「あなたにはわからないのよ」
「あなたにはわからないのよ」という言葉を親友に言われたことがあります。そして、この一言がわたしを変えてくれました。わたしは中学の頃から、「○」「×」の人間でした。すべての事を自分の判断基準から「○」か「×」に当てはめる。ファジーな答えのでる国語は大嫌いで、きれいな答えが一つだけある数学をこよなく愛していました。反して、中学1年から親友を続けてくれている彼女は、どこまでもファジーな人間。感受性が強く、色々なことに傷つき、落ちて這い上がってくる。今思えば、よくぞ「○」「×」のわたしと、仲良くしてくれたものです。彼女の話を聞いていて、そして言われました。「あなたにはわからないのよ」わたしはその時、きょとんとしていたでしょう。それ以上何もコメントができず、その日は彼女と別れました。そして自分の中で何かがかわったのですね。そうか「○」と「×」以外のものが世界にはあるんだぁ。「△」だったり「□」だったり、はたまた角度を変えて「◇」だったり。それ以外にも楕円や☆やハートや、数数え切れないほどの考え方があるんだぁ。それどころか「理由もなく」なぁんてこともある。当たり前のことですよね。でも、彼女に言われるまでわからなかったんです。それからでした。話を聞いたときに、自分の判断基準だけでなく、ああいう考え方もあるかもしれない。こういう考え方もあるかもしれない。こういう風に感じるのかもしれない。そして、色々な人の考え方や価値感などに触れるのが好きになり、興味を持ちました。今ではその親友には「何を言っても否定しない」と言われるようになりました。極端すぎて、それもどうかなぁとも思うのですが……(^^;でも、その親友は落ち込むとたま~に電話をしてきて、本当にとりとめのない会話を1時間も2時間もして、そして「なんか楽になったぁ。落ち着いたよ」と言って切っていきます。そう言ってもらえるようになったということだけでも、私にはすごく嬉しいのです。私を変えてくれてありがとう。