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カテゴリ:海外の絵本・童話・児童書・ティーンズ小説
みなさんこんばんは。岸田首相が何かと問題を起こしていた秘書官を務めていた長男を更迭しましたね。彼もただの親ばかでしたか。今日もロバート・ウェストール作品を紹介します。
猫の帰還 (WESTALL COLLECTION) Blitzcat ロバート・ウェストール 徳間書店 冒頭は「ロード・ゴート行方不明」という電報で留守を守る女性の所に警察がやってくる。ロード・ゴートとはイギリス海外派遣軍の司令官、第6代ゴート子爵ことジョン・ヴェレカーのことだ。海外派遣軍の司令官に就任し、フランスに派遣されたが、1940年5月からはじまったドイツ軍の西方電撃戦でドイツ装甲部隊の素早い進撃によりベルギー・北フランスで切り離されて孤立させられた。全滅の危機に晒されたが、ダンケルクの撤退に成功して英本土へ逃れた。この時一旦行方不明になったので警官が慌てたのだ。わかってみればロード・ゴートとは人間ではなく、その家で飼っている黒猫、それも雌猫の名前だった。 出征した主人の後を追って旅を始めたロード・ゴートは、戦禍のイギリス各地でさまざまな人と出会う。“帰還”というと、離れ離れになった家族を求めて走るラッシーを想起するが、ロード・ゴートは場所に戻りたいのではなく、飼い主の匂いを求めて移動する。しかし「猫の移動」というタイトルはいかにも訳がわからないので却下されたのか。“旅”でも良かったかも。 黒猫は、日本では某有名企業のトレードマークとなっているが、西洋ではラッキーアイテムだったり不幸のもとだったりする。イングランドでは黒猫が家に入ってきたり住み着いたりすると幸運がやってくると考えられているため、邪険な扱いは受けない。戦時なのでただでさえ食糧がないのにと飢えさせられたら悲惨だと思っていただけに、この扱いは安心。ロード・ゴートも不発弾の処理の側にいたり飛行機に乗ったりと戦争ならではの危険と隣り合わせの体験をしているが、戻ってきても子供を生んでもどこ吹く風でもとの家に戻ってくる。人間は旅によって成長したり変化する。実際飼い主は戦争を経て変わってしまった。動物のたくましさと人間のか弱さ。それでも戦争をするのは動物ほどのタフさを備えていないか弱い人間なのだ。 1989年度スマーティーズ賞。 猫の帰還 [ ロバート・ウェストール ]楽天ブックス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
May 31, 2023 12:00:25 AM
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