病の背景(11) ★手本は自然★
日本では、各地方に郷土料理が存在します。 その土地特有の気候に適った食材を、最も美味しくしかも身体にも良いように、数えきれないご先祖の知恵と体験に培われたのが郷土料理=伝統料理です。 世界を見渡すと、炎暑の地域では体を涼しくする果物。 乾燥する地域では体を潤す牛乳・チーズなどの乳製品。 寒い地域では体を温める肉類などの料理が、それぞれ気候風土と密接に関わる形で今も存在しています。 明治以後、西洋列強に対抗するための富国強兵政策がとられ中央から欧米化が進められました。 それでもまだこの国の伝統の基軸は残っていました。 一変したのは、今次大戦後。 アメリカから大量の物資が流入してきたのと同時に、本格的な文化の崩壊が始まりました。 人々の価値観も食生活も住居も服装も、あらゆる分野でそれは始まりました。 戦争に負けるということは、本当に恐ろしいことだと思います。 とりわけ各家庭の食卓は、昭和30年代に入ってから一変しました。カレーライスに牛乳・チーズ。インスタントラーメン、スナック菓子の登場もこの頃です。 同時に、肝炎の増加、成人病という言葉が使われ始め、雨の前後に子供の様子がなんとなくおかしいと言われ始めたのもこの頃と同時期だと言われています。 当時に比べて、医学が発達して誰でもが安価に医療を受けることができ、しかも上下水道の完備などによって社会的衛生状態も飛躍的に向上し、かつての感染症は撲滅したかに思えました。 が、ここに至って結核の集団感染、O157、インフルエンザなどが流行しています。 そして国民の健康状態は、悪化の一途をたどり、医療保険料の支払い負担が国にも国民にも重い負担となっているこの現状。 さらに花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患はもはや国民病と呼ぶにふさわしい状態、癌は誰が罹っても不思議とは感じないほど当たり前の病気になっています。 何かがおかしい・・・と感じませんでしょうか。 病の背景には、気候風土を無視した伝統文化の崩壊が挙げられます。 それは、自然の理に反した狭い考えや生活。 人体という小自然(ミクロコスモス)は、大自然(マクロコスモス)の大きな気の流れと不即不離です。 東洋医学には、天人合一(てんじんごういつ)思想があります。 それは、自然界も身体も同じ「気」の原理で生々流転していると説いています。 本来あるべき生活スタイルは、どこに求めればいいのでしょうか。 やはり、伝統という歴史に学び正していくことが大切だと考えます。 そして、本来の自分自身の自然性を探してみようではありませんか。 健康に生きる秘訣は、そんなところにあります。 手本は、大自然です!