闇を抱えこむ男が宰相になり隣国の超大国に出向いたタイミングに合わせるように半島の北で花火が打ち上がった。いらい幻視のなかの日米同盟を背景に弓状列島の首都では「制裁」の大合唱がはじまり、核武装論議がびっくり箱の案配で待ってましたと飛び出す。昨日今日の秋の嵐の風雨のごとく濁った鉛色の空が北東アジアをすっぽり包みこんだ。韓国も同様で、融和政策への批判が国内を揺すぶりはじめる。冷静な頭で考えるとき、北の脅威をいったい誰が演出しているのかは明らかだろう。金正日をそそのかしすっかりその気にさせているのはまぎれもない米国=ネオコンだ。北東アジアの不安定は、イラクでしくじったブッシュ政権の失地回復のチャンスでもあり、南北統一の機運をちゃらにする絶好の逆核カードでもあるだろう。米国にとって、朝鮮半島が「適度に」不安定でありつづけることは、必要なことである。それはイスラエルにとってパレスチナが不安定であることが必要なのとよく似ている。いっぽうの手で、日本の拉致問題に理解と同情のポーズを示しながら、もういっぽうの手では北朝鮮を追い込み、核の脅威を演出させる、という。ナルホドいかにもネオコンの考えそうなシナリオである。北が核を保有したという出来事がいかにも北東アジアにとっての危機であるかのように考えさせてしまう、こうした手法は、あの9.11における「テロとの戦争」宣言いらいのブッシュ政権の一貫した方法論であるのだろう。まるでトントンとたたけば踊る紙相撲を見るようだ。饒舌と寡黙…小泉政権からはじまった「季節はずれの怪談」が突き進む方向に見えてくる風景は、時雨降るさむざむとした冬景色であるだろう。
ところできのう、隣人に執行猶予付きの判決がおりた。なにはともあれ、こちらのほうはまあ、メデタイ。暴走族の子どもたちを注意するつもりが、ちょいと頑張りすぎてしまった(暴力行為)だけなのだからという情状か(裏を返せば、イマドキ、監獄も定員オーバーで、狭き門なのだろう、きっと)。とまれわれらが弁護士殿が、大枚80万円の報酬に見合う仕事をしてくだすったわけである。
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