば、鬼に金棒……」笑っている男の顔を見ようとタイミングを図って、木の翳から翳へと移動した。オレと、ケイトが何だって?「ジョージったら、どうし……」ああ!もう、くそっ!!!オレはキャサリンの口をキスで塞ぐと、再び聞き耳を立てた。「まさか、君が言っていたジョージ・アンダーソンがヘイワーズの人間だったとはね」しみじみと語る男の顔が、ゲストハウスから漏れる灯りに照らし出された。アルバート・マッカーシー……!2人は方向を変えて、こっちの方にやって来る……やばい!オレはキャサリンを押し倒すとその上に覆い被さり、茂みの中に身を潜め、冷や汗を流していた。暗闇からもう1人の男が出てくる……男は、くつくつと笑うと、髪を掻き揚げた。「ところで、あの手配、お願いしますよ。僕はもう十分に待った……」光に照らし出されるその男の顔に、息が止った。と、その時、もがいていたキャサリンの動きが止った。「あ。やべっ……!!」忘れてた……オレの腕の中で、彼女は白目を剥いていた。 ↑ランキングに参加しています♪押して頂けるとターっと木に登ります「フラワーガーデン1」はこちらです。良かったらお楽しみ下さい♪