「メランコリア」観てきました。
ラストの衝撃を今もまだ引き摺っています。すごい。こんなラスト、観たことない。何といっても冒頭の、プロローグにあたる部分がすごくいい。甘美な音楽と、詩を感じさせる映像と。この部分だけでも、もう一回観たいなあって思います。こういう“終末”の描き方があったんだなあ…って、監督に「してやられた」感が強いです。状況を説明してくれる台詞なんてほとんどなくて、第一部のジャスティンの章なんて結婚式の手ぶれありまくりの映像をひたすら視点をぐらぐらされながら眺めている様な感じで、正直「酔うか、寝るか、どっちかだ。」と思いましたが。引き寄せられ続けたのはジャスティン演じるキルスティン・ダンストの何かを訴えかけようとしている目と、シャルロット・ゲンズブールの佇まい。いやいや、なんといっても何かを象徴的に描こうとする映像と、音楽でしょうか。登場人物がどんな過去を持ち、どんな今を歩んでいるのか、どんな考えを持っているのかなんてことは必要最低限にしか描かれていなくて。むしろ終末を迎える直前の、よんどころない心理描写にのみ焦点があてられていて。巨大惑星が衝突したら。「自分は死ぬんだな」って自分の個人的な死よりも、「自分以外のすべても消えちゃうんだな」っていう方に考えが向くように思う。普通だったら、自分が死んだって世界はそんなことお構いなしにいつも通り続いていって死ぬ側にしてみればそれはひどく悔しいことのように思えるのだけど。自分が死ぬ時に、世界も一緒になくなるんだなと思ったらそれは悔しさをぶつける相手もなく、安堵とも違うけれどでもなんか、ほっとするような気持ちが心のどこかにあるような気がします。そのなんとも言えぬ気持ちこそが「メランコリア」なのではないかと…。これまで観たラース・フォン・トリアー監督作品は強烈な印象を通り越してトラウマになってしまいそうなものばかりだったので観る前は期待7割、びくびく感3割という感じだったのですがこの作品は「観てよかったなあ」と思います。映画館を出た後、ついつい何度も空を見上げてしまいます。雲の合間から「メランコリア」が見える気がして。…あ、やっぱり余韻を引き摺ってる☆ *映画の公式HPは→こちら