月詠の謳 第4話 危険な魂【1】
それは、神界にあった。飴玉よりも大きく、野球のボールより小さい球体。『神器・魂玉』人の魂魄を食し、食した数だけ力を蓄えるもの。しかし、それは神器と呼ぶには危険すぎるものであった。魂玉が作られた本来の目的は、死した人の魂を吸いそれを蓄え、神界に強力な結界陣を作るためのものだった。だが、当時の天帝・千龍神(ちりゅうしん)はひとたび、悪しき者の元へ渡れば世界を崩壊に招かんとして魂玉の永久封印を施す事にした。天帝は、四神の力が及び、地脈の力が激しく湧き出ている地を選び自らの力で結界を作り、その地に封印した。『神界史・第16集・第1章』