「奇妙な道」ディーン・クーンツ著 感想
●読んだ本●「奇妙な道」ディーン・クーンツ著 田中一江=訳 扶桑社ミステリー■あらすじ・奇妙な道 ジョーイ・シャノンは父の葬式の為に 20年振りにアシャーヴィルへ帰って来た。 流浪暮らしの作家である 兄のPJに連絡が付かずに、 一人だけの帰郷になったのだが、 家が近付くと恐怖感に襲われ出した。 母が亡くなった時にも帰郷しなかったと言う 後ろめたさだけではない何かが 待ち受けていた。 血まみれの金髪の女が 寝ている隣に見えたり、 父の墓穴に見えたり、 車のトランクで見えたりした。 恐怖心に狂いそうになったジョーイは 呼びつけられていた弁護士に会って 街から急いで逃げ出そうと思った。 弁護士の話と言うのは 父が25万ドルの遺産を 全てジョーイに残していたのだが ジョーイは頑なに断り、 街を逃げ出した。 そして20年前に 自分の人生を変えてしまうキッカケとなった 事故への道ではなく 今は無くなっているはずの コール・ヴァレー・ロードへと車を入れて 間違いの元をやり直す事にした。 若い女性の死体や恐怖心。 夢を諦めた敗北者の人生。 逃げてばかりの人生。 消えた道が現れた理由。 全ての理由が解る恐ろしい道へと 逃げない人生を掴むために ジョーイは奇妙な道へと 進んで行った。 そこで待ち受けていた 奇妙で恐ろしくも素晴らしい出来事。■感想ホラーは嫌いなんだよと思いながら読んでいたのだがホラーのように恐ろしくてゾクゾクするのだが全てに理由があった訳で糸が解けるように理由が解って来ると人生の曲がり角の大切さ、その時々の判断と決断の大切さを思い知った。いや、知ってはいるのだがこの小説のように全ての間違いの元の発端をやり直せると思ったら一瞬一瞬の大切さが愛しいほどに身に迫ってきた。ああ、あの時に戻ってやり直せたら。私の間違いの発端はどこだろう?高校生かな?でも孤独で悲しくてあの頃の私を自分で慰め、励ますなんて出来るだろうか?発端に至る前の段階に行かなければあれらの出来事は回避出来ないと思われ、ならば中学2年ごろかな?などと色々と己の間違いの発端や様々な出来事について考えたりした。誰しも考えるよね、あの時をやり直せたら。出来ない事だから今を受け入れ、これからを真摯に見つめる事が出来るのかもしれないとも思った。なかなか奥が深い面白い話だった。お勧め度は★★★★★!!キリリと小粒ながらも重みのある作品だった。主人公のジョーイとジョーイが助けようとするセレステがとても好ましかった。これも大きくて、読後感の爽やかさや喜びをもたらしてくれた。