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一 夢 庵 風 流 日 記

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2007年03月18日
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カテゴリ:書籍

 下士官兵ニ告グ
 今カラデモ遅クナイカラ原隊ヘ帰レ



 どこにでもいる普通の18歳、尾崎孝史が上京し五校六学部の受験をするために
10日間ほど宿泊予定であった平河町のホテルは、戦前、陸軍大将蒲生憲之氏の所
有する屋敷跡地であった。

 孝史は宿泊初日に大火事に見舞われる、もはやここまでと思った瞬間、とある男
が彼の手をとり、「しっかりつかまっていろ」と言葉を投げかけ暗闇の中へスッと
消え入った、孝史がふっと我に返るとそこは、セピア色に色あせたあの写真の邸宅
、そう「旧蒲生邸宅」だった。

 男は孝史にゆっくりと、自分たちはタイムトリップしたのだと打ち明けた、二人が
降り立った時代、それは昭和十一年二月二十六日未明、しんしんと雪が舞い散る永田
町だ、孝史はあの2.26事件の真っ只中にいま、いることになる・・・


 gundayuuさん が日記に取り上げていた、「蒲生邸事件 宮部みゆき」を
読んだ! 読んだ! 読んだ!

 図書館にネットアクセス後、この本を予約し、昨日取りに行った歩く人

「こちらですね」 図書館員さんから用意された本を渡される・・・

「やけに分厚いなあショック」 これが慶次の最初の感想だ

ケツをめくりページ数を確認すると、な、な、なんと425ページ!お化け

それも上下段に文章が分かれ、文字が小さい

こりゃ、読みきるのに10年はかかるなと、重い足取りで帰宅した歩く人


そんな読書嫌いの慶次が、一日で読みきった! 読みきった!大笑い


とまあ、とりとめもない文章はここまでにして、この本の紹介をさせていただこうか。


 先ほど書いたように、舞台は昭和十一年二月二十六日未明から数日間の首都東京、
かといって2.26事件が中心ということでもないので、歴史に疎い方でも十分に
楽しめる本だ。

 主人公尾崎孝史が18歳の予備校生という設定もあるのだろう、現代に住む我々
のほとんどが現代史を学ばずに学校を卒業し、社会に出てもマニアと揶揄されてし
まう人々しか歴史を学ぼうとしない現代人に対し、事件の経過やこの当時の社会状
況をとっつきやすく脇役が説明する形で、読者に易しく説明している。

 だらだら書くのもアレなので、簡潔に核心に迫ろう、この小説の主題は、「歴史」
である。タイムトラベラー平田は、歴史は行き着く先を決めて流れていて、人間は歴
史の中のパーツでしかない、例えば日航機の悲惨な事故を未来から来て止めようとし
たところで、歴史は違う犠牲者を探すだけである。つまり501便の事故を防ごうと
すれば、511便を落とすという行為を歴史は必然的に起こすのだ、と、このような
感じのことを語っている。

 これに対し主人公孝史は、いやそうではない、人が歴史のパーツだなんて冗談じゃ
ないと怒り、人が歴史をつくるのではないか、歴史の転換点での重要人物の動きを止
めれば、歴史は大きく動くのは当然だ、と、このようなことを思う。

 戦前と戦後、その両時代をタイムトラベルした孝史は、いったいどういう考え方を
持つことになるのか・・・

 さてさて、これ以上書くとネタバレで面白くないな(笑)

 gundayuuさん の書評のほうが本全体をやさしく丁寧に書かれているので
この本に興味を持てると思いますな、ぜひとも読書好きな方(慶次みたいな苦手諸氏も)
は、この本を読んで感想を書いてほしいと切に思います。

 
 とにもかくにも今日は、慶次がこんな分厚い小説を
 読みきったことを感動してくだされ!
 

 「関連日記」
 冷え込んできましたね (2006年2月25日 テロルの時代)
 大きな転換点となりし日 (2006年2月26日 226事件) 


*p.s 読書の鬼ぢんさん に薦められた「竜の柩」も借りてきました、これも分厚い泣き笑い
     気を回復させてから一気に読んでみたい所存であります。

 
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慶次が読んだ、「蒲生邸事件」は毎日新聞社発刊のものでした
上記ご紹介の、「蒲生邸事件」は文芸春秋のものですな






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最終更新日  2007年03月18日 16時34分21秒
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