『刑事アニタ ブラックサンド殺人事件』海外ドラマ 感想
AXNミステリーで放送していた『刑事アニタ ブラックサンド殺人事件』8話を3回に分けて観た。珍しいアイスランドの警察ものなので真面目に観た。●あらすじ(AXNミステリーより)犯罪が少ないことで有名なアイスランドが舞台の最新ミステリー!母との関係が破綻し長い間故郷を離れていたアニタが、心に傷を抱え故郷に十数年ぶりに戻ってくる。帰郷早々、事件が発生し、捜査を進めるうちに複数の事件が関連している可能性があることが判明する。暗く寒々とした風景、欠点や問題を抱えた登場人物、舞台となる地域社会の問題といった「北欧ノワール」の特徴を備えた質の高いミステリーシリーズ十数年ぶりに、問題と心に傷を抱え故郷に戻って来た刑事アニタ。その途中、海岸で若い女性の遺体が発見されたとの連絡を受け、アニタは早速、警官のラグナル、医師のサロモンとともに捜査にとりかかる。一見すると転落事故と思われたが、捜査を進めるうちに複数の事件が関連している可能性があることが判明する。殺人を事故に見せかけて何年も活動している連続殺人犯がいるのか…?●登場人物・主人公アニタ(アルディス・ハミルトン)・上司ラグナル(ソール・チュリニウス)・アニタの母エリン・アニタの従兄サロモン(コルベイン・アルンビョルンソン)・サロモンの母ハットラ(警察官だった)・アニタの祖母ヘルガ・アニタの元同僚で不倫相手のグスティ・グスティの妻スティッフィー・アニタの同僚警官金髪のフリーダ・アニタの同僚警官黒髪のトーマス・崖下で見つかった女性ウルリカ・反対側の崖で見つかったレナ●ブラックサンドアイスランドの首都レイキャビクから東南に160~170キロくらいに位置するアイスランド最南端にある村。 ●感想ーすごくまとまりのない散文になってしまった。殺伐とした風景の中、アニタが運転する車で電話を受ける所から始まる。どんなクールな展開があるのかと思っていたら、クセのある雑な母親に対する怒りと、故郷に帰る原因になった不倫相手への嫌がらせをこっそり続けている。すぐに破綻しそうな不安定な精神状態。アニタのずっと不安定で上下に揺れる精神状態に振り回されてしんどい。現実を直視できない上司は逃げるばっかりの気の良いおじさん。よりによって不倫相手だったグスティがレイキャビクから捜査協力でやって来る。しかも妻も付いて来てめんどくさい展開。色んないざこざが沢山あるため、事件の推理が曖昧になりがちだった。まあ、そのいざこざが問題の原点になっているので省けない所が多いんだと思うんだけど、説明がなかった所もあって推察が必要になる。何かがちぐはぐで一つにまとまらない歯がゆさがあった。それはアニタの身辺事情を濃く映し出していたために後回しになった感があるかな。小説なら書き込めるところが、ドラマでは説明不足と余計な所が大過ぎと。何やら観終わっても分かったような分からないような。小さい町なので、みんな知り合い。だけど見えていない家の中。これは世界中に共通する。家の中で何が行われているのか、実は分からない。《ここからネタバレ》アニタは子供時代、母に暴力と支配の虐待を受けていてそれで家を出ていたらしい。十数年ぶりに会った母は変わらずで関係がうまく行かない。従兄のサロモンも子供時代に母から虐待を受けていた。髪を伸ばして女の子の服装をする事を強要され男性性を否定されて行動を支配されていた。朝に寝ているサロモンの口に母親がキスをしてサロモンが嫌がるシーンがあったので、もしかしたら性的虐待もあったのかもしれない。アニタとサロモンの父親は分かっていない。でもアニタはサロモンと血が繋がっていないと言っていた。アニタの祖母の家では実子の他に2人養子がいたようだ。だからアニタの母とサロモンの母は血が繋がっていないのかもしれない。祖母が脳死状態なって母達の兄がやって来た。アニタの母との会話が何やら意味深だった。もしかしたらアニタとサロモンの父親はこの兄(伯父)かもしれない。十代の時にアニタとサロモンがパーティーでいちゃついていたのを母と伯母に見つかり、無理やり引き離され、付き合う事を大反対された意味はこれかなと思った。その時に交通事故を起こして母を死なせた事はサロモンの秘密だったようだ。自分が死にたくて母を死なせてしまった事がサロモンを益々歪ませたのかもしれない。おぞましい事実がいっぱいあふれていたが、祖母が階段から落ちて脳死になったいきさつは結局本当なのか、サロモンが何かしたのか分からないままだった。サロモンは医者になるくらいだから、都会の医科大に通ったのだろうと思われ、十代で母親を亡くした少年がどうやって暮らしていたのか。それも説明がなかったし、なぜ故郷に戻ったのかも分からなかった。アニタも十数年どこでどうやって一人で生きていたのかも分からない。レイキャビクで刑事をしていて不倫問題で故郷に移動して来た以外は分からない。十代の少女が刑事になるまでどうやって生きて来たのか分からない。祖母が援助したのだろうか?アニタは何かと祖母の家に行っては心の内を明かしていた。推察するには情報が足りな過ぎる。誰も好きになれなかったな~。アニタは反応や対応が共感できなかった。全部人のせいにしている感じが嫌だった。いや、医師のサロモンと警官のフリーダが好きかな。素敵な人だったのにサロモンは壊れていたしな~。全部隠して生きていたから壊れたサロモン。自分が傷つき逃げ場を失っていたサロモンは、周りの大人が見て見ぬふりをしていた事を知り、最後にダメ押しされてしまった。彼を救える人はいなかった。フリーダが個性的な対応をしている所がもっとあったら全体の色合いが変わっていたのかな。だけどくすんだ人とストーリーの中では浮いちゃったかな。中途半端な立ち位置だったな。でも彼女は立ち直ると思う。自分の足で立っていた感じがしたから。最後の感想。疲れた。誰も救われないし気持ち良くなかった。暗い風景に飲み込まれそうだった。ああ、アニタがグスティになびかなかったのは良かった。そこはアニタが頑張って良かった。あの後、ブラックサンド警察署はどうなったろうかと考えてしまう。アイスランドは数えるほどしか殺人事件はなくて世界一安全な国だそうだけど、最近は移民が押し寄せて性犯罪が多発しているという情報がある。ネットで普通に探しても見つからないけど。推理はぶつ切り感があった。どろどろで強烈な終わり方だった。