ハプニング★☆☆☆☆
……一言で言うと…「だから?」って映画(苦笑)。ある日突然セントラルパークからその事件は始まる。歩いていた人間達がすべて立ち止まり、方向感覚や言語の混乱の後、「絶望」しか考えられなくなり自ら死を選んでいく。そう、殺されるのではない。自殺していくの…。「人間」だけ。動物たちは全く影響を受けないこの現象。なのに、「ミツバチ」が24の州で完全に姿を消した。このミツバチの謎はこの後、全く語られず複線にすらなっていない。でも絶望しか考えられなくなった時、人はまず「自分を殺そう」と思うのかと言うことから疑問なんだけどなぁ。まず疑心暗鬼になったり、絶望したら周りを壊そうとしないか?それとも「周り」など見えなくなるのかな?NYからじわじわと「風」とともに広がるの現象は合衆国の北東地区に広がる。そうなの、その現場にはただ風が吹いているだけ。…こんなフォークソングがなんかがあったな(^_^;)主人公のエリオットはフィラデルフィアの学校の科学の教師。妻とは上手くいかず、ぎくしゃくしているのを親友に見透かされるくらいわかりやすい人物だ。この学校の凄いところは事件が起きたその日の午後にはその事態の詳細が伝わっていたってことさ。なーんでこんなに情報早いかなぁ…?「言語障害・方向感覚の欠如の後、自発的に死に至る」ってすらすらと説明していたよ。どーやってわかったのかな?「風」に触れた人々はみんな死んだのにね(苦笑)。まあ、中には死なない人も1人位いたから、その人から聞いたのかもねぇ(^_^;)そんなに冷静な人だけか生き残ったのかしら?そんでもってみんないずこともなく逃げるわけだ。事件のあった土地から遠ざかる、というように。当初はテロと言われていたが、そう考えるには不自然すぎで、逃げている途中、一人の農園経営者(?)からエリオットは「植物は特定の生物に対してのみ効果を発生する毒物を出すことがある」と聞かされ、原因は「植物」で標的は「人間」だと推論する。そう、推論と憶測のみで何一つ判らぬまま物語は最後まで突っ走り…最後も何も判らない。本当の原因も、因果関係も、なぜ北東部だけだったかもアメリカが大混乱になったにもかかわらず、事件があった場所が封鎖されているのか、その後町中に転がった死体を調べたかどうかすら判らないの。ただ逃げるだけというのは、事が大きいから矮小な人間という種族がそれしかできないことは当然としても、あまりにも風呂敷を広げすぎたのでは。…強いて言うならヒッチコックの「鳥」を思い出すけど、「鳥」を全く世代の違う人がわかりやすく環境問題など提起して「植物」を替わりに使って描いた漫画を実写版の映画にしてみました…的。(^_^;)判りづらいか?でもそう感じたのよ。亜流の2流の焼き直しみたいな。不思議なのはその植物が出すのではないかとされるモノが風に乗って人間達を襲い、死者が次々と出ている「空気感染」と思われる事態の中で、全くその影響を受けていない人間や、反応の早い・遅いがあるということ。普通ならその人間が死んだ人とどう違うかとか、事件後に調べたりするんじゃね?生き残った主人公とその妻アルマと親友の忘れ形見の娘に政府も科学者達も全くノータッチ。存在が知られていないのか?とも思ったけど、事件の3ヶ月後に娘は学校へ編入している。つまり、個人と所在の特定が出来る状態であり、合衆国のその州にはその人物がどこからいつそこへ転居してきたかが判るはずなのだ。これだけの大事件の生き残りに何も事が及ばない上に、事件後すっかりラブラブになったこの夫婦の間に子供まで出来た。事件後に出来た子供に抗体があるんじゃ無かろうかとかなんか影響が出てへんてこじゃないだろうかとか、普通の人間でも不安に思うだろうに、エリオットはここでもスルーである。化学の教師なのに彼はこの謎を解明したいとか原因は環境破壊なのか人間そのものなのかとかは事件後も全く考えていない。たとえ答えが出ずとも、考えるもんじゃねぇか?それとも「嫌なことは忘れちゃえの神様」にでも取り憑かれたか?で、ラストはまた別の街でも同じ事が起こり始めましたよ~でおしまい。この監督は「人間は死にたがってる」とでも思っているのかな?それにしても脚本が下手すぎるような気がするのは私だけでしょうか。環境問題の提起や警告の意味を込めた映画だとしても二流、ぎくしゃくした夫婦が愛を取り戻す話しだとしたら三流、ホラー的要素の強い黙示録的映画だというなら四流だ。あ、びくってしたところが一カ所だけ有った。エリオット達三人が電気もなく外界とのつきあいを遮断して暮らしている偏屈で猜疑心の強いばぁさんちで一泊した朝に、そのばあさんと話をしようと部屋に入ったエリオットに対して彼の後ろからばあさんがとてつもないでかい怒気を帯びた声で怒鳴った時。「やっぱり泥棒だったのかい!!!」…そこら辺のホラー映画並みに怖かったよ(^_^;)。でも、エリオット達は夕食をごちそうになったり泊めてもらったりしているのに一言もお礼を言わないのさ。私、どんなにパニックだったりする内容でも礼も言えなくなったら終わりだと思うし、酷い状況であればあるほどそういう「言葉」は金言だと思うの。だからこの主人公達、嫌い。もしかしたら始めから「答え」は出ていたのか?冒頭、学校の授業中に「ミツバチの消えた謎」を生徒に質問していたときに生徒の一人がこう答えた。『「自然」のことを、全ては解らない。』じゃあ、解んなくていいってことかい?しょっぱなから放棄か。ものすごーくモヤモヤ感のみが残る、楽しくない映画でした。…イロイロなところが「浅い」んだろうな…多分。そうそう、ひとつだけ良かったなって思ったのは、女子供がやたら悲鳴を上げたりしなかったところだな。何が嫌いって、悲鳴を上げる女がとにかく大嫌い。だからパニック映画にしては観やすかった。それだけ…だけどね(^_^;)