福禄太郎の書評と時事評論

[政治・政策・世相・犯罪・歴史] カテゴリの記事

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• 法律によって時効が違うのは間違いのもと

  厚生年金保険をはじめ社会保険関係の時効は年金が5年、一時金が2年となっています。ところが確定給付企業年金法だけ、法律に時効の条文がないため、年金給付の基本権は民法に拠り10年、20年となる場合が発生します。この点は平成17年10月1日年企発第1001001号「確定給付企業年金の規約の承認及び認可の基準等について」の一部改正についてという厚生労働省通知により明確にされています。しかし、これは単に立法上の洩れに過ぎず、確定給付企業年金に時効の規定を入れて厚生年金保険と同じく年金は5年の時効とすべきです。覚えにくいし、間違いやすいからです。確定給付企業年金の時効だけ長くする理由はどこにもありません。

  April 15, 2007

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• ジュリアーニ元ニューヨーク市長の演説を聴く

  英語の勉強のために、Youtubeでジュリアーニ元ニューヨーク市長の演説を聴きました。彼もヒラリー・クリントンと同様に大統領選挙に立候補しています。カリフォルニア州の共和党の集会で行なわれた50分弱の演説です。自分が駆け出しの検事だった頃の経験やリンカーン大統領の話を入れたり、野球の話をしたり、聴衆をあきさせなくて本当にうまいです。ヒラリーよりうまいと思いました。彼の政治的主張はシンプルで、レーガン大統領が共産主義との戦いに勝利したように、テロとの戦いに勝とうというものです。われわれは平和を愛するが、今われわれがイラクで戦わなければイラクはテロの司令塔になるだろう、だから戦うのだというのです。医療保険に関しては、官僚機構を使うよりも民間生保を活用すべきという主張です。「自由」を愛するアメリカ人の誇りと愛国心に訴える演説でした。

  March 18, 2007

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• 「海中視察」石原慎太郎知事の真似をする輩（やから）はいないかな？

  週刊金曜日2月2日号に斎藤貴男が書いているが数年前の小笠原諸島に訪問したときに「復帰記念事業や空港問題の視察のために訪れたはずなのに、無理やり時間を浮かせて、まったく関係の無い無人島でダイビングで遊んだ。しかも自分でカネを払うのが嫌なので「海中視察」なる名目をでっち上げ、わざわざアリバイ工作のために調査船まで出せた」と書いている。また吉田信夫・成澤宗男によればガラパゴス諸島に「視察」と称して1400万円以上もかけているとのこと。一方で、石原慎太郎は都知事として「国に先行してやるべきことはやる」ということで、治安強化、都の会計制度への複式簿記の導入、花粉対策、カラス退治などなど行政的にはおもしろい。慎重さを欠くため新銀行東京のように不良債権を積んだりもしているが、進取の気概は良いのではないかと思う。私は東京都民で無いが、都民が来る都知事選でどういう判断をするか関心を持っている。しかし、今度知事になっても観光目的の海外出張は私費でやってほしい。役人の一部にある志の低い輩（やから）が在任中または天下り先で真似をすると、民間が迷惑するからだ。

  March 3, 2007

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  安部龍太郎「武田信玄の古戦場を行く」と通勤ラッシュ

  武田信玄が北に向かった理由は何だろうと疑問に思っていた著者は網野善彦氏の「北上して日本海に出て、日本列島を横断するみちをかくほするつもりだったのでは」という言葉に眼からうろこが落ちた思いがして、この説が正しいのか信玄がたどった道をたどってみた。その紀行文が本書だ。著者の結論は「千曲川の水運を掌握したかった」からだとしている。それはそうとして、興味深かったのは文筆業で長年通勤ラッシュに無縁だった著者の言葉だ。「勤勉なふりをして早く出発することにして朝の通勤ラッシュに巻き込まれてしまったのだ。こんな経験は三十年前に東京に出て来た頃以来である。寿司詰めになった電車で顔をひしゃげる思いをしながら、井上陽水の『東へ西へ』が頭の中で鳴り響いた。　　　これはむごい。三十年間も国民をこんな状態で放置している為政者の怠慢にむかっ腹が立ったが、電車の中で怒鳴ったところで仕方がない。周りの人に迷惑をかけないように、変なところに手をやって痴漢とまちがわれないように、体をくの字に折り曲げてつり革にぶら下がっているほかは無かった。」そうだ、通勤ラッシュは皆あきらめているが、本当は為政者の怠慢なのだ。東京都知事の石原慎太郎は東京の容積率を緩和してゼネコンの歓心を買い、ヒートアイランドを加熱すると同時に、都心の過密を加速させているが、彼はラッシュとは無縁なのだろうと思う。

  February 23, 2007

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  サラ金天国、美しい日本の夜景

  週刊金曜日　２００６年１２月８日から、大津駅の夜景です。消費者金融業の電光看板がひしめいています。

  February 22, 2007

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  ワンフレーズの理由

  猪瀬直樹「この国のゆくえ」を読みました。小泉改革は何を行い、何が課題なのかを詳しく解説しています。猪瀬直樹さんは、毎月末の土曜日の夜、「朝日ニュースター」というCA→V（ケーブル放送）やCS（通信衛星）の直接受信のためのチャンネルで「月刊ニュースの深層」という番組しました。スタジオは朝日新聞の社屋の片隅にあります。地上波だと、コメントを三十秒で言わなければいけません。そこで視聴率のこともあるからむずかしいテーマは企画になりにくいのです。しかし、この番組は約二時間、たっぷり時間がありました。そこで具体的なテーマ・提案を選んで、有識者を招いて対談形式ですすめました。それをまとめたのが本書です。小泉さんがこの四年間で、やったことは、文教および科学振興費を削り、防衛もわずかに削り、公共事業門はいっぱい削りました。ODA、中小企業対策費、エネルギー対策費、みんな削っています。逆に増えたのは、社会保障関係費で、これはこれからの課題だそうです。そのほか、印象に残った部分；小泉首相の失言が無いのは何故か：（田原総一郎）田原総一郎が小泉首相に「ワンフレーズ・ポリティックスってあんた、みんなに悪口言われているよ。もう少し喋ったらどうか。」といったら、首相は「いろいろ喋ったら、自分のいちばん嫌な部分だけがマスコミに流れる。しかしひと言しか言わなきゃ、どのマスコミもそれを使う」と言っていた。つまり小泉さんはあれを、じつは戦略的にやっているということなんですね（笑）。メディアは信用できない：（猪瀬直樹）二〇〇五年夏、郵政国会は参議院でヤマ場を迎えていた。新聞社の政治部は、解散だ、解散だ、と煽り立てている。政治記者は首相の交替だ、いや政権交替だ、と騒ぎたい。政局が仕事だと勘違いしている。彼らにとって四年もつづく長期政権は、 髀肉の嘆（ひにくのたん）を託（かこ）つもので、退屈きわまりないのだ。

  February 20, 2007

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  ますます好調、藤田東吾「月に響く笛　耐震偽装」

  アマゾンの書評も１８件に増えています。平均★５つの高い評価です。ブログをいろいろチェックすると、藤田さんを参議院議員に推す声もあります。しかし私は、どうかなーと思います。平成設計の姉歯物件のリストをマスコミにリークした件は書かないで、ほのめかすのであれば政治家向きだと思うのですが・・・。

  February 19, 2007

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• 郷ひろみ、参議院選挙に出馬はガセのようですだが・・

  infoseek経由J-CASTによれば、　自民党の郷ひろみ擁立はなさそうです。 一部報道などで自民党から参院選に出馬要請されるなどと報じられ注目を集めている歌手の郷ひろみ氏だが、事務所側は完全否定、親しい知人もその可能性を否定するなど、出馬の可能性は極めて低そうだとのことです。あーよかった。それにしても、選挙のたびにタレントが登場するのにはあきれます。行政に通じていない人が政治家になっても、官僚や世襲政治家の言うがままだと思います。世界には一院制の国も多いのですが、日本人の場合は熱しやすくさめやすいので二院制のほうが良いと思います。しかし、こういう話があると参議院は無くても良いのではないかと思ってしまいます。

  February 14, 2007

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  「月に響く笛」からメディアの罠

  「月に響く笛」の２６０ページには国土交通省の記者クラブでの会見の模様が書かれています。「イーホームズから６名が出席者して、最初立ち上がって深々と頭を下げた。しかし、ほとんどのテレビのニュースではこの場面は放映されなかった。・・・のっけから適正に業務を行なったと主張する映像が流されたので、多くの視聴者は礼儀を知らぬ生意気な奴らだと想ったようだ。会社に届いたメールを見れば視聴者心理は良く分かる。・・メディアが力を駆使してある者を悪者に仕立てていく、都合の良い映像を用いてイメージを作り出していく、・・・メディアが仕掛ける罠だった。」「一番前の列、ボクのはす向かいに座る狐目の記者がやたら刺々しい乱暴な口調で質問をしてきた。読売新聞の記者だった。」（２５９ページ）マスコミがストーリーをあらかじめ考えて、材料をはめ込んでいく、常套手段が良く書かれていると思いました。

  February 14, 2007

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• 耐震偽装隠蔽に関わった国土交通省等の人間を、国家公務員法に基づき懲戒処分に

  国土交通省のホームページには２月２日付で次のように掲載されている：「（株）田村水落設計が設計等に関与した１６２物件のうち、平成１９年２月１日までに、国土交通省に対し、耐震不足があったとの報告を受けた３物件等について、別紙１～２のとおりお知らせいたします。　なお、今回耐震不足が判明した千葉県の物件は、建築確認を行ったイーホームズ（株）（平成１８年５月２９日付けで指定確認検査機関の指定を取消し）から平成１８年２月２８日に千葉県に対し、同年３月３日に国土交通省に対し、構造計算に疑義があるとの通報があった物件であり、当初イーホームズ（株）において検証を行っていましたが、同社の業務継続が困難となったことに伴い、同年５月１５日以降千葉県において耐震性の状況等を調査していたものです。また、詳細については、本日、千葉県が公表しております。 」しかし、藤田東吾「月に響く笛」によれば、耐震偽装の発覚を隠蔽しようとした国土交通省がイーホームズの指定を取り消し、さらにアパグループの物件の耐震偽装も解明しようとしたので藤田東吾を別件で国策逮捕して葬り去ったとのこと。これが事実なら、関係した国土交通省等の人間は耐震偽装の発見を遅延させ、国民の安全を守ることを妨害したことになる。人事院は関係者を国家公務員倫理審査会にかけた上で、国家公務員法第８２条※に基づいて懲戒処分にすべきと思う。※国家公務員法（抜粋）（懲戒の場合） 第八十二条 　職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。 一 　この法律若しくは国家公務員倫理法 又はこれらの法律に基づく命令（国家公務員倫理法第五条第三項 の規定に基づく訓令並びに同条第四項 及び第六項 の規定に基づく規則を含む。）に違反した場合 二 　職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合 三 　国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合 ＊＊＊＊＊＊（懲戒権者） 第八十四条 　懲戒処分は、任命権者が、これを行う。 ○２ 　人事院は、この法律に規定された調査を経て職員を懲戒手続に付することができる。 （国家公務員倫理審査会への権限の委任） 第八十四条の二 　人事院は、前条第二項の規定による権限（国家公務員倫理法 又はこれに基づく命令（同法第五条第三項 の規定に基づく訓令並びに同条第四項 及び第六項 の規定に基づく規則を含む。）に違反する行為に関して行われるものに限る。）を国家公務員倫理審査会に委任する。 参考ブログ

  February 9, 2007

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  宮崎学「地下経済　この国を動かしている本当のカネの流れ」

  もと地上げ屋、ゴルフ場開発をしていた著者が、政治家・財界・官僚・ヤクザの支配する現代を解説する。銀行のあくどい商売、地方政治家が金に汚いこと、さらには悪徳弁護士などが紹介される。しかし、さらに悪どいのは、日本のうわまえをハネる米国だという。「勝ち組」はダーティーなことをしてのし上がってきた人々、公共事業をいくらやったって景気は良くならない、なぜなら税金からばら撒かれた金は土建屋・天下り官僚・政治家の懐に入ってしまうからだ等の記述が面白い。見出し：第１章　企業社会の裏でうごめく金、カネ、かね市民生活と地下経済、実体経済は、かくもえげつないもの“不道徳”な商売が今日もしのぎを削るデフレ時代にはびこる市民幻想第２章　政治利権という無法地帯公共事業の裏帳簿政治家を陰で操っている者とは利権のカラクリとアウトロー政界に流れるあぶく銭地方政治家は「悪代官」利権社会の「掟」第３章　官僚たちの錬金術官僚が握る“打ち出の小槌”“国家的詐欺”でぼろ儲けするのは誰か権力に味をしめた者たち蔓延する“カネと見栄の論理”第４章　日本経済を陰で牛耳るものとは“法改正”の裏にある思惑アメリカが打った「イカサマバクチ」

  February 7, 2007

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• アパ物件の耐震偽装を告発したイーホームズ藤田東吾社長の本が売れている！

  「朝日ＣＯＭ：アパ、新潟のマンション工事中止　ホテル９件も休業へ2007年02月05日21時54分　経営するホテルやマンションで耐震強度偽装の疑いが指摘されたアパグループは５日、新潟県三条市で新築中のマンション「アパガーデンズ東三条イーストコート」の工事を中断した。同市が「耐震性に疑義が生じた」として報告を求めたためで、構造設計の自主検証を進めている。また、同グループは、自治体の検証が終わっていない全国のホテル９カ所の予約受け付けを６日から停止し、３月１日から休業すると発表した。　同グループによると、水落光男・１級建築士が手がけた物件は計５８件。内訳は、完成済みマンションが４０件、未完成のマンション６件、ホテル１１件、立体駐車場１件という。　水落建築士が手がけた同グループのホテルは、強度不足の物件が拡大したことを受け、自治体の検証が終わっていないものは、安全が確認されるまで営業を休止することにしたという。 」この問題に火をつけたのはイーホームズ元社長の藤田社長ですが、ホームページは大変面白いです。藤田社長がいくら告発してもマスコミが取り上げないので外人記者クラブで記者会見を開いたビデオもあります。（そのほか取り上げたのは「きっこの日記」でした）耐震偽装をめぐる国の管理体制のおそまつさと、耐震偽装事件の内幕（圧力＋国策捜査）を詳細に書いた本を、文芸春秋が圧力で出版できず、藤田社長は自分で出版社を作って出版したのです。タイトルは「月に響く笛、耐震偽装」です。残念ながら楽天ブックスでは扱っていません。上記藤田社長のホームページで、販売している書店がわかります。amazonでも買えますが、marketplace扱いなので送料がかかります。amazonには、もう１５人も書評が掲載されています。売れていますねえ！ファンの詳細な内容紹介も見つけました。藤田東吾を三顧の礼で国会に送ろうといっている人もいます。藤田社長は圧力にめげずに頑張りすぎて、イーホームズがつぶれちゃったのです。でも、これから彼の信奉者は増えると思います。

  February 6, 2007

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• 「産む機械」発言について

  柳沢厚生労働相発言の要旨は報知新聞（七詩さんに教えてもらいました。）によると以下のとおり：「なかなか今の女性は一生の間にたくさん子どもを産んでくれない。人口統計学では、女性は１５～５０歳が出産する年齢で、その数を勘定すると大体分かる。ほかからは生まれようがない。産む機械と言ってはなんだが、装置の数が決まったとなると、機械と言っては申し訳ないが、機械と言ってごめんなさいね、あとは産む役目の人が１人頭で頑張ってもらうしかない。（女性）１人当たりどのぐらい産んでくれるかという合計特殊出生率が今、日本では１．２６。２０５５年まで推計したら、くしくも同じ１．２６だった。それを上げなければいけない。」この発言について「産む機械」という表現がまずいことは大臣も自覚しているので、野党の反発は揚げ足取りのそしりを免れないでしょう。「揚げ足取り国会」「言葉狩り国会」はもう沢山なので、与党は毅然とした態度をとって通常国会を終えるまでは柳澤大臣を辞任させるべきではないと思います。問題はむしろ、「生む役目の人が一人頭で頑張ってもらうしかない。」というところにあると思います。女性が大学で学んだ知識を実社会で生かしたいと就職して、家庭と職場を両立させようとしても現状は非常に障害が多いのですが、それを大臣はよくわかっておられるのか、これだけの発言からは十分にはわかりませんが、疑問に感じます。男も女も、正社員として就職すると長時間勤務になることがまだまだ非常に多い、これが家庭と職場の両立を妨げている元凶です。これを改めるためには、労働基準監督署の監視を厳しくするのでは不十分で、むしろ国家公務員に労働基準法を適用して（警察・消防などはいろいろ適用除外もあるでしょうが）、キャリア官僚のサービス深夜残業を改めさせなくてはならないと思っています。彼らが帰らなければ、企業の企画部門の人間も残ることになりますから。参考：きっこの日記

  February 4, 2007

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• 失敗していたニュージーランドの郵政民営化

  金融ジャーナル２００６年１２月号西垣氏の論文が掲載されているが、ニュージーランドの郵政民営化は失敗していたそうだ。ニュージーランド郵政事業は１９８７年に郵便事業と、郵便局ネットワークのニュージーランドポスト、金融のポストバンク、そして電気通信のテレコムの３事業体に分割されると同時に株式会社された。１９８９年に政府はポストバンクの全保有株をオーストラリ籍のＡＮＺ銀行に売却した。ところが、１９８６年の商法改正で銀行の参入規制が緩和され、競争力の高い外資銀行が国内の９割以上のシェアを占めるようになった。彼らは買収した旧ニュージーランド籍銀行が持っていた過疎地域の視点を躊躇無く次々に閉鎖した。ＡＮＺ銀行に売却され郵便貯金は１９９４年に廃止された。それによって退職者が年金を受け取る窓口を失ってしまうなど、大きな社会問題となった。そこでニュージーランドポストが改めてリテール中心の国有銀行（キウイバンク）を子会社として２００２年に設立する事態になった。一度民営化された郵便貯金が再び国有銀行として復活されたので「失敗」と言われるのだ。

  February 1, 2007

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  田中 直毅 「「反日」を超えるアジア―北京の目、ソウルの目」

  田中直毅氏はよくテレビに出演していたので、単なる評論家と思っていたが、この本を読んで経済・政治・歴史を総合的に捉える政治経済学者と理解した。今後のアジア諸国との付き合い方について、展望したものである。結論は、歴史を十分理解した上で、すでに日本と東アジアで実現している製造業の分業体制をうまく生かすべきとしていうものである。中国に関しては、中国内部の市場統合が十分進んでいないので、それを促進するように働きかけ、それを外から包んでいくようにするのが良いと言っている。実際にアジア諸国を訪れ首脳・知識人と交流しているので、それを踏まえた記述が多く面白かった：１．日本がアジアを仕切る能力が無い（これを著者は「絶対的な召集能力を欠く」と表現している）なかで、中国・韓国以外のアジア諸国にしてみれば、日本と中国との意見の違いがあったとき大きく戸惑わざるを得ないとしてる。その例として、日本の国連安全保障理事会常任理事国についてのアジア諸国の対応をあげている。２.米国抜きの東アジア経済協議体をマハティールが唱えたのに対して、田中直毅がそれでは日本は困ると言ったら、日本からそのような問題提起を受けたのは初めてと聞いて、日本の外交の底の浅さを感じたとのこと。３．盧溝橋にある抗日戦争勝利記念館の展示において、反日機運を総体的に抑制しようとする基調は明らかであるとしている。なぜなら、この記念館の最後の部屋には小泉首相と胡錦濤総書記が握手している写真が掲げられているからだ。

  January 27, 2007

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• 格差社会の元凶：労働者派遣法（２）

  表題のテーマは２００６年８月２８にも書きましたが、こんな文章を見つけたので紹介します。「まず小泉政治の過ちは、労働者派遣法改正によって、大企業にリストラの口実を与えたことだ。この改正自体は悪いことではなく、様々な労働形態の可能性を開くものとして歓迎すべきものだった。しかし、適用条件があいまいなままだったため、大企業がリストラする口実になってしまった。その結果、「同一労働＝同一賃金」という労働の基本すら守れない社会、正規雇用と非正規雇用との格差社会になってしまった。」この文章、どなたが書いたと思いますか。社民党か、共産党か？？実は東大法学部卒、大蔵省主計局主計官から大蔵大臣も勤めた（体制側！！）元自民党議員の藤井裕久氏の言葉で、さらに掲載されているのは右派系の「月刊日本」２月号（先日の佐藤優氏の講演会でもらいました）です。格差社会の問題点の解決は、根本原因である労働者派遣法に手をつけるか、あるいはオランダのように非正規労働と正規労働を同じ賃金にするかしないとだめだと私は思っています。

  January 27, 2007

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• 佐藤優さんの講演会に行ってきました。

  著書が面白かったので、今日の６時から永田町で開催された講演会に出席しました。ＴＢＳのカメラも入っていました。内容は以下の４点です。１．丸山真男が「右翼は頭が悪くて下品な人、左翼は頭が良くて上品な人」というイメージを作り上げたが、本当にそうだろうか、と言う話。２．外務省が北方領土で３島返還論あたりをしかけて、成果を出そうとマスコミ操作をしており、その過程でサンケイ新聞がはずされた。３．「憲法９条を世界遺産に」という本は、ていねいなレトリックで若い人なら影響を受けてしまう内容、右翼の人もいやがらずにそのロジックを追ってみては。４．権藤成卿［ごんどうせいきょう］の思想。博覧強記で、神学者らしく西洋近代主義を斜めに見ているので面白かったです。ときどき冗談を入れるので肩が凝らずに聴けました。憲法改正については、１．９条を改正して交戦権を認めると天皇の国事行為に宣戦布告が入り、日本の伝統である、権威（天皇）と権力（政治）を切り離すことが難しくなる点２．共和制になってしまう危険性。の２点を指摘していました。佐藤優さんは護憲派だそうです。会場からの「ロシアとの交渉も、日本が核武装しないと力不足では」という趣旨の質問に対しては、「核拡散防止条約から日本が離脱したとたんに、日本は核燃料を入手できなくなる。そうすると日本の原子力発電は止まってしまう。」と厳しい日本の現状を指摘していました。

  January 25, 2007

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• ネットの佐藤優氏情報から

  １．佐藤優氏のコラム昨日「国家の罠」についてコメントしましたが、彼のコラム集「ラスプーチンと呼ばれた男、佐藤優が地球を斬る」がフジサンイケイビジネスに掲載されています：リトビネンコ暗殺についても明快です（２００６年１２月１４日「リトビネンコ氏暗殺の背景」）：「１１月２３日にロンドンで変死したロシア連邦保安庁（ＦＳＢ）元中佐のアレクサンドル・リトビネンコ氏の暗殺をめぐって、ＦＳＢが暗殺したのではないかという憶測報道が各国でなされたが、これは絶対にないシナリオだ。ロシアのインテリジェンス機関の縄張り意識は非常に強い。仮にＦＳＢが国外で謀略活動を行ったことになれば対外諜報庁（ＳＶＲ）が黙っていない。ＳＶＲと抗争するリスクをＦＳＢは冒さない。これが「インテリジェンスの基本文法」だ。」２．佐藤優氏控訴審公判記録ところで、佐藤優氏の背任などの罪に関する控訴審の判決は１月３１日にあるそうです。注目したいと思います。佐藤優氏の支援者のブログがあって、これが非常に詳しいです。東京高裁の第２審の状況が克明に記述されています。例えば昨年７月３１日に東郷和彦氏が証言していますが、尋問・反対尋問が逐一書き込まれています。検察官の柄の悪さまでわかります。

  January 22, 2007

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  なーんだ、国策捜査の冤罪じゃないか：佐藤優「国家の罠」

  小泉元首相の劇場型政治は、大派閥の橋本派の力をそぎ落とすのに成功したが、高支持率を支えたのは国策捜査だ。その過程で鈴木宗男が悪役になり、子分のように動いていた外務省の佐藤優も起訴された。本来ならこれで舞台が終わるはずだったが、佐藤優は無罪を主張、有罪・執行猶予となった後に控訴している。そこで書かれたのがこの本である。彼の外交官としての活動から逮捕・拘留・１審判決までを詳細に報告している。新潮ドキュメント賞を逸したが、桜井よし子氏の指摘する事実誤認（新潮４５、2005年12月号に詳しい）を認めても本書の迫力は圧倒的だ。使命感を持ってロシア外交に取り組んだ佐藤優の主張は説得力がある。それにしても、逮捕当時に佐藤優・鈴木宗男を袋叩きにしたマスコミって何なんだろう、集団ヒステリーを増幅する機能しか果たしていないのではないか、これなら日本が戦争に突っ走ったのも無理ないと思った。結局国策捜査のシナリオを書いて、アクセルをふかせて上層部まで影響が及びそうになると急ブレーキをかけた黒幕の情報操作に、まんまと乗せられたのだろう。今から30年前だったら、佐藤優という切り捨てられた「トカゲのシッポ」の書いた本がベストセラーになるということはありえなかったろう。日本も良い国になったと思った。この「言論の自由」は大いに誇っても良いのではないか。

  January 21, 2007

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  劉徳有「日本語と中国語」

  著者は中国人で20代のころから50年間も日中の交流に携わってきた人だ。中国政府要人の通訳も務めている。この人が日本語で日本語と中国語の比較を通じて日中文化の相違点を紹介している。まず、日本語も中国語も漢字を使っているという点では共通している。昔は朝貢していた韓国・北朝鮮・ベトナムも漢字を使用していたが、今では使用していない。足利義満を例外に朝貢していない日本だけが漢字の使用を続けている。ところが、歴史が異なるので意味が随分と違っている。例えば「幹部」は日本では偉い人という意味だが、中国では公務員一般をさす。「飯店」は日本では食堂のことだが、中国ではホテルのことをさす。英語を漢語になおすのも、両国で交流がある。例えば、geometryの訳語の「幾何」は中国でgeoの音訳の「幾何（じーほー）」から来ており、日本に伝わったと言う。またgrammerは明治時代の日本で史記から「文法」という訳語を作り出したが、これは中国でも使われているとことである。（明治人の漢籍の教養に感心！）日本は婉曲・あいまい表現が多いが、中国では明快な表現を好むので、とかく誤解が生まれるとのこと。さらに、日本では混雑していることを「芋を洗う」というが、中国では「餃子を煮るような」というそうだ。中国で餃子と言えば水餃子だからで、この表現で鍋の中で沢山の水餃子がひしめいている様子が良くわかるからだそうだ。以上は本書の本の一部だが、様々なエピソードが豊富にあって面白かった。

  January 19, 2007

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  CIAは何をしていた？

  ９．１１テロをどうしてＣＩＡやＦＢＩが防げなかったのか？ＣＩＡの元職員からの解答が本書である。訳者あとがきからの抜粋を若干私見を加えて加工すると以下のようになる：CIAは1990年代、ソ連という主敵の喪失という外因と、人的情報収集から衛星の活用へのシフトという内因によって大きく変質した。それに伴い、前線のケースオフィサー（海外でエージェントと呼ばれる現地諜報員を管理しながら情報工作活動に当たる）の地位が相対的に沈下し、代わって、後方のアナリスト（収集された情報の分析を行う）が幅を利かせるようになった。このため、CIAの海外の要員、拠点、そこから得られる情報の質と量は、減少をたどった。冷戦後のテロリズムとの戦争の主戦場であり、著者の活躍の中心であった中東においてもそうだった。湾岸戦争後でさえ、CIAはイラク国内はもちろん、イラン、ヨルダン、トルコ、サウジといった近隣諸国にも、イラク関係情報をあげてくる情報源を一人として持たないという状況だった。さらにキューバ、チリ、パナマなど、ことあるごとに”CIA陰謀説”を流されてきた反動で、CIAには事なかれ主義、自己保身の官僚主義が蔓延した。見ざる聞かざる言わざるこそ、ＣＩＡとワシントン政府の実態だった、というのが本書の告発である。このほか、本書は実際の諜報員の体を張ったスリリングな活動がいたるところにあり、小説と同等以上に面白い。さらに、テロ活動を活発に行なったＰＬＯのアラファトにノーベル平和賞を授与したのはおかしいとか興味深いコメントも多かった。

  January 18, 2007

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  貝と羊の中国人

  この本は、私が中国関係で読んだ本のうちで、最も明快な本でした。貝とは子安貝のことであり、殷の時代に貨幣として使われていました。そこで、貝のつく漢字は有形の物財にかかわる漢字が多くなっています。寶、財、費、貢、賞、賭、などなどです。殷の本拠地は豊かな東の地方でした。殷の宗教は多神教でした。これを滅ぼしたのが周の国です。周人の先祖は中国西北部の遊牧民族と縁が深く、血も気質も遊牧民族的でした。そこで羊と縁が深かったのです。羊こそが宝でした。宗教的には唯一至高の神である「天」を信じました。天は、イデオロギー的な神であり、物質的なささげ物よりも善や義や儀などの無形の善行を好みました。殷を滅ぼした周は封建制度を採用しましたが、この支配階級は「羊」の文化、イデオロギー的な文化でした。一方、被支配階級は「貝」の文化、実利を重んじる文化でした。こうして、中国は政治的にはイデオロギーを強く主張しますが、一方では実利にも長けた民族になりました。中国文化の二層性、本音と建前の使い分けは紀元前からの伝統なのです。

  January 17, 2007

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• 日銀は利上げしなくて大丈夫かな？

  今、政府は日銀に「利上げするな、利上げするな」と必死の大合唱です。しかし、私の身の回りを見ると都心のみならず湾岸もオフィスの賃貸料が上昇しています。今、予算策定の時期ですが私の関係しているオフィスは賃貸料が１５％も上がっています。また、飲食店やサービス業で人手不足の兆候があります。インフレにならないうちに早めに利上げし無くてよいのかな、政治家は変な圧力を日銀にかけると後で墓穴を掘るのではないかと思いました。政治家は参議院選挙に勝つことだけを考えているのでしょうが、「お年寄りの預金のために金利を上げる」と説明すればよいだけと思います。

  January 15, 2007

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• 佐藤ラスプーチン、リトビネンコ毒殺事件を語る

  中央公論の2月号が面白かったです。ロシア連邦保安局（ＦＳＢ）元幹部、アレクサンドル・リトビネンコ氏が放射性物質ポロニウム２１０で毒殺された事件に関して、手嶋龍一と佐藤優の対談が載っているからです。よく知られているように手嶋龍一は「ウルトラダラー」の著者、佐藤優は休職中の外務官僚で「佐藤ラスプーチン」のニックネームがあります。対談の表題は「（元ロシア・スパイ暗殺事件の真の恐怖〉今そこにあるポロニウム拡散の危機」で、副題に、佐藤「私もソ連で毒を盛られました。政府の警告を無視したので（笑）」とあります。実際にしびれ薬をのまされたことがあるそうです。佐藤氏は、ロシア政府が国際世論の批判を浴びるにきまっていることをするはずが無いとして、ロシア政府は無罪と断じています。そして、民間の犯罪集団が行なった可能性が高いから恐いのだといっています。政府が毒殺したのならターゲットは反政府の人間に限定されますが、犯罪集団なら一般の関係ない人まで被害者になる可能性があるからです。

  January 14, 2007

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• 社会保険庁解体について

  Ｒ＆Ｉ社の発行している「年金情報」2006年12月18日号には、社会保険庁解体は、多くの社会保険庁職員が加入する自治労（民主党の支持母体）の国費評議会を潰す狙いがあると報道されていた。これは中川秀直幹事長の公式ホームページからもうかがえる。2006年１０月２日の衆院本会議における自身の代表質問を引用している：「社会保険庁の体質問題の根底にあるのは、社会保険庁職員の大多数が参加する労働組合、自治労国費評議会の問題であることは周知の事実であります。コンピューター導入反対、年金見込み額試算は行わない、資格記録票も交付しない、ファクシミリ番号も公表しないという自治労国費評議会諸君の極めて異常な国民無視の闘争こそが、国民に不便をかけ続けてきた根源的理由なのであります。」しかし組合を弱体化して組織いじりをしても、政治家の得点かせぎにはなり事務費は減るだろうが、年金額が増えるわけでも保険料が下がるわけではない。システム修正コストはかかるだろう。公的年金財政の健全化・消費税引き上げ抑制のためには、本当は、給付水準を現役の5割を目標にするのをやめて4割にして、残りは個人年金のような自助努力に求めるのが良いと思う。政治家もマスコミも本質をずらして官僚バッシングと言う安易な魔女狩りで問題が解決する幻想をまき散らしているように思える。

  January 5, 2007

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• 年末に安部政権にコメント：法人税減税は疑問

  年末に当って、しばらくご無沙汰していた政治コメントを試みます。安部政権は人事をはじめ全てにバランス感覚があると思います。田中真紀子を外相に任命して外交の空白を生じさせた小泉政権に比べて閣僚人事のセンスが優れています。しかし、若干気になる点もあります：・官邸主導といって補佐官を多数任命して、指揮命令系統が混乱しないでしょうか。形にこだわって無理をするよりも、官僚以上に勉強して官僚を使いこなすことを考えたほうが良いのではないでしょうか。・世論を読むセンスは小泉元首相に比べて劣っていたようです。自民党の常識は世論の非常識となることが「造反議員の復党」ではっきりしました。（私は個人的には造反議員が白旗あげたのだからかまわないと思うが。）しかし世論を考慮して、郵政民営化に反対して離党し昨年の衆院選で落選した前衆院議員の復党問題で、自民党は２９日、参院選前には復党を許可しない方針を固めたところは、手堅いですね。・財政赤字であるにもかかわらず法人税減税をするのはおかしいのではないでしょうか。一見景気浮揚のように見えますが、財政赤字を早期に解消しなくては長期金利の上昇要因になるので、結局景気浮揚にはならないのではないでしょうか。

  December 30, 2006

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• 郵政公社は郵貯で郵便事業の赤字を補填

  大前研一がメルマガで、郵政公社を批判しています。2006年9月期の郵政公社の決算では、最終利益ベースで2377億円の黒字でしたが、これは郵貯の3092億円で郵便事業の714億円の赤字を補填するかたちとなっていると。郵便事業はダンピングしているから赤字になるのだと。ヤマト運輸や佐川急便は黒字計上とのことです。

  December 15, 2006

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• インドで、ヒンズー教から仏教への改宗を薦める日本人

  読売ウィークリー2006年12月17日号では「インドで仏教徒100万人が集結したわけ」では、インド中部の都市ナグプールで催された仏教の式典「黄金祭」が報道されていました。導師を努めたのは約40年にわたり独自の活動を続ける日本人老僧の佐々井秀嶺（ささいしゅうれい、71歳）さんで、この式典で約7000人が仏教徒に改宗したそうです。インドのカースト制度はヒンズー教に由来するものですが、仏教に改宗してしまえばこのカースト制度の桎梏から逃れることができるのです。健闘を期待したいです。佐々井さん関連の記事は山本宗補さんのホームページにもありました。このホームページは写真もいろいろあります。

  December 10, 2006

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• 退職強要でうつ病…労災認定

  会社の人権侵害に、社会の眼が厳しくなってきているのは良いことだと思いました：退職強要でうつ病…労災認定＝リーボック元部長－川崎南労基署 (時事通信)　「リーボックジャパン」（東京都渋谷区）元部長の男性（４５）＝神奈川県在住＝がうつ病になったのは、会社側が単純作業に従事させるなど、執拗（しつよう）に退職を迫ったことによる強度のストレスが原因として、川崎南労働基準監督署は８日までに、男性の労災を認定した。　厚生労働省で同日、記者会見した代理人の穂積匡史弁護士は「退職強要による労災認定は前例がなく画期的」と評価。男性は「外資系の会社だから仕方がないと言う人がいるが、米国で同様の嫌がらせがあったら人権侵害で大問題になる。『外資だから』という間違った認識を変えるいい機会になれば」と話した。　[ 2006年12月8日18時57分 ]

  December 9, 2006

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• ピリッとしない政治

  道路特定財源の一般財源化が決着したようだが、揮発油税が見直し対象に入るか明記していないなど、どうもピリッとしない。財政赤字をなくすために消費税の引き上げが議論されようとしている中で、どうして少しでも一般財源を豊かにしようと言う気持ちが無いのだろうかと思う。国会議員の数だって多いと思うし、学校の1クラスを30人学級なんていっているが、われわれが子供の頃のように50人にすれば教育費が3/5ですむし、いくらでも国家財政のリストラの種はあるのにと思う。

  December 8, 2006

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• 国会議員の自民党への復党問題

  復党問題については、「あの選挙はなんだったんだろう」という批判が多いが、そもそも郵政民営化という1つの問題だけで離党を決めてよかったのかと言う問題が議論されていないように思う。私は国の安全保障が一番重要だと思うので、おかしいと思う。今回離党して、おそらく資金的にもきつくなって、小泉元首相の言い方を借りれば「白旗揚げて土下座したのに等しいのだから」ということになったのだろうから、そう復党に目くじらを立てなくても良いのではないかと思う。平沼さんが郵政問題であくまで抵抗したので復党を許されなかったので、かえって自民党のスタンスが明らかになってよかったのではないか。平沼さんは自民党の評判を支えたと言えるかもしれない。

  December 7, 2006

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• ロシアの元スパイの暗殺について

  ロシアの元スパイ、アレクサンドル・リトビネンコ氏が謎の死を遂げた事件で、ロンドン警視庁は６日、殺人事件と断定した。イギリス国内では、断定が今ごろになったことにいらだちもみられる。女性ジャーナリストが暗殺されたこともあり、ロシアは言論の自由が無いな、日本はいいなという報道もあるが、私はそうは思わない。私の知人で、中央省庁の役人だった人間が、ある市の市長選に出ようとした。大規模公共事業反対を旗印に打って出る予定だったが、結局断念した。その理由は第一に反対派のスパイに選挙事務所に入り込まれ経理をめちゃくちゃにされたこと、第二は暴力団の幹部に出馬をやめるようにさとされたことだ。暴力による言論の封殺は日本でもあるのだ。

  December 6, 2006

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  吉田敦彦「日本神話の源流」講談社現代新書

  小川のジョージさんの紹介で読みましたが、大変面白かったです。日本の古事記の神話の源流はまずは、南方系（中国の南部やポリネシア）もあり、国生みの話がそれに該当しますが、より強力なものはギリシアから遊牧民を伝わって伝来したものだということです。イザナギ・イザナミ※の話はオルフェウスの神話※※と似ているし、天の岩戸の話も似た話がギリシア神話にあるそうです。また三種の神器と似たものがアジア各地にあるそうです。グローバルな文脈で日本神話を相対化する、とっても重要な業績と思いました。※神代七代の最後の神。イザナギとイザナミは、神話における初めての夫婦神である。二人は結ばれ、本州、四国、九州など八つの島々を生んだ。国生みを終え、さらに風、水、海、山、草など次々に神を生んでいく。その数３５神に上る。だが、ホノカグツチを生む際に、イザナミは命を落としてしまう。死してなお自分の妻を恋しく思うイザナギは、黄泉国へイザナミを迎えに行く。しかし、イザナミは「もう自分はこの国の食べ物を食べてしまったので戻れない」と告白した。落ち込んでいるイザナギに「黄泉国の神様に相談して、戻れるかどうかもう一度聞いてみます。その間、けして覗かないで下さい」とイザナミは慰めた。　だが、時間がたち、待ちきれなくなったイザナギは約束を破ってしまう。そして覗き見たのは、８柱の雷神が体にまとわりつき、ウジのわいたイザナミの死体だった。恐ろしくなってイザナギは逃げ出してしまう。恥をかかされたイザナミは、後を追いかけてくる。身につけている物を使って逃走を続け、漸くヨモツヒラサカまで逃げ延びたのだった。そして巨大な岩でヨモツヒラサカを塞いでしまった。岩を挟んで、イザナミが「お前の国の人間を１日１０００人殺してやる」というと、「それならば私は、１日１５００の産屋を建てよう」とイザナギは言い返した。※※アポロンの子オルフェウスは楽器の「リラ」をとても気に入り、野山に持ち出しては草花や動物たちにその音色を聞かせて歩いていました。オルフェウスは、アポロンに遣えるニンフ・エウリディーケと結婚します。エウリディーケもリラの音色をとても気に入って、２人は仲むつまじく暮らしていました。ところがある日、エウリディーケがニンフの友人達と遊んでいるうちに、毒蛇に噛まれて死んでしまいました。オルフェウスはあきらめることができず、リラを持って瞑宮に行ってエウリディーケを連れ戻す決意をします。瞑宮の奥には大きな宮殿があり、そこには瞑宮の王ハーデス（英語ではPluto）と妻ペルセフォネーが座っていました。オルフェウスはリラを取り出し、一生懸命に自分の気持ちを音にして伝えました。それを聞いて感動したのは、人間である妃ペルセフォネーでした。ペルセフォネーがお願いすると、ハーデスはしぶしぶエウリディーケをオルフェウスに返すことを許してくれました。ただし、地上に出るまで絶対にエウリディーケの顔を見てはいけない。振り返ってはいけないという約束をすることになります。　オルフェウスは、エウリディーケの手を引いて喜び勇んで瞑宮を飛び出して行きました。川を渡り、洞窟の階段をエウリディーケの手を引きながら上がって行きます。しかし、絶対に後ろを振り返ってはいけません。少しでも早く自分の愛する妻の顔を見たい！。そう思うオルフェウスは、駆け足で階段を昇っていきました。あと少し、あと少し！。地上の光が見えてきたとき、我慢しきれなかったオルフェウスは、つい後ろを振り返ってしまったのです。　握ってきたはずのエウリディーケの手はほどかれ、その姿は洞窟の奥に吸い込まれるように消えて行ってしまいました。

  November 27, 2006

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  信長公記(しんちょうこうき）：ノンフィクションのおもしろさ。

  『信長公記』は、織田信長に側近として仕えた太田牛一が著した伝記である。原文は簡潔な文体であるので、逐語訳では文意が通じない。この訳書は、必要な語句を補って読みやすくしているので、ノンフィクションのおもしろさを十分味わえる。信長の日常と苛烈な戦闘がなまなましい。人質の処刑、犯罪者の処刑の話も出てくる。殺伐とした話ばかりではない。宮中で催された蹴鞠の会については、「蹴鞠の次第」として、だれがどういう配置で蹴鞠をしたかが書いてある。

  November 24, 2006

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  信長の戦争：桶狭間の戦いは奇襲でなかった

  信長の伝記は、江戸時代の小説家小瀬甫庵の創作になるところが多く嘘が多いことを太田牛一「信長公記」を根拠としつつ明らかにした本で、とても面白かったです。特に桶狭間の戦いについては「低地にいた今川義元を信長が奇襲で破った」と言うのは大間違いで、それを信じた帝国陸軍は米軍相手に奇襲を繰り返して失敗したと書いています。そもそも奇襲は相手の警戒心が薄くないと成功しないのですが、戦争慣れした米軍相手に通用しなかったようです。桶狭間の戦いで信長は、戦力ははるかに少ないながらも正面から戦いを挑み、部分的に損害を与えるつもりがたまたま義元の首を取ったというのが著者の主張です。その他、長篠の戦で鉄砲を三列が交代で撃ったというのも当時の火縄銃の点火時間がばらばらなことを考えるとありえないことで創作であり、真実は多数の鉄砲を集中的に撃って撃って撃ちまくったということだろうと言っています。

  November 20, 2006

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• ユネスコの名の下に、新手の太陽政策論議

  11月17日（金）に第25回港ユネスコ協会国際シンポジウム２００６があり、「東北アジアにおける平和と紛争解決を求めて」と言うタイトルでパネルディスカッションが行なわれます。その案内文は以下のとおりです：「東北アジアは経済的な相互依存を深めながら、政治的な対立を激化させている。その要因は中国の台頭、韓国の「アメリカ離れ」、そして北朝鮮の核開発やミサイル発射実験にあるといわれる。しかし、より大きな要因は冷戦終結直後の1990年代前半から進んでいる日米の軍事的連携の強化、そして日本の軍事的プレゼンスの増大にあるといえる。　こうした東北アジアにおける「力の政治」への逆戻り現象は、現在進行している世界的なスケールでの「力の政治」の一部であるともいえる。しかし、「力の政治」は暴力の連鎖を生み、紛争解決には役立たないどころか事態を一層深刻にしていることは歴史が教えている。むしろ、グローバル化の進行に伴い、国際的、国内的格差が拡大し、社会間、民族間、宗教間対立が激化しつつある今日、軍事力や経済力といったハードパワーに物を言わせる稚拙な政治から脱し、相互の遠いを認め合いながら互いにプラスとなる「プラスサム」の地域秩序、相互理解、信頼、協力の仕組みを形成するソフトパワーこそ必要であろう。」これを読んで、ソフトパワーで拉致問題や、北朝鮮の核開発・ミサイル開発が解決するのか、中国の反国家分裂法は「ハードパワーに物を言わせる政治」ではないのか、大変違和感を感じました。

  November 6, 2006

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• 犯人でなく役人を責める世相

  かつて新潟の少女監禁事件で、犯人はともかく警察がすぐ現場に行かなかったと非難された。退職金まで返上させられた。いじめで、いじめた少年たちで無く教師が非難される。本来はいじめた少年たちが名誉毀損・侮辱罪で告訴されるべきだ。子供の虐待で、虐待した親はともかく、児童相談所が非難される。結局日本は行政への信頼・期待が大きいのだ。役人がこれを「期待」と受け止めることを希望したい。マイナス思考で減点主義を恐れて極端な保身・安全志向になるのを恐れる。

  October 24, 2006

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  書評：堀内光雄「自民党は殺された！」

  著者は、経済産業相のときに石油公団の乱脈経理に疑問を抱き、徹底追及して石油公団を廃止させたというまさに「小さな政府」を推進する政治家である。彼は郵政民営化に反対したために自民党を離党することになったが、本書はその顛末を含めて小泉元首相への批判をしたためたものである。「負け組」の観点から見た政争の記録は興味深いものだった。１．従来の自民党の政策決定システムを無視わが国は議院内閣制であり、内閣が議会の多数党によって組織される。そこで、党が採用する政策は政務調査会で正式に取り上げ、審議了承した上で総務会において承認されたものだけが党の政策・法案になるというシステムを採用していたが、小泉首相はこれを無視した。著者は総務会長として憤懣やるかたないということである。２．飼い犬に手をかまれる　総選挙で堀内氏への「刺客」となった長崎幸太郎は、堀内氏がいろいろ面倒を見ていた人間で、まさに飼い犬に手をかまれたことになった。もっとも堀内氏は選挙区で当選し、長崎市は比例で当選ということになった。３．郵政民営化を争点にして「刺客」を送り込む選挙は「見世物」であり、イギリスのロイド・ジョージのやったクーポン選挙に似ているとのこと。４．郵政民営化については民営化後のビジネスモデルがあいまいのまま、突っ走っており改革の名に値しない。等などである。自民党の政策決定プロセスが世界情勢の変化についていくだけのスピード感を持てるか、堀内氏の党内での行動は穏健すぎたのではないか等とも思った。５．総務会の議事録をもとに書いているところはディテールが面白かった。（例）総務会での野中広務の最後の発言　野中広務が言うには、　山崎幹事長が自らの女性問題で、２５歳の女性について「福岡の（被差別）部落出身で、部落か　ら大変な問題が出ている」と週刊誌に言われた。今日における人権問題について、政党政治化と　してこのような人が副総裁であるのは絶対に許すことはできない。　麻生政調会長も、森総裁のときに、野中や他２名の名前を挙げて、「そんな部落出身の人間を総　裁や総理にすることができるか」・・と言った。今日に至るまで麻生会長には何の反省も無い。６．マスコミが小泉首相に逆らう論説を掲載しなかった　（例）衆議院解散の２００５年８月８日に、産経コラム「正論」用に４枚の短文を書いて、郵政民営化の要請がアメリカから来ていることを指摘したが、このファックスはその日のうちに掲載を拒否されたとのこと。そこでホームページ西尾幹二のインターネット目録に２００５年８月９日付で掲示したとのこと。

  October 1, 2006

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• 残念だった、加藤代議士実家焼き討ち事件

  今年の夏を省みて、靖国問題で残念だったのが、加藤代議士の実家焼き討ち事件だ。焼き討ちした人間は「テロリズムによる社会正義」を気取ったのだろうが、この右翼テロリズムは２．２６事件以来の日本の恥だ。政策の実現は自由なディスカッションによっておこなうというのがギリシャ・ローマからの文明の伝統だ。嶋中事件※以来日本は進歩していない。これじゃあ、海外から日本の政治の危うさを危惧されるのも無理は無い。※１９６０年秋に、深沢七郎が問題作「風流夢談」を「中央公論社」に発表。一言で言えば滑稽小説だが、天皇一家を冒涜したということで轟々たる非難を呼び起こし、「テンチュウ深沢七郎」という右翼のビラが貼り回された。翌年二月、いわゆる嶋中事件が突発した。右翼少年が新宿区市谷砂土原町の中央公論社の嶋中鵬二社長（37）の家に「主人はいるか、俺は右翼だ」と名乗る若い男が侵入、社長が留守だったため社長夫人（36）とお手伝いの女性（50）にいきなり刃物で切りつけ、お手伝いの女性は死亡、社長夫人は負傷した。お手伝いの女性は社長夫人をかばおうとして男に刺されたのだった。事件当時、家には22歳のお手伝い、社長の長男（14）、長女（12）、次女（10）もおり、長女（12）は凶行の現場に居合わせていたのだが、いずれも無事であった。殺されたお手伝いの女性は息子（20）が中央公論社に勤めていて、その関係から社長宅の家事手伝いの仕事を紹介されて今回の事件に遭遇したのだった。

  September 25, 2006

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  書評：なぜ中国は日本にケンカを売るのか

  孔子の子孫の孔健さんの著作です。表題については、第8章に書いてあります：　「中国人は広い意味での騎馬民族である。だから、知らない人間に出会うと、いっぺん、ケンカを売ってみる。なぜならケンカをしないと、相手の本当の力がわからないからだ。力勝負をしてみれば相手の実力がわかる。相手が強くて、とてもかなわないなら、いったんは矛を収めて服従する。といっても「面従腹背」で、相手と対等に戦えるまで、一時的に休戦して、力を蓄えるのである。もちろん、こちらが勝てば、相手の実力がわかったので、安心して付き合う。強そうに見えても弱いやつ。弱そうに見えても強いやつ。世の中には、いろんな人がいる。それをケンカで値踏みするのだ。その点、日本人はナイーブだ。ケンカをすると、「こんな奴とは付き合えない」と絶縁状態になってしまう。しかしそれでは、問題は少しも解決しない。」（なお、私の知人の中国人はとてもおとなしくて、ケンカを売るタイプには見えません。そういう中国人もいるのだと思います。）本書はこの点のみならず、最近の靖国や反日デモ、中国から来た鬼嫁などのトピックスについて中国人の考え方を紹介しています。日本の中国特派員が現地女性と不倫関係になって問題を起こしていることも紹介されています：第1章 激化するセックスがらみの非難合戦―中国人「鬼嫁」VS.日本人「色狼」第2章 靖国論争の裏にある死生観の違い―墓をあばいても報復VS.死んだらみな善人第3章 若者たちの過激な“愛国論議”―強気の中国人VS.弱気の日本人第4章 オリンピックに命をかける中国人―メダル大国中国VS.スポーツ施設大国日本第5章 中国の軍事脅威はほんとうか?―見せかけ軍事大国VS.先端兵器小国第6章 追いつき追い越すためにはなんでもあり?―公害・偽物大国VS.環境・経済大国第7章 中国の一党独裁は遠からず崩壊する―独裁大国VS.自由小国第8章 ケンカするほど相手が見えてくる―二〇〇〇年の交流史からなにを学ぶか中国がなぜ執拗に日本の国連安全保障会議常任理事国に反対したのかもわかります。要するに、過去侵略された経験から、日本の政治的影響力の増大を是が非でも阻止したいのです。孔健さんは日本のこともよく知っているので、文章は冷静で、読んでいても不快感はありません。中国人の思考回路に同意はしませんが理解はできます。図書館で借りたのですが、いずれ中古本が十分値下がりしたところで購入したいと思いました。

  September 23, 2006

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• IMF（国際通貨基金）にイスラム教徒を入れたら？

  FACTA　10月号によれば、消費者金融の上限金利引下げの再考を8月8日付で、米国のロビー団体が働きかけているそうだ。その団体とは、米金融機関上位100社が参加するフィナンシャル・サービシズ・ラウンドテーブルおよびヘッジファンドなど１００の投資会社が加わっているマネージド・ファンズ・アソシエーションだ。消費者金融会社の株を保有しているアメリカの投資家※や、日本で消費者金融を経営しているシティーグループの既得権益を守ろうと必死の米ロビー団体は、8月はじめから米財務省と国際通貨基金（IMF)に働きかけているそうだ。他国に圧力をかける暇があれば、自国の自己破産者の数を数えてからにしろと言いたい。IMFも利息を禁止しているイスラム教徒を入れるべきだ。※　資産運用を商売にしている知人によれば、大方の機関投資家は、規制強化のニュースを聞くや、サラ金の株を売却したそうなので、ロビー活動をたきつけているのは逃げ遅れ組だろう。

  September 22, 2006

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  自民党改造プロジェクト650日（３）公募候補

  自民党の公募候補第1号は2004年4月に行なわれた埼玉8区の衆議院補欠選挙だった。原色の自民党議員が公職選挙法違反で逮捕されたために実施されたものだ。補欠選挙直前になって、今回は戦える状況に無いから候補者を立てることはできない、不戦敗にしたい、と埼玉県連が安部幹事長のところに訴えてきた。そこで、公募に踏み切ったのだ。この結果81名の応募が来た。6人に絞込み、最終的に候補者となったのが柴山昌彦さん。38歳、弁護士、宴会芸が得意、所沢育ちだった。選考を通らなかった5人も優れた人材だったので、後々別の選挙に出てもらうことを想定してコンタクトを取り続けていくことにした。その一人が、2005年9月の総選挙で野田聖子議員の対立候補として話題になった佐藤ゆかり議員だった。2005年9月の総選挙では868名の応募が来た。特に青ヶ島の教育長だった飯島夕雁さん（写真）は印象的だったとのこと。

  September 20, 2006

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  「自民党改造プロジェクト６５０日」（２）太蔵という「危機」

  小泉チルドレンの一人、自民党の杉村太蔵衆議院議員は、北海道１区から出馬する可能性が出てきたとFACTA 2006年10月号に報道されているが、PRの専門家世耕弘成氏が「 自民党改造プロジェクト６５０日」の中の「太蔵という「危機」」で指導するところが出てくる。彼の話し方には一つの欠点があった。それは人が喋り終わらないうちに畳みかけるように話し始めてしまう癖だった。・・「質問が来たら、とにかくいったん飲み込むこと。そして、その質問が胃のあたりまでおりてきたら答え始めること。そうすれば会見は冷静な状況で進められるから」とアドバイスした。また、「絶対に嘘をついてはいけない」ともアドバイスしたとのこと。前者のアドバイスは、実は私福禄太郎も自戒せねばと思った次第。指導の成果が上がって、北海道一区で横路議員を破るか注目したい。

  September 19, 2006

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• タイの同時多発テロ直前に外務省の警告

  １７日１４時のロイターによると、タイ南部ハジャイの繁華街で１６日、オートバイを使った連続爆弾攻撃があり、少なくとも３人が死亡、６０人以上が負傷した。警察が明らかにした。　それによると、オートバイに仕掛けられたリモコン式の爆弾３発の爆発によりタイ人２人とカナダ人１人が死亡、６８人が負傷した。さらに別の３発の爆弾でも軽い被害が出たという。　ハジャイは鉄道の主要分岐点に当たり、マレーシアからの週末の旅行先としても人気。　この週末は、さらに南部のイスラム系地域で、分離独立を主張する過激派グループの設立記念日があることから攻撃が警戒されていたが、ハジャイが攻撃の標的になることは当局にとって予想外だったという。さて、わが外務省のホームページによると、８月２３日にすでに危険情報が出ていて、また直前の９月１５日にはテロの警告が出ていた。タイ：タイ南部におけるテロの脅威について （2006/09/15） １．タイの一部報道は、同国の情報筋の話として、イスラム武装勢力が16日　から20日までの間に同国南部でテロを計画している可能性があり、ナラテ　ィワート県の各地区及びソンクラー県のハジャイ地区がリスクの高い地域　として含まれている旨報じています。また、別の同国内報道でも、16日は　現地過激組織の設立記念日に当たることから、この機に合わせて南部で新　たな攻撃が行われる可能性がある旨報じています。 ・・・・外務省の海外安全ホームページ は、海外渡航の前には忘れずにチェックしなくてはならないと思った。　

  September 17, 2006

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  世耕弘成 「自民党改造プロジェクト650日」読み応えありました。

  著者の経歴は以下のとおりである：生年月日 昭和37年11月9日生まれ　 学　　　歴 早稲田大学政治経済学部政治学科卒業（比較政治制度論専攻） 経歴昭和 61 年 　日本電信電話株式会社入社 平成 2 年 　米国ボストン大学コミュニケーション学部大学院留学　企業の危機管理について研究、企業広報論で修士号取得 平成 5 年 　日本電信電話株式会社・本社広報部報道部門主査 平成 7 年 　関西支社経理部経営管理担当課長 平成 8 年 　本社広報部報道担当課長 平成 10 年 　伯父・世耕政隆参議院議員（元自治大臣）の急逝により立候補、　参議院和歌山県選挙区補欠選挙に初当選かねてから雑誌「選択」でPRの専門家として知っていたので、本書は自民党のPR戦略がわかるだろうと思って手にした。ところが読み出したら違った。自民党は派閥の寄り合い所帯で、近代的な政策集団からは程遠く、人事も世襲の弊害が多く、フレッシュな人材が入りにくくなっていた。２００３年９月の衆議院選挙で民主党は議席を４０増やしたにもかかわらず、自民党が１０議席減らしたのだ。そこで、党の改革が始まったのだ。その内容は以下のとおり：　候補者選定プロセスの改善ならびに立候補者人材育成の強化（公募制度の導入など）　政治と金の透明化　政策立案能力の向上（シンクタンクの設立）　党内人事政策の改革　友好団体との関係構築　無党派対策の強化　党組織の強化・活性化　広報改革（プロのPR会社の採用）これらの改革はPR戦略の改善にとどまらず、党のあり方を会社組織のような合理的な人事・意思決定を行なう組織に変えていこうというものだ。民主党との競争によって民主党から学んだものもある。本書を読んでわかったことは１．今首相候補になっている安部さんが改革のリーダーシップをしっかり持っていたこと。２．塩崎議員が世耕議員と一緒になって改革を進めていること。３．派閥解消とはいえ、派閥の果たしてきた議員教育の受け皿が不十分であることである。また、霞ヶ関の役所から上がってきた政策にも疑問を投げかけており、官僚は急速な世界の変化についていくのが苦手で、どちらかといえば既得権を守る立場の政策立案が多いとしている。その一つの原因は、官僚の学歴が韓国・中国・アメリカでも博士・修士号を持っているものがほとんどであるのに対して、日本はいくら東大とはいえ学部卒どまりが多いこととしている。※細かい選挙戦術まで明らかにしているので、手の内を見せすぎとも思うが、それをあえて行なったのは、著者が「自民党は変わっています」「安倍さんはリーダーシップがある」ということを訴えたかったのだろう。いずれにしても当事者で無いとわからないことが多く、参考になった。※福禄太郎：確かに、外務省の国連の安全保障理事会常任理事国入りの失敗（世界各国から大使を呼び集めたり、首相に謝罪をさせたりいろいろやったけれどもダメだった）、国民年金の未納・未加入問題がいつまでたっても解決できないこと、など最近の官僚の能力には疑問を感じる。しかし、世耕議員のホームページにある政策内容は、思い付き的なものが多く危うさを感じる。もう少し官僚のブレーンを多く持つ必要があると思った。官僚を一段上から見るのではなくて使いこなせなくては一流の政治家といえないだろう。

  September 17, 2006

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• 消費者金融規制強化に外資の意向が障害に

  消費者金融規制について、いろいろ週刊誌が取り上げています。ニューズウィーク９月２０日号では、米国GEの金融部門がほのぼのレイクを買収したり、シティーも日本進出したり、米国資金は日本の消費者金融市場に深くかかわっているそうです。アメリカは市場に任せて３０ー３６％が金利で、連邦レベルの規制は無いとのことです。週刊文春９月２１日号によれば、外資の意を汲んで塩崎外務副大臣が金融庁に話をしたのではないかと報道されています。金融庁は昔から外人には弱いのですが、ここは、多重債務者をなくすために、独立国の護民官として役割をきっちりして欲しいですね。

  September 13, 2006

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• 靖国神社は明治生まれ

  靖国神社の生い立ちは、靖国神社のホームページによると比較的新しい：「靖国神社は、明治2年（1869）に明治天皇の思し召しによって、戊辰戦争（徳川幕府が倒れ、明治の新時代に生まれ変わる時に起った内戦）で斃れた人達を祀るために創建された。　初め、東京招魂社と呼ばれたが、明治12年に靖国神社と改称されて今日に至っている。　後に嘉永6年（1853）アメリカの海将ペリーが軍艦4隻を引き連れ、浦賀に来航した時からの、国内の戦乱に殉じた人達を合わせ祀り、明治10年の西南戦争後は、外国との戦争で日本の国を守るために、斃れた人達を祀ることになった神社である。」雑誌FACTA９月号８０ページの、コラムニストの田勢氏のこの点に関するコメントを要約すれば：日本でもっとも大衆人気のある英雄、西郷隆盛が、西南戦争で追い詰められ、「国賊」となった。西南戦争で死んだ６９００人ほどの政府軍兵士は丁重に弔われた。もともと神官もいない施設だった「東京招魂社」が西南戦争を気に「靖国神社」と名称を変えたのである。西郷軍の戦死者は祀られていない。あの西郷を否定するために神社としての体裁を整えた靖国神社を、日本人の心の源のように取り扱うのはヘンではないか。【福禄太郎】明治政府の国策による、政治色の強い生い立ちだったようですね。

  September 3, 2006

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• 地方の医師不足の原因がわかりました

  最近、急に地方の医師不足が報道されるようになりました。特に参加の医師が不足していて深刻なようです。昨日届いた雑誌「選択」９月号の９１ページ遠山高史医師「不養生のすすめ」にその理由が書いてありました：平成１６年度から医大卒業後２年間の研修を義務付けた制度が発足した。その直後から医師の不足が言われ始めた。この制度の狙いは医師の供給権を大学から奪い、自由化するところにあった。卒業したての若い医師は２年の研修業務を終えればほぼ好きなところで仕事ができるようになった。これまで、若い医師の無償に近い労働に依存していた大学病院に人が集まらず、その大学からの派遣を当てにしていた病院は軒並み医師を得られなくなった。若い医師は大都市にある名門の大学病院や患者の多い大型の病院に集まりだした。【福禄太郎】１．「２年間の研修」制度の背後にどのような政治ドラマがあったかわかりませんが、医療の地域格差を生み出すことが予見できなかったのでしょうか。「白い巨塔」「医龍」のような医学ドラマでは医学部教授が悪玉と決まっていますが、このステレオタイプ的な見方も危険なことがわかりました。２．地方の医科大学の定員を増やしても、制度をうまく仕組まないと地方の医師不足は解消しないのではないでしょうか。３．最近の労働者派遣法の次の改正も、医師の適正配置がコントロールされていれば無かったのかもしれないと思いました。　　・すべての医療関係業務について、産前産後休業、育児休業および介護休業を取得した労働者の業務を行なう場合に限り派遣を認めることになりました。　　・へき地や離島など医師の確保が困難な一定の地域について、当該地域に所属する病院、診療所等対する派遣をみとめることになりました。

  September 2, 2006

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• 格差社会の元凶：労働者派遣法

  格差社会の元凶として、かねてから消費者金融をあげていたが、もう一つの元凶があります。それは労働者派遣法です。かつては労働者派遣は厳しく規制されていました。事業主にとっては給料が安く雇用調整のしやすい派遣のほうが使い勝手が良いのですが、正社員の職場を奪うので厳しく規制されていました。そこで派遣社員の適用対象業種を限定列挙するポジティブリスト方式（適用対象を法律で列挙）でした。それが「規制緩和」※の美名のもとか、平成１１年の法改正でネガティブリスト方式（適用除外を法律で列挙）となって、いまや港湾運送業務・建設業務※※・警備業務など以外が可能になっています。皆さんの身の回りでも、正社員が駆逐されて派遣社員が進出している例を多く見るでしょう。「多様な働き方」の観点からすれば派遣は良いのですが、現状は悪用されていると思います。特に、同一労働でも賃金格差を許容している点は問題で、オランダのように同一労働なら同一賃金にすべきです。さらに派遣の増加は、継続したノウハウの継承が難しくなり、労災も増えると思います。「再チャレンジ」に問題をすりかえても、労働者派遣法が「何でもあり」のゆるゆるでは、格差社会はなくならないと思います。※日経は「規制緩和」＝善と信じきっているから、始末が悪いです。※※　建設業務については、「建設労働者の雇用の改善等に関する法律」の「建設業務労働者就業機会確保事業」により派遣が可能になっています。これは、常時雇用する建設業務労働者が一時的に余剰になった建設業を営む事業主が、当該労働者を建設業務労働者が不足しているほかの建設業の事業主に一時的に派遣するものです。

  August 28, 2006

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• 合併の後にリストラあり

  ＦＡＣＴＡ９月号から。第一製薬と三共が昨年９月末に統合し、日本で第２位の製薬会社になりました。現在は持ち株会社である第一三共の下に、第一製薬と三共の二つの事業会社がぶら下がっていますが、来年４月にはこの２社も統合し、事業会社としての第一三共が発足する予定です。関連会社も含め、両社合計約１８，５００人の社員をどこまで減らすことができるかが重要な経営課題です。９月から両社で個人面接を始め、年末には最終的に残る社員を決める方向とのことです。早期退職を選べば、月給の６０か月分の手当てが支給される模様とのことです。このように合併の後にはリストラがあります。現在合併されないように株式会社各社は定款に合併防止条項を入れようとしてますが、これに反対する議決権行使をする機関投資家があります。特に役人の天下り機関がそうです。民間企業も役員の老後のために関連子会社を沢山作っていますから、一概に官僚の天下りはいけないとは思いませんが、それにしても彼らはリストラの痛みを知る機会が少ないのではないかと推測します。

  August 28, 2006

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