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September 29, 2022
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カテゴリ:山田風太郎
みなさんこんばんは。賛否両論の中国葬が行われてしまいましたね。岸田首相は弔問外交をしています。今日も山田風太郎作品を紹介します。

地の果ての獄​
上 下(ちくま文庫)
山田風太郎

明治19年、神戸から北海道に向かう石狩丸の中で、樺戸集治監に看守として赴任する22才の有馬四郎助は、船上の囚人達の暴動で、元南町奉行所与力という意外な過去を持つ監獄教誨師・原胤昭と知り合う。北海道の電信局に行く途中の幸田露伴から「人間の運命の吹きだまり」と言われた集治監には、山県内務郷が金子太政官大書記官に訓示した内容「重罪人のために国費をつかうのはもったいないから、重労働につかせて殺せば、支出が減っていい。」を忠実に守るサディストの看守長・騎西銅十郎、ドクトル・ヘボンの弟子である酔いどれ医師・独休庵(=ドク・ホリディ)がいた。

『幻燈辻馬車』の三島通庸に代わる悪役は、「山県、金子と同類の-それにまさるとも劣らぬ鬼官僚」(露伴談)の初代北海道庁長官・岩村通俊の弟で石川県令の高俊と、遅れてきた剣豪・騎西。西部劇、脱獄もの、戦争もの、映画へのオマージュが出て来る。男を砂漠ならぬ極北の地まで追って来て、裸足になる女性は『モロッコ』(「凍姦刑」)。騎西の企みにより、憎みあう者どうしをわざと連鎖で繋ぐ『手錠のままの脱獄』もある(「煉獄脱管届」)。『リバティ・バランスを撃った男』が元ネタと思われる「西郷を撃った男」、犬ぞりを走らせて、看守囚人入り乱れての救出作戦は、『特攻大作戦』。その中に聖書がらみの要素も見える。釘で足を踏み抜いた五寸釘は聖痕を受けたキリストのようにも見えるし、「使徒行伝」ならぬ「囚徒行伝」というタイトルの章もある。クライマックスのタイトルは、『大脱走』ならぬ「大奇蹟」。面白かったのは、囚人の牢屋小僧が、聖書に書かれているキリストの奇跡はみな妖術と解釈する所。確かに忍者も水上を歩いていたし、「奥義はヤソ教を信奉する事だ」と考えるが、「信じるものが報われる」のは、忍法も宗教も同じ。かなり過酷な環境下に置かれた囚人達の事件に関わり、彼等の過去を知るうちに、四郎助は「囚人を人間と思うな」と言う騎西に反発を覚えていく。また、今までの山風版明治もので、策謀で死に追いやられたとされている悲劇の英雄・西郷の意外な事実が明かされる。

彼のカリスマ性の影に埋もれた男は呟く。
「走狗を平気で煮るようなやつが英雄と呼ばれる」
西郷もまた、明治の暗黒と無縁ではなかった。


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最終更新日  September 29, 2022 12:00:42 AM
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