味と気・・・甘味
立秋の日に、なんとなくセミの声が小さくなったかな?と感じていたのですが、一気に空気が変わってきました。今朝5時起床でしたが、なんか寒く感じてしまいました。暦通りですね。 さて、タイトルは「味と気」。 味はもちろん飲食物の味です。味にはそれぞれ特徴的な性質があります。味の働き・性質を東洋医学の専門用語では「気味」と称します。 この「気味」は、漢方薬(専門的には湯液)の処方構成の基本的な考え方で、これを知らないと処方できないくらい重要なものです。 さて、先日「スポーツドリンク」の糖分過多について書きましたが、その糖分の味である甘味の性質について書きます。 甘味の主な性質は、「緩める」と言うことです。 引きしまったり、緊張したり、早く動き過ぎているものを「緩める=減速」作用があります。 ですので、精神的に緊張したり葛藤したり、我慢することが多いと甘いものが欲しくなります。緩めたい訳ですね。 ところが、甘味が過ぎると気が動きにくくなります。結果、物質も動きにくくなるのです。 食後に甘いものを食べると、食べたものが長く胃に存在するようになるので、満足感が持続します。 ところが、胃に飲食物が長く停滞すると痞えやすくなるだけでなく、熱を生じやすくなります。ひどい人だとゲップすると飲食物の臭いがする、胸が痞える・胸やけがする、酸っぱい胃液が逆流するなどの症状が現れます。 そこまでいかなくっても、甘いものは気の流れが遅くなるので、体内に様々な邪気を溜めやすくなります。 なにより、内熱が盛んとなるので、胃の気が亢進して過食傾向になりやすいですし、精神的にもイライラしやすいなど落ち着きが無くなります。 漢方薬に用いられる甘草というよく知られた生薬があります。 この甘草一味だけを濃く煎じて飲むと、急性の激しい痛みに効果があります。(根治ではなく一時的対処療法的に用いられます) そのかわり、浮腫(むくみ)が生じやすくなります。気の動きが緩まり、体液も動かなくなるからですね。 ちょっと専門的になりますが、即効性を狙った承気湯類に甘草が入っていないのはそのためですし、じっくりと効かせたいものには甘草が多く含まれていることからも、甘味の性質はうかがい知ることはできます。