合格をあきらめるな
「おなかが痛い…、キリキリと痛い…」そう思わずにはいられないほどのプレッシャーが襲いかかる。なぜこのような気持ちになったのだろうか。それは1ヵ月後に迫った入学試験への恐怖心が原因だと思う。思い返してみればやるべきことはあれこれとあった。あの時にもっと勉強していればと思う場面はいっぱいあった。でも、すべては過去のこと。そう、時間というものは流れていく。そういうことくらい誰だって知っている。自分だって知っている。そのくらい知っている。今のままの成績では合格できる点数は取れないんじゃないのか。そう思うだけで胃が痛い。いやな感じの痛みがする。逃げたい。この感覚から逃げたい。誰か助けてくれないかな。誰か助けてよ…。思い返してみればやるべきことはあれこれとあるよ。あの時にもっと勉強していればと思う場面はいっぱいあったよ。もっと努力できていればよかった。できなかった自分が悪い。そんなことはわかっている。反省ならいっぱいするから。それで、それで…。でも、時は止まらないよね。入試は目前に迫っている。とにかく勉強しなきゃ…。そう思うけど、何からやったらいいかわからない。いっそ何もかもなかったことにできないのかな。そう思ってみても、そんなこともできないし…。こんなことを考えている場合じゃない。早く何か勉強しなきゃ、早く何か勉強しなきゃ。入試に出るところだけを勉強したら自分だって合格確実だろうな…。タイムマシンで未来に行ければ入試問題を見ることだってできるわけだから。そうすれば、いや、そんなことになれば入試の意味がなくなるのか…。そうか、タイムマシンが発明されれば入試、いや資格試験もすべてだめだ。問題が全部やる前にわかれば不正だらけだ。タイムマシンって発明されれば困るものだったんだな…。いや、自分は、今の自分にはタイムマシンがほしい。この苦痛から逃げ出したい。今から死ぬほど勉強すれば合格できないかな。入試に出るところだけうまく勉強できないかな。塾の先生とかってそういうことばかり研究しているのかな。だったら塾の先生に聞けば教えてくれるのかな、試験に出るところ。いや、そんなことがみんなわかればすごいけど。そんなことはありえないだろうな。入試問題を予想できる先生がいればすごいんだろうな。…、待てよ、どんなタイプの問題が出てくるかくらいはどうなんだろう。そのくらいだったらやっぱり塾の先生とか知っているんだろうな。それで出てきそうなタイプの問題ばかり塾生に教えたり特訓したり。そうか、塾はそういうことをするところなのか。塾にとっては塾生の入試での合格実績が大事なんだから。そうか、塾は生徒を合格させることが第1の目標なんだ。今から塾に入ればどうなのかな。今から入れるのかな。入ったら入試に出そうな問題とか自分も教えてもらえるのかな。もしも教えてもらえるのなら、絶対に必死に勉強しよう。これからは毎日入試の直前まで勉強しよう。絶対に頑張るから合格させてほしい。絶対にさぼらないから合格させてほしい。この問題をやればいいと教えてもらえればその問題を解くから。この部分を暗記しなさいと言われればそれを全部暗記するから。お願いです。合格させてください。お願い。「合格をあきらめるな。まだやれることはある」