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碁法の谷の庵にて

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2015年11月25日
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カテゴリ:法律いろいろ

 https://twitter.com/ntglider3/status/669139524748886017
 こんなツイートを見つけました。

 まとめサイトへのリンクも貼っておきましょう。



 学生さんの飲み会での飲酒強要が死者まで出す重大な問題になっている中、こんな知恵?を絞る学生さんがいる、ということのようですね。

 しかし、曲がりなりにも法律の専門家として忠告しておきますが、飲酒強要に関するトラブルが発生した際、こんな念書が有効になるという可能性はないと思っているべきです。

飲酒を強要したり酔い潰したりすれば、本来ならば
一、民事法上の損害賠償責任
二、強要罪・傷害罪・死亡した場合には(重)過失致死罪・傷害致死罪などの刑事責任
三、大学や所属組織からの懲戒処分

などの責任追及を受ける可能性があるわけですが、こんな念書一枚で責任を逃れることはできないというべきでしょう。


まず、人間の生命さえも危険にさらすような飲酒の強要について、事前に包括的に同意する、ということは到底考え辛いと言わざるを得ません。
従って、念書も「無理に書かされた真意に基づかないもの」と判断される可能性が高くなります。
また、仮に本当に同意していたと判断してもらえたとしても、その生命・身体を明らかに危険にさらすような行為に至るまで容認するものと解釈するのは、公序良俗に反するとみなされると考えられます。


 さらに、刑事責任に関していえば、「同意していたかどうか」は書類ではなく実際に同意していたかどうかで決められます。
 飲酒させた時点で飲酒を強要していることが明らかになれば、どんなに「そのときの書類には同意と書いてあるじゃないか」、などと騒いだところで「強要している」と判断されます。
同意していると思っていたから故意がなかったという弁解に使える可能性は皆無ではありません が、紙っぺら一枚でなるほど、これは同意してるとみても仕方ないね、なんて可能性はまずないでしょう。

 それどころか、こんな念書を事前にとっておいたということは、飲酒の強要が常態化していたこと、更にはそれが危険で責任を問われてもやむを得ないことを本人が認識していたことを示す可能性が高く、その意味で事件が発生した時に事件を起こした側がどれほど悪質な人物であるかを示す資料になってしまう可能性も高いと言えるでしょう。


 学生さんの浅知恵ごときで逃れられるほど、飲酒強要・酔い潰しの責任は甘くないのです。
 わけのわからない念書の作成に力を入れるくらいなら、飲酒に対してのサークル内の啓発に力を入れるのが一番です。






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最終更新日  2015年11月25日 14時48分36秒
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