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2023.10.04
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カテゴリ:身体について

♪ 勘違い記憶違いの頓珍漢笑い飛ばしてすっとぼけてやる


 半年前に直した門歯。欠けたところにプラスチックが貼り付けてあった。それが、うっかり硬いものを嚙んで取れてしまった。

 歯医者に行って診てもらうと、「かなり短くなっているし、薄くもなっている。下の歯も当たるので、同じように貼り付けてもすぐ取れてしまうだろう。神経もあるので削るのもまずい。被せる形にする必要がありますね。」とのこと。
 それで神経を抜く必要があって3回ほどに分けてやるらしい。それから型を取って嵌め込んで、出来上がるまで6回ほど通う必要があるらしい。

「今日は、時間も無いのでここまでにしておきます。」と言われ、治療室から出て時計を見れば早や6時。予約が午後4時半だったので、1時間半もかかっている。順番が来るまで待たされ、治療室でも何度も待たされて、結局歯の先を少し削って整えただけだ。初診料があるのでこれだけで1,330円かかっている。


点数の2倍が料金になる。

 半年ぶりに行った歯科医院。先生の顔ぶれが今までと違う。新しく入ったのか、担当したのは随分若い先生だった。

 ここで先生との会話の中で歯の神経を抜く説明を受けている時。何を勘違いしたのか、歯の付け根から神経を抜くというので「そんなことが出来るんですねぇ。歯を抜いたところの神経は取ったことがあるけれど、歯が生えた状態で神経を抜いたことがないので・・」などと。

 先生は無言で何も言わなかったが、帰る途中に気が付いた。呆け老人のごとく訳の分からないことをしゃべったと。金属をかぶせてある歯は神経を抜いてあるわけで、何度か経験している。それを忘れていて “神経を抜いた” ということだけが頭にあって、状況を頭で咄嗟に作り上げてしゃべっていたのだ。

 “呆けるとはこういうことか” と、家に向かう足取りが重かった。記憶のあいまいな部分を適当に埋め合わせるというのは、多分呆け老人の特徴なのだろう。気が付いただけでもまだましかと思いつつ、時どきこんなことをカミさんの前ではしているような気もする。



 少しずつ少しずつ見えないような小さな瑕疵が積み重なっていくのだろう。それがある程度まとまって来ると症状として表れる。アルツハイマーなんかに罹るとどうしようもないからねえ。

「レカネマブ」という薬が出来て厚労省が使用を認め、早ければ年内にも患者に使われるらしい。しかしおそろしく高額(アメリカでは、日本円にしておよそ385万円)だし、副作用もあるらしい。(記憶力や判断力などの程度を評価するスコアの悪化が27%抑えられた一方で、薬を使った人の12・6%に脳内の浮腫、17・3%に微小出血が報告されるなどの副作用も)


 遠藤周作の「笑って死にたい」というエッセイ集を読んでいたら、年寄りの気持ちが分かるようになった。自分も年を取ったということだという話が幾つも出てくる。

 最初は「不真面目に生きよう」だったのが「私はあなたの人生の傍役」と視点が変り、「コロリと死にてえなあ」と変化していく。「樹の下で茶を楽しむ」と段々内省的になっていき、最後は「誰かが守ってくれた」と死に対する思いが切実となっていく。
 笑って死にたいと思っているはずなのに、やっぱりジタバタするんじゃないか。それでいいんじゃないかなぁと、どんな人でも死を迎える前はあれこれと霧の中を彷徨うらしい。

 死の前にあるもの。充実して秋晴れのような心境でいられるのはほんの束の間で、心身ともに自由が利かなくなってしまえば、もうどうしようもない。“「今が最善」ということを胸に刻んで一日一日を悔いなく過ごすことだなぁ” と、しみじみ思う今日この頃です。





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最終更新日  2023.10.05 06:16:47
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◆2006年5月8日よりスタートした「日歌」が千首を超えたのを機に、「游歌」とタイトルを変えて、2009年2月中旬より再スタートしました。
◆2011年1月2日からは、楽歌「TNK31」と改題しました。
◆2014年10月23日から「一日一首」と改題しました。
◆2016年5月8日より「気まぐれ短歌」と改題しました。
◆2017年10月10日より つれずれにつづる「みそひともじ」と心のさんぽに改題しました。
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