ちびに会えた日(晩)
本日2度目の更新です。16週で、胎児心停止となった14回目の流産(ちび)の処置の日を綴ってきました。午前中、午後とに分けて書いてきましたが、これから書くのは、小さなあの子に会えた日、その瞬間です。そして、お願いです。これを読むと、不安になったり、怖くなったりすると思われる方は、スルーして下さい。 子宮収縮剤を使い、子宮の収縮はピークに来ているにも係らず、一向に、開かない子宮の一部。運ばれて来た晩御飯も、一口も食べる事が出来ないまま、私は、ベットに横になり、痛みに耐えていた。助産師が、やって来て、再度、子宮収縮剤を使うから・・・と、診察室に連れて行かれた。そして、子宮収縮剤を入れて貰い、これで、出てこなければ、今日は、一先ずこれで終わり、明日の朝から、同じ作業を繰り返すと言う。びっくりするよりも、何を言われているのかさえわからないほど、私は、憔悴しきっていた。この処置の事では、病院側にも色々と配慮して貰っていた。陣痛室には行かず、ギリギリまで病室で過ごす。万が一、病室で出て来ることになってもそれで良いと言われていた。陣痛室の機械や、出産の為の分娩台・・・それが、今の私にはつらい物に写るだろうとの配慮だったと思う。そんな中、陣痛促進剤を入れてから、30分程経つと、少し治まって来ていた痛みが再度強くなって来た。それを伝えると、内診室で再度内診。そして、子宮刺激・・・なかなか開かない子宮口は、この時4センチだと言われた。そして、せめて8センチ開いて欲しいと・・・夫は、どこか痛い所はないか?喉は渇かないか?と聞いて来たが、私は、もう、喋る事さえもできずにいた。そうして、痛みに耐えている時に、子宮辺りに、違和感を感じた。助産師にそれを伝えると、陣痛室に行く事になった。私の担当助産師は、病室にいても良いと言っていたのだが・・・陣痛室に行くと、やはりそこは、出産への希望に満ちた部屋だった。ピンクの壁には、赤ちゃんの写真や、母子共に写る写真があちらこちらに貼られていた。担当助産師が、病室で・・・と言っていた意味が良く分かった。陣痛室に移るも、出てくるほどの開き方では無いと言われ、陣痛室で待機となった。この頃には「あとどれ位掛かりますか?」「まだですか?」助産師の顔を見る度に、そう聞いていた。何度かそれを聞いていた時に、「ウ○チが、出るような感じがして来るんだけど・・・」と、言われ、私は、トイレに行ってみようと思いついた。しかし、朝から殆ど食べ物が摂れていない事と、痛みで、体力を使い切っていた為、立ち上がった瞬間に、フラフラと倒れてしまった。夫と、助産師に両腕を支えられながら、トイレに座り込んだ。丁度、その時に凄い痛みが私を襲い、トイレの中から、うめき声が聞こえると、夫が、慌てて助産師を呼んで来ていた。呼ばれた助産師は、すぐさまトイレのドアを開け、「大丈夫?」と、聞いたが、私は「もう我慢できない。」とだけ答え、トイレから、立ち上がる事も出来なくなってしまった。情けない話、便器から立ち上がれないだけでなく、下ろした下着さえも、自分であげる事が出来なかった。分娩台に上がるのは、つらいだろうからと、分娩室に、病室のベットを運んで来てくれ、私は、そのベットに横になった。肩で息をしながら、もしかすると、明日へ持ち越すのかも知れない・・・と、ボーっとする頭で考えていた。暫くして、ダーッと生暖かいものが流れ出し私の体を濡らした。側にいた夫に、「破水したから、助産師さんを呼んで!」この時間帯は、助産師も忙しい時間だったのだろう。詰め所にも、姿が見当たらないと、夫は、オロオロしていた。病棟を見に行くように言い、助産師を呼んできて貰った。間違いなく、破水だった。しかし、まだ当直の先生が着いていないので、我慢してと言われるが、どう我慢するのか?取り合えず、分娩台に上がろうと言われ、「出てきたらどうするんですか?」と、聞く私に、「その時は、その時だから・・・」と、助産師は答え、分娩台に上がった。しかし、さすがに、出産の体制になるにはつらいものがあり、私は、体を横にしたまま足を縮めて、分娩台の上で医師が来るのを待った。痛みに耐えるにも、その体制が良かったのもある。側では、助産師が準備を始め、カチャカチャと、器具を準備する音が聞こえた。20分程して、女医が分娩室に入ってきた。それと同時に、夫は分娩室から出され、外で待つように言われた。破水している事、今までの経過を助産師が報告しながら、状態を見る為に、分娩の体制になるように言われた。何故だか、医師を待つ間に私の痛みは引いていた。女医が、いきみは無いの?と聞きながら、助産師と、何やら相談していた。多分、器具を入れて引き出そうという事の様に感じた。そして、器具を入れた時に、女医 「あっ、ちょっと待って・・・出て来たみたい。」助産師「あっ、そうですね。」暫くの間があり、スルッと、出てくるものがあった。女医は、出てきた瞬間に、「今、会う。それとも、綺麗にしてからが良い?」と、聞いて来た。私は「今、会わせて下さい。」と、言った。女医は、手の上に乗ったちびを私に見せてくれた。その時に、女医の手から、ちびが少しずれて、頭が、後ろに反った。小さな口が開いて、口の中が見えた。女医は「ゴメンね。」と言って、元に戻したが、私は、ちゃんとお口も出来ていたんだなと思った。そして、その口で、指をしゃぶり、あくびをしていたのだと・・・あの時、エコーでみたあの元気な姿の数々が浮かんだ。今までの痛みも、忘れこの子に会えた事に、微笑みすら出ている自分が不思議だった。やっと会えた。しかし、動かないのもまた現実で・・・でも、その事より会えた事の方が嬉しかった。普通に産んで、会えた時と、多分変わらないほどの嬉しさだったと思う。助産師が、綺麗にしてくるからとちびを連れて行った。そして、胎盤が出てくる気配が無いとの事で、胎盤を剥がす事になり・・・これがまた・・・痛くて(><)麻酔を掛けて欲しいほどだった。ガリガリ、ガリガリ、体の中を削るかの様な音と、引きちぎられる様な痛み・・・痛い、痛いと喚いても、「頑張って!」としか言われない、私が喚く中、ガリガリ、ガリガリと胎盤を剥がす作業は続いた。やっと胎盤が剥がれた。そして、夫が部屋に通された。助産師が、綺麗にしてくれたちびを連れてきてくれた。ちびを見た夫は、わぁ~と一瞬微笑んだ。助産師が、私にちびを差し出したが、私は、何故か触れてはいけないものの様な気がして、夫へ渡して貰った。夫は、ちびを受け取り、一言、「可愛いやんけ・・・」と、テレと悲しみが混じった言葉を出し涙した。私もその言葉を聞いて涙が出て来たが、泣いている場合ではないのだ。ちびは、冷凍庫で保管して貰う事になっていたので、洋服を着せるなら今しかない。準備していたちびの洋服を夫と2人で着せた。 寒い日だった。洋服を着せながら、ちびの体に触れる時があった。とても、冷たく、一瞬手を引くほど・・・この冷たさが、この子が生きていない現実を教える。つらい現実だった。PM9時16分。100グラム、16センチの男の子産声の無い静かな出産だった・・・ポチッと応援よろしくお願いします (o*。_。)oペコッ ↓