流れ星の下 第3話 私【1】
今年は空梅雨かと思われたが、6月下旬から7月上旬のほとんど毎日を雨にしてくれた。おかげで、ろくに活動も出来ずにいた。特に、天文部というものは天気に左右されやすいので晴れの日以外は活動できないという厳しい条件もある。そんなわけで、降り続く雨のせいで部室での活動が続いていた。部室での活動といっても、特にやることはなく、今日も夏休みの合宿の計画を立てていた。ただし、あのヲタク部長は今日も欠席である。そのため事実上、玲が部長の代理を務めている。他にも、上級生の部員がいるそうだが部長の優秀な部下のためイベントに一緒に行かされているそうだ。どう考えても、玲が可哀想なのだが、当の本人はいたって普通。嫌がるわけでもなければ、むしろ楽しそうだ。いっそ、ヲタク部長は辞めて部長の座を玲に譲ってしまえば、それで部長は晴れて自由のみになり、好きなだけアニメのイベントに行けるというのに、辞める気はさらさらないようだ。辞めない理由はあるのだろうが、たまには活動して欲しい。部屋の真ん中にある大きなテーブル。これは、長机を3つ並べて作ったものだ。長机は、年代ものらしく段差が目立つ。そのテーブルの上に、大きな地図が引かれていた。夏休みの合宿、合宿といっても運動部の様に朝早くから起きて、日が暮れるまで活動するものではない。合宿と言うよりは、課外活動である。「・・・・今年の合宿はどこ行くの?」慶太は、いつもの日課になっているコーヒーを啜りながら聞いた。「今年は、まだ決めてないの。」大量のパンフレットを見ながら玲は悩んでいた。さすがに、去年と同じところでは済まない。場所や、方角で見える星が違うため去年と同じ場所では、同じ星を見ることになってしまう。それを避けるためにも、似たような場所もNGなのだ。それゆえ、場所選びはとても重要である。「俊、お前はどっか行きたいところあるか?」すでに、気だるそうな慶太はやる気すら伺えない。「う~ん・・・東北のほうなんてどう?自然の豊かだしさ!」「東北ですか・・・いいですね!場所を探してみます。」どうやら、東北できまりそうである。実は、東北に行ってみたいと思っていたのだ。それで、提案してみた。夏に行くなら涼しい北がいいだろうし、自然が多い東北のほうが空気が澄んでいて星がよく見えるだろうから。そういえば、今年の夏は獅子座流星群が見れるらしい。確か、あの日も獅子座流星群の夜だった。私【2】に続く後に、編集してフリーページにて公開予定