息子がロボットになった日
昨日、小さい子ども達と触れ合っていたら息子が4歳の時にロボットになった事を思い出しました。それは私が娘を妊娠していた時の事です。私は体調が良くなかったので、ただのつわりでは済まなくなりました。水を飲んでも数時間げっぷが止まらず、わずかなご飯さえ消化できずに何時間も苦しみました。終いには脱水症状に陥り、定期検診に行ったその場で「入院」を言い渡されました。入院準備で家に帰って改めて鏡を見ると、皮膚と言う皮膚が全て垂れ下がり、老婆になっていました。それは全身に行き渡り、体もシワシワになっていました。これこそ脱水症状!と断言できる状態でした。それで寝たきりで点滴だけの生活をしばらく続けました。他の人の食事の匂いがするだけで吐き気がして水も飲めませんでした。特に天気の悪い日は吐き気がひどくて起き上がるのも辛く食事はほんの一口しか食べれませんでした。産婦人科病棟は混んでいて、私は時々病室をあちこちに引っ越しました。そこでもいろんな人に出会い、お産も沢山見ることが出来ました。5月生まれの息子が5才間近の3,4月に私は二ヶ月間入院していました。その間、夫が会社の行き帰りに友人の家に息子をお願いしていました。息子はそのお宅から日替わりであちこちの友人に預けられていました。息子は温和で明るくて誰とでも仲良くなる扱いやすい子でした。どこに行っても平気そうで何の問題も無く楽しそうに過ごしていました。何しろ動けない私といると、家でジーッとしているばかりだったので他所の家でいろんな所に連れて行ってもらったりしてそれなりに楽しんでいるようでした。入院して二週間の頃でしょうか、土曜日の夜に夫と息子が病室に来た時に日中大きな滑り台から息子が落ちたようだと言う話を聞きました。右肘からコンクリートの土台に落ちたようだがその後平気そうなので病院に行っていないとの事でした。息子は全く平気そうでした。それで様子を見る事にしました。翌日の日曜日には夕方に2人で病室に来ました。その時の事ははっきり映像で憶えています。病室の入り口に現れた夫と息子。夫の前を小走りでやって来た息子。私のベッドによじ上ろうとしたのですが、右手をかばい左手だけを使っていたのでなかなかスムーズに上れませんでした。それを見た瞬間に怪我をしている事が分かりました。それで夫にここの病院は休日診療もしているので見てもらって来て、と言いました。すぐに2人は行きましたがなかなか帰って来ませんでした。それでこれは打撲だけでは済まないだろうと思いました。2時間くらいも経った頃でしょうか、病室の入り口に、まず息子が現れました。それがロボットのようにギクシャクと手足を動かしながら「カシャーンカシャーンカシャーン・・・」と口で言いながら楽しそうに現れたのでした!「カシャーンカシャーンカシャーン・・・・」ニコニコしながら私のベッドの方に向かって来た息子の右腕には添え木が当ててあり、包帯でぐるぐる巻きになっていました。息子はとても得意そうでした。「ぼくロボットみたいでしょ」と言って病室を歩き廻るので同室の人達の笑いを誘っていました。痛いはずなのに笑ってロボットみたいと喜んでいる息子は本当に可愛くて楽しい子だと思いました。夫が後から来て言うには、担当医が整形外科ではないのでレントゲン写真を見分ける事が出来ないので翌月曜日に専門医に見てもらって欲しいと言う事でした。所がそこの整形外科はひどく混む所で月曜日に9時前に来た夫と息子は呼ばれるまで5時間半も待たされたのでした。そしてやっと診察になり、夕方になって病室に戻って来た息子の腕には今度は本物のギブスが付けられていました。肘の骨にひびが入り本物のギブスを付けた息子は、かなりロボット度もアップしていました。とても喜んでいて、病室でまた得意げに「カシャーンカシャーンカシャーン・・・」と歩き廻ったのは言うまでもありません。大変だったのは夫でした。ご飯を食べさせてやり、トイレの後を手伝い、ギブスの太さが入る服を買って来て服の脱着を手伝い、夫の仕事が何倍にも増えたのでした。それでも不自由を全く気にしていない様子の息子に夫は随分救われたようでした。子供の骨折は治りが早く、確か3週間くらいでギブスが取れました。電動カッターでギブスを切り離すとドクターに聞いた息子はとても喜びました。切る所を見るのが楽しみだと言ってワクワクしながら診察室に向かいました。所が顔に粉が掛かるといけないと言うので顔にティッシューを掛けられたそうです。「見えなかった」と息子はガッカリしていました。「大抵のお子さんは恐がるんだけど、面白いねボク」とドクターに言われていました。(笑)この時はもしかしたら将来大物になるのか?と思いました!(≧▽≦)ある意味では今大物かもしれませません。「ま、いんじゃね」が口癖のヤツですから。息子は今日、友達と仙台に出掛けたらしいんですがなかなか帰って来ないからメールを送ったら「そのうち帰ると思う。」というヤツにしては長めの返事を寄越しましたが、「と思う」と言う曖昧なくだりが可笑しくて皆で笑いました。全く、ある意味大物(?)です。これは私の車の鍵の友です。手作りキットで作ったコダックと「ハガレン」のエドと昔流行った「まめっち」とガチャポンで取ったうさぎとわんこがくっ付いています。探しやすくて便利です。