悲しいことが起きてしまった
午前中、中学校のサッカー部の練習へ行った耕平は、サッカー部の先輩と一緒に、お昼から、釣りに行くと言う。貰ったお祝いで釣りグッズを買うというので、高価なものはだめと、1000円限定とした。 出掛けに事務所へ寄った耕平に、残高不足で落ちなかった携帯の料金をコンビニで払って、と1万5千何がしの金額に対して、1万6千円渡した。くれぐれも落とさないようにね、と念を押して、釣りグッズ用の1000円も持たせて送り出した。 10分か20分経ったころ、耕平が戻ってきた、涙ぐんでいる。怪我をしたのか?置いてきぼりを食ったのか?何を訊いても返事をしない。しばらくして重い口を開いたが、その口から信じられない言葉が。「携帯のお金、落とした。」がぁ~~~~~~んっっっ!!!「ど、何処で??」って判ってりゃ拾って来るわな。 先輩の家に寄って、みんなと合流し、「今、ポケットに1万円以上あるんで。」と話しながら走り、一番近いコンビニについて、ポケットから出そうとするとなかったと言う。え゛~~~~ 捜査開始。通った道を通った通りに車を走らせた。ほんの一部、車でいけないところがあったが、他はよくよく見ながら捜査した。無かった。お金も困るが、振込用紙が無くなったら、再発行でまた時間が掛かる。そうなると晃子は暴れるだろう。耕平は殺されるかもしれない。隔離だ、隔離。実家へ里子に出そうか・・・・・・。 1時間以上、捜査を続けたが、見つからない。諦めるか。私は電話も入ったりして、仕事に戻った。耕平は再度、自転車に乗って捜査に出掛けた。 30分ほどして帰ってきた耕平は表情が明るい。「見つかったで。全部じゃないけどな。」 そう言って差し出したのは、振込用紙と千円札二枚だった。 捜査できなかった、車の入れない小道にあったらしい。風が強いので、飛ばされたのだろう。結構あちこちに散っていたと言う。 現場に急行。道の脇の畑のような草の生えたところに1000円札が一枚落ちていた。3000円奪還。その畑のすぐ下を水路が流れている。恐らく風に吹かれてその水路に落ち、流されたのだろう。耕平は水路沿いに歩いていく。その後ろを私が歩く。しばらく進んだところにトンネルがあって、その前に格子が掛かっている。耕平が「あった、あった!!」と喜声!?を上げた。千円札が一枚、流れる水の底に沈んでいた。手を伸ばして届くか届かないかと言う位の場所だが、耕平が根性で拾い上げた。4,000円奪還。 結局、残りの1万2千円は見つからずじまい。仕方ない。五千円札と千円札各二枚の計一万二千円。ついて行く様だけど、怪我をしたと思えば安いもの、と思うしかない。 晃子の交通事故。耕平の落し物。これで今年の不運を全て使い果たしたってことならいいんだけどね。それとも、二度あることは三度ある