ギター
私の塾の中3の男の子が欲しいものがあるんですよと言ってきた。以前に話を聞いたときにPSPが欲しいと言っていたことを思い出したので、「PSPだろ? 入試が終わって合格したらお母さんに交渉したら?」と言ったら、違うという。「ギターが欲しいんです」「ギター?」「はい、バンドみたいなことやってて…。で、欲しいギターがリサイクルショップにあるんですよ」「バンド? 今やってるのか? 受験前だぞ」「いや、今はさすがにやってませんけど、入試が終わったらまたやろうと思って」「う~ん、入試が終わったらだぞ」「いいのがあって昨日見にいったんです、中古ですけど」「いくらするの?」「18,000円くらいです」「ふ~ん、新品ならいくら?」「50,000円くらいです」「ほ~、そうなんだ」「明日も見に行こうかなと思って」「そんなに欲しいのかよ。だったらきちんと入試に合格してお母さんに頼めよ」「はい、それで今、受験勉強をがんばっているんです」「……。まあ、いいけどな。とにかくがんばれよ」欲しいものがあって毎日のように見に行っているらしいが、自分にも似たような経験があったなと思い出した。小学生のときに欲しかった自転車があって、よく学校帰りに自転車屋の前をわざわざ通ってウインドー越しに見てたな~、と。当時は親がどうしても自転車を買ってくれなくて(余裕がなかったんだと思うが)、母親の自転車に乗って遊びに行くとよく友達にバカにされたりしたな、と。そりゃそうだろう、ママチャリなわけだからね。今となっては、なつかしい思い出だけれど。その生徒にはぜひとも入試に合格してから、お母さんにねだって買ってもらいたいと思った次第。