「これでよろしくて?」 川上弘美
上原菜月は38歳。結婚生活にさしたる不満もなく毎日を送っていたのだが…。とある偶然から参加することになった女たちの不思議な集まり。奇天烈なその会合に面くらう一方、穏やかな日常をゆさぶる出来事に次々と見舞われて─。幾多の「難儀」を乗り越えて、菜月は平穏を取り戻せるのか!?コミカルにして奥深い、川上的ガールズトーク小説。 <感想> ★★★★☆「微に入り細を穿(うが)つ」という言葉がありますが、38歳の専業主婦の日常を描く本書はまさにそれです。 主婦の方なら「ある!ある!!」「そう!そう!!」と500回は肯いてしまうことが予想されるので、あらかじめ首を鍛えるか、湿布薬をお手元に用意してからお読みになることをおススメします。さて、川上的ガールズトーク小説とありますが、言い換えるなら井戸端会議小説といったところです。 個人的にはウソ話的要素がまったくないのが、やや不満ですが、主人公のキャラクターや会話のテンポは川上的です。 男性読者や未婚女性には「・・・・」な部分があると思いますが、川上さんのまったりした筆運びと相性がよければそれなりにハマると思います。男目線で読むとするなら「なぜ、女はカンが鋭いのか?」に対する明確なこたえが示されているようにも思います。 嫁姑モンダイについても多くのページを割いています。 あんまり好きじゃないんだけど、なんとか好きになろうと日々精進していきながらも時々バクハツ・・というのはオーソドックスなスタイルですが、あちこちに川上的がちりばめられています。 それらのモンダイも含めて結婚生活には「お化けが出る」という帰結はすげぇ~勢いで納得しました。 特にお嫁さん経験のないお姑さんや、お婿経験のない舅さんをお持ちの方は読むと楽になれると思います。(たぶんね・・・)