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2010年12月23日
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カテゴリ:日本映画
ずいぶん昔に読んだのだけは覚えいるのだけど、ストーリーの記憶が全くない。
驚くくほどない。ずいぶん暗い話なのに、なぜか面白かったのだけ覚えている。

今回映画をみていて、これはたしかに、当時の私にはまったく理解できなかったろうなぁっと、思う。


タイトルの出展がビートルズの歌のタイトルそのままと知ったのも今回はじめて。
そうだったのか。

「ノルウェイの森」は、ヨーロッパの高級家具のブランド名らしい。
で、じゃあビートルズの歌の中にでてくる女の子の部屋の中に高級家具のタンスとかでてくるのかっていうと、そんなわけはなくて。

じゃあ、「ノルウェイの森」ってなにっていうと、私の考えるところでは、たぶん、ベットなんだと思う。

女の子の部屋には椅子がないというより、ペット以外の家具はたぶんぜんぜんなくて、部屋の中にペットだけ。

歌の中のそういう寂獏とした部屋にすんでいるという、現実感、生きているという生命感のない女性。それが、物語の中の菊池凛子演じる直子何だと思う。

映画では直子にスポットをあててえがいているけれど、作者が描き出したかったキャラクターは、ミドリのほうなんじゃないかと思う。

好きな男と愛し合うことのできない直子。そんな自分という存在に絶望し、どうしても、立ち直れずに自殺ししまう直子。

男に奉仕することはできても、自分のために生きることのできない直子。
彼女の存在は『娼婦』とう女性の一種を象徴している。

ベットしかない部屋というのは、まさに娼婦の部屋そのもなのだ。

好きでない男には、欲情することも、誘うこともできるのに、惚れた男と愛し合えない彼女はまさに娼婦そのもの。

そしてまた、主人公ワタナベの先輩的友人の永沢の恋人ハツミ。たぶん有名な女子大に通うお金持ちのお嬢さん。恋人がほかの女と遊びまくっていることを知りながら、それを非難できず、黙って容認するしかない彼女の立場は、まさに昔ながらの良家の奥さん。

直子もハツミも男にとって都合のいい女性そのもの。
日本古来の典型的な二つの女性パターンそのものだ。
浮気する夫を黙ってみまもりたてなければならない良家の本妻さん。
男のために日蔭の立場でいきるお妾さん。
男性の欲望のためだけにそんざいする娼婦たち。

そして、直子もハツミも二人とも自殺してしまう。

その一方で、物語途中から登場してくるミドリは、四年制大学に通う普通の女の子。母を失い、父親には、子供より奥さんのほうが大事といわれてしまう家庭環境でそれほど明るいともおもえないのだが、男性に対して、自分を犠牲にしてでも、私を心底愛してほしいと、はっきりいえるほどの、自分を持っている。

好きな相手が声をかけてきても、気に入らなければ、しらんぷりもするし、男に尽くすというような日本古来の女性とは、正反対なキャラクター。
言いたいことは周りを気にせずにずばずば言うし、直子、ハツミとは、まったくちがう。

ミドリの父親は、亡くなった妻をとことん愛していたらしく、妻が死ぬくらいなら、お前たちが死んだほうがよかったととうの子供に向かってはっきり言うほど惚れていたらしい。親にこんなこと言われちゃうなんて、こどもとしては、かなりひどいなと、最初は思った。けれど、ここまで妻をあいしてる父親。そういう家庭は、そんな悪くないかもしれない。そして、夫にそこまでいわせるほど惚れられるような妻ってどんな素敵な女性なのだろう。そして、そんな女性の遺伝子をもち、そんな女性にそだてられたミドリが、自分というものをしっかりもっていて、自分の生きたいように生きていて、男につくしたりなんかしなくって、そして、自分をとことん愛してほしいと、はっきりいえるような強さをもっている。そんな女性にそだつのは、あたりまえかもしれない。

歌の中で最後に明日は仕事をしなくっゃと言いつつ、男性と愛し合うことなく、鳥になって飛んで行ってしまった女性は、まさに、男に頼らず自立していきていく女性そのものを象徴的に描き出している。作者の村上春樹は、そういう捉え方をして、この歌からこの物語を描き出したのだと、思う。

学生運動のはげしかったあの時代。日本の国の社会的価値観の激変していく中で、女性としての生き方もまた、激しく変わっていった時代。

直子にひかれ、ハツミの生き方をみながらも、最後にミドリという新しい女性に出会い、ひかれていくワタナベという男もまた、時代の象徴的な存在であるのかもしれない。

ところで、かなり大事なキャストのミドリが新人さんで、なーんか存在感薄いし、台詞は棒読みだし、なぜワタナベがミドリに魅かれていくのか、ミドリがなぜ魅力的な女性なのか。自分を愛してほしいというミドリの台詞も説得力なし。

ミドリだけみてると、作者の言いたい大事なことはぜんぜん伝わってこないし、ジーンとこないし、感動しないし。

菊池凛子の方にスポットあてられてて、ちがうんじゃねっと私なんかは思ったんだけどねぇ。

もともとは、上野樹理が予定されていたらしく。でも、彼女は「ノダメ」のイメージがはりついちっゃたしねぇ。上野樹理が演じてたら、どんなだったかなぁ。

ミドリに既存のイメージをつけたくなくて、新人さん選んだのだとは思いますが、彼女はこの役どころの意味を本当には理解していないでしょうねえ。たぶん。

原作は名作なのかもしれないけど、今回の映画はいまいちだったかなと、思います。
見てるぶんには面白かったけど。



        
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最終更新日  2010年12月24日 16時10分45秒
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